【コラム】変化の時代を生き抜く!従業員の キャリア形成 の支援

キャリア形成 の支援

キャリア形成

人材育成担当者にとって、従業員一人ひとりの キャリア形成 をどう支えるかは重要なテーマです。しかし、「どこから手をつけるべきか」「どのような支援が効果的なのか」を迷われている方も多いのではないでしょうか。
たとえば、こんな悩みをお持ちではありませんか?

  • 従業員がキャリアについて主体的に考えていないように見える
  • キャリア形成支援をしているが、成果や効果が見えづらい
  • 従業員一人ひとりの多様なニーズにどう対応すれば良いか分からない

私たちは、 キャリア形成 を「仕事を通じて従業員の人生を豊かにするプロセス」として捉えています。 キャリア形成 の支援は、従業員個々の成長を促進するだけでなく、組織全体の活力向上にもつながるものです。本コラムでは、 キャリア形成 の基本的な考え方から具体的な支援方法まで、人材育成担当者が現場で活用できる視点をご紹介します。

キャリア形成 とは、一人ひとりが自分の職業人生を主体的に設計し、目標に向かって継続的にスキルや経験を積み上げていくプロセスを指します。 キャリア形成 というと、社内での出世ルートや昇進の説明と捉えられることもありますが、それだけではありません。 キャリア形成 とは、従業員の価値観やライフスタイルを反映した“生き方全体”を形作ることなのです。

プロティアンキャリアとの関係性
キャリア形成 を考えるうえで鍵となるのが『プロティアンキャリア』という概念です。経済学者ダグラス・ホールによって提唱された概念で、個人が自分の価値観や目標に基づき、柔軟にキャリアを形成していくことを重視します。「プロティアン(Protean)」とは、ギリシャ神話に登場する神プロテウスに由来し、状況に応じて変幻自在に形を変える性質を意味します。この考え方は、変化の激しい現代社会において、柔軟性を持ちつつ自分らしいキャリアを築くための重要な指針となります。

プロティアンキャリアの視点から見ると、 キャリア形成 には次の3つの要素が欠かせません。
主体性:従業員自身がキャリアの主導権を持ち、自分の未来をデザインする力を引き出す。
柔軟性:変化の激しい社会に対応できる力を育む。
価値観の重視:変化の激しい社会に対応できる力を育む。

キャリア形成 を主体的に進めることは、仕事だけでなく、家庭や地域社会など多様な場面における自己実現を支える基盤にもなります。そのため、個人の意識や行動だけでなく、企業が支援の仕組みを整えることも重要です。

現代社会において キャリア形成 がこれまで以上に注目される背景には、以下のような変化があります。

従来の「終身雇用」や「年功序列」に基づく働き方が減少し、転職やジョブ型雇用が一般化する中で、個人が自らキャリアを築く必要性が増しています。企業が用意したキャリアパスに従うのではなく、働き手自身が目標を設定し、学び続けることが求められています。

平均寿命の延びにより、働く期間がこれまでよりも長くなっています。キャリアの途中で再教育や方向転換を行うことが一般的になり、複数の職業を経験する「マルチキャリア」の時代へと移行しています。これにより、キャリア形成が「若い時期だけの課題」ではなく、生涯を通じて取り組むべきテーマとなっています。

テクノロジーの進化やグローバル化が進む中、従来の職業や働き方が消滅・変容し、新たなスキルや適応力が必要になっています。また、リモートワークや副業の普及により、「多様な働き方」に対応するキャリア設計が重要となっています。

「お金を稼ぐためだけの仕事」から「自分らしい生き方の実現手段」としてのキャリアへの意識が高まっています。働く人々は、自己実現やワークライフバランス、社会貢献といった価値観に基づいたキャリアを追求するようになっています。

キャリア形成 の目的は、従業員が自分らしい生き方を実現するために、以下を支援することです。

キャリア形成 は、自分自身の価値観や目標に基づき「なりたい自分」に近づくための手段です。仕事を通じて自己の強みを活かし、成長を実感することで、人生全体の充実度を高めることができます。

変化の激しい社会で長く活躍するためには、時代に合わせてスキルや知識をアップデートし続けることが必要です。 キャリア形成 は、こうした「環境変化に適応する力」を培うプロセスでもあります。

キャリア形成 を通じてスキルや経験を積むことは、自身の市場価値を高め、安定した収入や働く場所を得ることに繋がります。また、自分に合った働き方を追求することで、仕事からのストレスを軽減し、心身の健康を保つ助けとなります。

個々の キャリア形成 が進むことで、多様な人材が育成され、企業や地域社会、さらには社会全体の競争力や持続可能性を高めることができます。個人の成長と社会の発展は相互に影響し合う関係にあります。

キャリア形成 はもはや全ての働く人々にとって重要なテーマです。個人が自己実現を追求する中で、社会や企業との相互関係を築き、より良い未来を創造することが、 キャリア形成 の究極の目的と言えるのではないでしょうか。

現代の企業は、従業員一人ひとりの キャリア形成 を支援することが重要な課題となっています。従業員が成長を実感し、仕事へのモチベーションを高めることで、企業全体の成果向上にも繋がります。企業が従業員のキャリア形成を支援する際に意識すべきポイントをお伝えします。

企業が キャリア形成 を支援する第一歩は、従業員が自身の価値観や強み、キャリア目標を明確にできる場を提供することです。それをサポートすることが キャリア形成 の基盤となります。自分の方向性を把握することが成長と成果に繋がります。
具体的な取り組み例
・ワークショップ形式で目標や価値観を整理する機会を提供する
・自己診断ツールを活用して自己理解を促す
・キャリアコンサルティングや定期的なキャリア面談を実施する

従業員が将来の成長イメージを描けるよう、職務や昇進の道筋を明確にすることが重要です。選択肢があることで、従業員は自分に合ったキャリアを主体的に考えるきっかけを得られます。ただし、選択肢は固定化せず、柔軟性を持たせることが重要です。
具体的な取り組み例
・昇進、異動、専門職への道など、複数のキャリアパスを設ける
・ロールモデルとなる従業員や上司のキャリア事例を共有し、参考にできるようにする

従業員がスキルアップを図れる環境を整えることは、 キャリア形成 を支援する上で非常に重要です。従業員が成長を実感できる環境は、モチベーションの維持に欠かせない要素となります。また、スキルアップや新たな業務への挑戦を支援することで、長期的な人材育成が可能になります。
具体的な取り組み例
・社内外の研修やセミナーを充実させる。
・業務を通じたOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を積極的に設計する
・ジョブローテーションや社内公募制度を導入する

キャリア形成 は一度の支援で完結するものではなく、継続的なフォローが欠かせません。従業員の成長や変化に応じて支援内容を見直し、柔軟に対応することが求められます。その上で、適切なサポートを提供することが重要です。結果として、従業員が組織の中で「成長している」と実感でき、モチベーションの向上や離職率の低下につながることが期待されます。
具体的な取り組み例
・上司との定期的な1on1ミーティングを実施する
・フィードバックを基にキャリアプランの見直しを促す
・人材育成担当者はキャリア支援プログラムの効果を定期的に測定し、必要に応じて改善する

従業員が主体的に キャリア形成 を進められるよう支援することは、企業にとって重要な取り組みとなっています。このような背景の中、『グッドキャリア企業アワード』は、厚生労働省が主催する表彰制度として、模範的なキャリア支援を行う企業を選定し、広く社会にその事例を発信しています。以下では、受賞企業の中から成功事例をいくつかご紹介し、その取り組み内容について解説します。

1.住友生命保険相互会社
「人財共育」の理念のもと、多彩な制度や専任チームによる理念浸透・取組推進活動等により、入社から定年まで切れ目なく全社的にキャリア支援・開発を推進
・経営戦略をもとに「人財共育(共に学び育つ」に取り組むことを社長自らが発信し、理念浸透、取組推進専任チーム「エバンジェリストチーム」が全国の全所属長と課題を抽出・共有し、アクションのすり合わせ等を実施。
・本人希望や自己研鑽の状況を尊重した職務付与や異動配置を行う「マイキャリア運営」のもと、様々なキャリア支援メニュー(キャリア支援面談、1on1、興味ある分野 の業務体験等)を選択、活用できる機会を提供。

2. キヤノンマーケティングジャパン株式会社
退職時ヒアリングや年代別セミナーを通じた課題解決により、離職防止と信頼関係構築を推進し、評価への納得感向上を実現。
・若手の早期離職者増加を受け、従業員の退職時のヒアリングを実施し、分析・把握した課題をもとに、キャリア面談・年代別セミナー等のキャリア支援施策に反映させ、従業員のリテンションに貢献。
・目標管理面接とは別に部下と上司のキャリア面談の機会を設けることで信頼関係の構築を図り、ひいては人事評価に対しても高い納得度を得ている。キャリア支援施策について労働組合等との情報交換等を通じて品質向上に努めている。

これらの事例から、キャリア支援プログラムの成功には、従業員個々の状況に応じた柔軟な支援と、継続的な学びの場の提供が鍵となることがわかります。詳細は厚生労働省の公式サイトhttps://www.mhlw.go.jp/career-awardで確認できます。

キャリア形成 は、個人が自らの価値観や目標に基づき、成長を目指す主体的なプロセスです。その意義は、単なる仕事の成功に留まらず、人生全体の充実感や自己実現に繋がる点にあります。変化の激しい現代社会において、企業が従業員の キャリア形成 を支援する役割はますます重要です。従業員の自己理解を深めるワークショップやキャリア面談、学び直し(リスキリング)を支援する環境整備などは、成長を支える有効な施策です。こうした取り組みは、従業員の成長を促すだけでなく、企業全体の持続的な発展にも寄与します。また、私たちのミッション「自ら考え、学び、行動する人が活躍できる社会をつくる」は、プロティアンキャリアの概念と深く重なります。プロティアンキャリアが強調する主体性や柔軟性は、私たちが目指す「自ら考え、学び、行動できる人が活躍する社会」の実現そのものです。これからの企業は、従業員が自己の可能性を引き出せる環境を提供し、共に成長する存在であるべきだと考えます。私たちは、プロティアンキャリアの概念を実践し、企業と従業員が共に輝く社会づくりを目指しています。


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企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

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