研修後のフォロー

「せっかく研修を実施したのに、現場で活かされていない…。」
「研修直後は意欲的だったのに、しばらくすると学びが薄れてしまう…。」
人材育成担当者として、このような悩みを抱えたことはありませんか?
実は、研修が成功するかのカギを握るのは、「研修の内容」そのものだけではなく、「 研修後のフォロー 」です。
どんなに質の高い研修を提供しても、その後に適切なフォローがなければ、学びは職場で活かされず、時間とともに忘れ去られてしまうのです。
研修は「受けたら終わり」ではなく、「フォローまでがワンセット」。
では、具体的にどのようなフォローを行えば、研修の学びを定着させ、実務で活かせる状態にできるのでしょうか?
本コラム前編では、「エビングハウスの忘却曲線」や「トランスファー・オブ・トレーニング理論」などの科学的な視点を交えながら、研修後フォローの重要性を解説します。また、すぐに実践できる具体的なフォロー施策もご紹介します。
コラム後編では「フォローアップ研修」「1on1ミーティング」「フォローの仕組み化」という3つの強力な施策を紹介します。これらの施策を適切に実施することで、研修後の“学びの失速”を防ぎ、現場での“実践力”を引き出すことが可能になります。
研修の効果は「受講後」に決まります!
明日から活かせる実践的なフォロー施策を、ぜひご参考ください。
目次
1.なぜ 研修後のフォロー が必要なのか?

エビングハウスの忘却曲線―どれだけのスピードで学習内容が失われるか
せっかく時間とコストをかけて研修を実施したのに、受講者が内容をすぐに忘れてしまうと感じたことはありませんか?実は、これは脳の仕組みとしてごく自然なことなのです。
心理学者ヘルマン・エビングハウスの研究によると、人間は学習した内容の70%を、1日以内に忘れてしまうことが分かっています。
エビングハウスが発見した 「忘却曲線」 によると、以下のようなスピードで記憶が失われていきます。
時間経過と記憶の保持率

つまり、研修で「いい学びだった!」と感じても、1日後には半分以上が記憶から消えてしまうのです。
研修の学びを忘れさせないために、何をすべきか?
エビングハウスの研究は、「人は忘れる生き物である」という事実を示しました。しかし、逆に言えば 「適切なタイミングで復習すれば、記憶を定着させられる」 ということでもあります。
忘却を防ぐための施策
・研修後すぐに復習の機会を設ける(1on1やアクションプラン作成)
・1週間~1ヶ月後に事後課題を実施し、実践結果を振り返る
・学んだ内容を「教える・話す」機会を作る(ピアラーニングの活用)
学びを職場で実践し、繰り返し使うことで、知識が定着します。研修を「受けて終わり」にせず、フォロー施策を組み込むことが、学習効果を最大化するカギになります。
トランスファー・オブ・トレーニング理論―研修が職場で活かされる条件とは
研修を実施したものの、「学んだことが職場で実践されていない」と感じることはありませんか? 実は、研修の内容が現場で活かされるかどうかは「研修の質」だけで決まるわけではないのです
ここで重要になるのが 「トランスファー・オブ・トレーニング(Training Transfer)」 という考え方です。
トランスファー・オブ・トレーニング(研修転移)とは、研修で学んだ知識やスキルが、実際の業務で活用されることを指します。この理論では、研修の効果が職場に定着するために、3つの要素が影響すると言われています。
(1) 研修の内容が「実務と結びついているか?」(学習内容の適用可能性)
研修の内容が受講者の業務に直結しているかどうかは、学習内容の定着度に大きく影響します。
・「今の仕事にどう役立つのか?」 が明確であるほど、学んだことを実践する意欲が高まる
・実際の業務シーンを想定した演習・ケーススタディがあると、応用しやすくなる
・汎用的な知識よりも、自社の業務に即した研修のほうが職場適用しやすい
(2)受講者に「研修で学んだことを実践しよう」という意欲があるか?(学習者の意欲)
研修を受けても、「まあ、いい話だったな」で終わってしまうケースがあります。学んだことを実践するかどうかは、受講者の意欲次第 です。
・研修前に「この研修で何を得たいか?」を考えさせる(目的意識を持たせる)
・研修後に「何を職場で実践するか?」を宣言させる(行動変容を促す)
・「実践しないといけない」というプレッシャーではなく、「試してみたい!」と思わせる工夫が大切
(3)研修後の職場環境が「学びの実践」を支援しているか?(環境要因)
研修で意欲的に学んでも、職場に戻った瞬間に「そんなことやってる暇ない」となると、学びは定着しません。学びを職場で活かすためには、以下の環境が整っていることが重要です。
・上司が「研修で何を学んだ?」と声をかける(学びを活かす雰囲気を作る)
・1on1ミーティングで実践状況を確認する(研修後のフォロー体制)
・「研修で学んだことを現場で試す場」がある(学びの実践機会)
この理論を踏まえると、研修を職場で活かすためには、次のような施策が有効です。
・研修内容を実務と直結させる(事例・ケーススタディを活用)
・受講者に学びの実践を意識させる(事後課題・アクションプラン作成)
・職場でのフォロー体制を強化する(1on1、上司の関与、フォローアップ研修)
つまり、 研修後のフォロー を仕組み化することが、学びを定着させる最も重要なポイントなのです。
参考:研修後こそがスタート!学びを現場に定着させるための方法
2.研修後フォローの重要性と次のステップ

研修は 「受けて終わり」ではなく、「学びを職場で活かすこと」こそがゴールです。しかし、多くの企業では、研修直後の熱意が徐々に薄れ、学びが定着しないという課題を抱えています。
本コラムでは、「エビングハウスの忘却曲線」や「トランスファー・オブ・トレーニング理論」 などの科学的な視点から、研修後フォローの重要性を解説しました。これらの理論が示すように、学びを定着させるには、「個人の努力」に頼るのではなく、「組織全体で支援する仕組み」を整えることが不可欠です。では、具体的にどのようなフォロー施策を行えば、研修の学びを定着させ、実務で活かせる状態にできるのか?
後編では、「フォローアップ研修」「事後課題」「1on1ミーティング」など、明日から実践できる具体的なフォロー施策を詳しく紹介します。
せっかくの研修を「やりっぱなし」にしないために、まずは 研修後のフォロー を前提とした仕組みづくりに取り組み、後編でご紹介する具体的な施策をぜひご活用ください。
続きはこちら:「研修をやりっぱなしにしない! 学びを定着させるフォローの科学(後編)」
3.企業研修のことならヒューマンエナジーにご相談ください
ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。今回の内容では、「ゴールまで支援」 の観点から、研修後のフォローアップ施策まで一貫してサポートします。
受講生が「研修直後は意欲的だったのに、しばらくすると学びが薄れてしまう…」 という課題を抱える企業が少なくありません。
本コラムで紹介した 「エビングハウスの忘却曲線」 によると、学習した内容の 70%は1日以内に忘れられることが分かっています。また、「トランスファー・オブ・トレーニング理論」 では、研修の効果を最大限にするには 「実務との結びつき」「受講者の意欲」「職場のサポート」 が重要だとされています。つまり、研修が職場で活かされるかどうかは、個人の努力ではなく、企業のフォロー体制にかかっているのです。
ヒューマンエナジーでは、こうした理論を踏まえ、 研修後のフォロー まで含めた学びの定着支援を行っています。では、具体的にどのような施策が有効なのでしょうか?
次回の後編では、明日から実践できるフォロー施策を詳しくご紹介します!
続きはこちら:「研修をやりっぱなしにしない! 学びを定着させるフォローの科学(後編)」
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ビジョン反映型カスタマイズ研修
特徴1.ビジョン反映型研修
お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。
特徴2.社会の変化・新たなキーワードを取り入れた研修
お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。
特徴3.ワークショップ中心
受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。
研修の特徴 4. ゴールまで支援
研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。
今回ご紹介した研修の振り返り・評価のサポートや、お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。
株式会社ヒューマンエナジー
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お急ぎの方はお電話ください(平日9:00~18:00)
この記事を書いた人

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)
【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了
1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。
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