【コラム】入社前から始まる人材育成: 内定者フォロー と研修のポイント|ビジネスを成功に導く人材育成

入社前から始まる人材育成: 内定者フォロー と研修のポイント

企業の人材育成担当者にとって、 内定者フォロー は、単なる手続きではなく、企業の将来を左右する重要なステップです。昨今の競争の激しい採用市場では、内定を出した後も継続的に候補者との関係を構築し、彼らが入社を決意するまでのプロセスを支援することが求められています。このプロセスを怠ると、内定者が他社のオファーに心を動かされるリスクが高まり、結果として内定辞退に繋がる可能性が高くなります。
25卒就活生の8月1日時点の内定率は91.2%と前年の同じ時期を4.6ポイント上回り、例年より早いペースで9割を超えました。8月1日時点で就職活動を実施している学生に聞いたところ、内定取得者の46.6%が「志望内容や範囲は変えずに活動する」としており、引き続き就職活動を続けています。
就職みらい研究所 https://shushokumirai.recruit.co.jp/research_article/20240809001/

このように、内定者の約半数が引き続き就職活動を行っている現状や、競合他社に魅力を感じて入社を決めるケースも少なくありません。これらを踏まえると、内定辞退や早期離職を防ぐために、企業側からの内定者フォローは欠かせないと言えます。今回は 内定者フォロー と研修のポイントをご紹介し、その中でも特に効果が高いと私たちが考える、内定者研修について説明します。

複数内定で進む学生の慎重な選択
25卒の内定率が91.2%と非常に高いということは、多くの学生がすでに複数の内定を持っていることを意味します。そのため、学生は自分の条件に合った企業を選ぶ余裕があり、より慎重に判断することができるため、他の企業へ目移りする可能性が高くなります。内定取得者の46.6%が「志望内容や範囲は変えずに活動する」と回答していることからも、内定を持ちながらもさらに良い条件を求めて就職活動を続ける学生が多いことが分かります。

内定者の不安や期待に応える
学生は、内定をもらった後も「本当にこの企業で働くべきか?」といった不安や疑問を持っています。 内定者フォロー を通じて、企業は学生の疑問や不安に応え、企業の魅力やビジョンを改めて伝えることができます。具体的には、内定者向けの説明会や交流イベント、研修などを通じて、会社の雰囲気や実際の働き方を知ってもらうことが重要です。

競争の激化による優秀な人材の確保
内定者フォロー を強化することで、競合他社に優秀な人材を奪われないようにすることができます。特に、優秀な人材は複数の企業から内定をもらうことが一般的であり、フォローの質が最終的な決定に大きな影響を与えることがあります。企業にとって魅力的な環境やキャリアパスを示すことで、学生が他社の内定を辞退して自社を選ぶ確率を高めることができます。

早期離職の防止
内定者フォロー は、入社後の早期離職を防ぐためにも重要です。学生が入社前に企業の価値観や業務内容をよく理解することで、入社後のミスマッチを減らし、早期離職を防ぐことができます。企業との信頼関係を築くことで、社員としての定着率を高めることができます。

企業のイメージ向上
内定者フォロー は企業のイメージアップにもつながります。良いフォローを行うことで、学生からの評価が高まり、企業の評判を高めることができ、結果として将来の採用活動にもプラスの影響を与えます。

内定者の不安解消
定期的なコミュニケーションを通じて、内定者の不安や疑問に対応し、安心感を提供します。内定者同士や先輩社員との交流イベントを開催し、会社への親近感を高め、信頼関係を構築します。

【フォロー方法】
・定期的なメールや電話: 定期的なコミュニケーションを通じて、会社の最新情報や業界の動向を伝えます
・内定者向けSNSグループ:SNSやチャットツールを利用して、内定者同士の交流の場を提供します。
・オンラインイベントの開催: ウェビナーやオンラインミーティングを通じて、会社の文化や価値観を伝えます。

内定者フォロー に関する具体的なスケジュールの例をご紹介します。

10月1日: 内定式 会社のビジョンや今後のスケジュールを説明。期待感を高めます。
中旬: 定期メール配信開始 初回のメールで、今後のコミュニケーションプランやスケジュールを共有。また、業界ニュースや会社の最新情報を伝えます。
下旬: オンラインキックオフミーティング 先輩社員と内定者が初めて顔を合わせるオンラインイベントを開催。自己紹介やキャリアパスの共有を通じて、内定者同士や先輩社員との交流を促進します。
11月中旬: 業界動向の情報発信 業界の最新動向やトレンドを解説。会社がどのように対応しているかを伝えることで、企業への信頼感を高めます。
下旬: SNSグループの活性化 内定者向けのSNSグループで、業界に関するディスカッションや会社のイベント情報を共有。質問や意見交換が活発に行われるように促します。
12月初旬: 定期電話フォローアップ 各内定者に対し、個別に電話でフォローアップを実施。不安や疑問を確認し、対応策を検討・実施します。
中旬: オンライン懇親会 クリスマスや年末をテーマにしたオンライン懇親会を開催。内定者同士の親睦を深めるカジュアルなイベントです。
1月初旬: 新年のご挨拶メール 年始の挨拶とともに、今後の予定や研修情報を共有。内定者の意欲を再度高める機会とします。
下旬: 業界のトレンドの情報発信 新年の業界予測や会社の戦略を説明し、内定者にとって有益な情報を提供します。
2月中旬: 内定者研修 ビジネスマナーや基本的な社会人としての心構えを学ぶ研修を実施。内定者が社会人としての準備を進める機会を提供します。
下旬: 内定者ディスカッションイベント SNSグループやオンラインミーティングを通じて、今後の研修やキャリアについてのディスカッションを開催。内定者が意見を交換し、モチベーションを高める場とします。
3月初旬: 入社直前オリエンテーション オンラインでのオリエンテーションを実施し、入社に向けた最終確認と心構えを共有。内定者が不安なく入社できるようサポートします。
中旬: 入社前最後のフォローアップ電話 各内定者に対して、最終的な質問や懸念点を確認し、必要に応じてアドバイスやサポートを提供します。
下旬: 社内SNSでの入社歓迎メッセージ 内定者に向けた会社全体からの歓迎メッセージをSNSで発信し、入社への期待感を最高潮にします。
4月1日: 入社式 入社式で正式に会社の一員として迎え入れ、これまでのフォローアップの集大成として、内定者がスムーズに業務を開始できるようにサポートします。
こちらはあくまでも参考例です。全てを実施する必要はなく、自社に合ったものをピックアップし、適切なタイミングで実施していただけたらと思います。

会社や業務の魅力を伝える
会社のビジョンや文化、福利厚生制度など、会社の魅力を具体的に伝えます。彼らが入社後どのような仕事をするのか実際の業務内容について詳しく説明し、入社前に不安を軽減します。さらに先輩社員の成功事例やキャリアパスの紹介を通じて、将来の展望を描いてもらいます。

内定者の意欲を維持する
人材育成担当者からの定期的なメールや電話、情報発信、内定者同士のSNSやチャットツールの利用の他に内定者向けの研修を通じて、会社への期待感やモチベーションを高めます。内定者研修を実施することで数か月後に同期となるメンバーとのコミュニケーションを通じて社会人に必要な心構えやスキルを学ぶ機会を提供します。

家族の理解を得る
内定者の家族にも会社の魅力を理解していただきます。具体的には家族向け資料やニュースレターを送付し、会社の最新情報を提供します。家族の理解を得ることで内定者の安心感や満足度が高まります。これにより、会社へのロイヤルティが強化されます。

入社後のフォロー体制を明確にする
入社後の研修プログラムやサポート体制を事前に説明し、安心感を持ってもらいます。メンター制度や定期的な面談を計画し、入社後も継続的にフォローします。内定者が入社後の状況をイメージしやすくなり、社会人としてスムーズにスタートできる効果が見込めます。

内定者フォロー の中でも研修の実施は企業側にとって企業文化の早期適応を可能にする有用な手段です。また、離職リスクを低減し、チームワークの強化に繋がります。内定者側にとっては、研修を通じて不安を解消して入社できるようになり、企業理解が深まります。さらに、人間関係を円滑に構築でき、キャリア目標が明確になるというメリットがあります。内定者研修を実施する場合は以下のポイントを基に実施内容の検討を進めていきましょう。

目的の明確化
研修を通じて何を達成したいのか(例:モチベーション向上、スキル習得、企業理解の促進)を明確に設定することが重要です。

研修内容の適切さ
内定者の現状や現場配属後の状況を想定した実践的で有益な内容を提供する必要があります。内定者は学生であり、社会人経験がほとんどない、あるいは全くないため、基本的なビジネスマナーや企業での働き方についての知識が不足していることが多いです。そのためビジネスマナーの習得、基本的なコミュニケーションスキル、自己管理や時間管理の基本を学ぶことをおすすめします。

コミュニケーションの促進
内定者同士、または先輩社員や経営陣との交流の機会を設け、ネットワークを構築できるようにします。この時、可能なら対面での交流をおすすめします。その理由は表情やジェスチャー、姿勢、視線などの非言語的な要素が豊かで、相手の感情や意図をより正確に理解できることや、質問や疑問が生じた際、その場で即座に反応が得られ、誤解やコミュニケーションの齟齬が生じにくいからです。直接対面することで、より深い信頼関係や人間関係を築きやすくなる効果もあります。

研修後のアンケートを実施
研修後に内定者からアンケートを実施。フィードバックを収集し、彼らの期待や不安を把握します。これにより、内定者が感じている疑問や課題を早期に解決することができます。さらに今後の研修内容やフォローアップに反映させることが重要です。

柔軟な対応
内定者のニーズや状況に応じて、研修内容や形式を柔軟に調整し、効果を最大化する工夫を行います。

内定者同士の絆の強化
内定者研修を通じて、同期となるメンバー同士が早い段階で交流を深めることができます。これにより、入社後にお互いを支え合い、協力しながら働ける強固なチームワークが形成されます。

会社への帰属意識の向上
研修を通じて会社のビジョンや価値観に触れることで、内定者が自分自身の役割や貢献を実感しやすくなり、会社への帰属意識や忠誠心が高まります。これにより、内定辞退や早期離職のリスクも軽減されます。

社会人としての心構えの醸成
研修でビジネスマナーや基本的な社会人としての心構えを学ぶことで、入社後の適応がスムーズになります。内定者は自信を持って新たな環境に飛び込み、積極的に業務に取り組む姿勢が身につきます。

スキルアップによる即戦力化
研修を通じて業務に必要な基礎スキルや知識を習得することで、内定者が入社後すぐに実践的な業務に対応できるようになります。これにより、早期からのパフォーマンス発揮が期待できます。

コミュニケーション能力の向上
グループワークやディスカッションを通じて、内定者のコミュニケーション能力が高まります。これにより、職場での円滑な人間関係構築や、効果的なチーム活動に貢献できるようになります。

モチベーションの維持・向上
研修での成功体験や、他の内定者との交流を通じて、入社までの期間にモチベーションが高まります。また、会社の期待を感じることで、前向きに入社を迎える姿勢が強化されます。

入社後のギャップの軽減
研修を通じて業務内容や会社の文化に事前に触れることで、入社後のギャップを減らし、ストレスの少ない適応が可能になります。これにより、離職率の低下にも繋がります。

これらの効果により、内定者研修は単に入社準備としての役割を果たすだけでなく、企業全体の生産性向上や長期的な人材育成にも寄与する重要なプロセスとなります。

研修内容の役割分担
研修内容については、新入社員研修で行うべき重要な事項を重複させず、内定者研修では基本的な内容や、早期に知っておくべき情報に焦点を当てます。例えば、社会人としての心構え、ビジネスマナーの重要性や基本、コミュニケーション力などです。これにより、新入社員研修ではより高度で実践的な内容に集中できるようになります。

新入社員研修との相乗効果
内定者研修を充実させることで、新入社員研修の内容を薄めるのではなく、むしろ効率的に進めることが可能になります。内定者がすでに基本的な知識を習得しているため、新入社員研修では応用や実践により多くの時間を割くことができ、研修の質をさらに高めることができます。例えば、電話応対の練習に十分な時間を確保し、基本的な電話応対スキルを習得した上で、緊急時やクレーム対応など、現場で求められる対応力や判断力を養うための実践的な練習を繰り返し行います。これにより、新入社員が自信を持って現場にデビューできるようサポートします。

内定者フォロー は、内定辞退や早期離職を防ぐために非常に重要な施策です。企業はフォローを通じて内定者に対する理解を深め、信頼関係を築くことで、優秀な人材を確保し、組織としての成長を促進することができます。内定者は企業との接点を持ち続けることで、企業に対する期待や信頼度が高まります。これが入社までのモチベーション維持に繋がったり、企業へのエンゲージメントを高める効果もあります。 内定者フォロー は企業にとっても内定者にとっても重要な取り組みです。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。今回の内容との関連でいえば、内定者研修の実施についてヒアリングする中で3.内定者研修の実施ポイントを基にプログラムを構築し、 内定者フォロー の施策の一環として提案いたします。研修内容や実施タイミングはお客様によって異なります。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。

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企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。