新入社員が組織に対応するための準備

4月は多くの企業が新入社員を迎える時期です。人材育成担当者は新入社員がスムーズに職場に溶け込み、組織に貢献できるようにさまざまな準備を行います。しかしながら、数か月後に現場から「新しく配属されたメンバーが組織に馴染めず困っている・・・」、そんな声が聞こえてくる企業が少なくありません。そこで今回は新入社員がいち早く組織に適応するためのヒントを3つの観点「1.オンボーディングプロセスの整備」「2.フィードバック文化の醸成」「3.Z世代である新入社員の理解」で紹介します。
目次
- オンボーディングプロセスの整備|新入社員がいち早く組織に適応できていますか?
- フィードバック文化の醸成|新入社員を全員で育てていますか?
- Z世代である新入社員の理解|新入社員に歩み寄ることができていますか?
- まとめ| 新入社員が組織に対応するための準備
- 企業研修のことならヒューマンエナジーにご相談ください

1.オンボーディングプロセスの整備|新入社員がいち早く組織に適応できていますか?
オンボーディングプロセスの整備とは、新入社員が組織に入社してから職務を遂行するまでの間に行われる一連の手順や活動を指します。このプロセスは、新入社員が組織の文化や価値観を理解し、業務に必要なスキルや知識を習得し、スムーズに業務に取り組めるように支援するものです。
ここではオンボーディングプロセスの整備を具体的に見ていきましょう。
歓迎と紹介
新入社員は入社直後に歓迎の挨拶や紹介を受けることで組織全体から歓迎され、受け入れられたことを実感します。これにより、彼らは組織に対する安心感を得ることができ、自信を持って業務に取り組むことができます。
価値観の共有
組織のミッションやビジョン、バリューなど、組織全体の価値観を共有します。組織の歴史や業績、将来の展望などについても説明し、新入社員に組織への理解を深めます。
業務環境の理解
新入社員は業務環境や業務スペース、ツールやシステムの利用方法を理解することで、スムーズに業務が開始できます。どこで何を行うべきかを理解し、適切なツールやシステムを使用することができるため、効率的な業務遂行が可能となります。
研修プログラムの提供
人材育成担当者が新入社員向けの研修プログラムを提供することで、新入社員は業務に必要なスキルや知識を習得します。企業特有の業務知識だけでなく、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルなど、一般的なビジネススキルの向上も支援します。これにより、新入社員はプロフェッショナルな振る舞いや効果的なコミュニケーションを身につけることができます。
フォローアップとフィードバック
新入社員はフォローアップとフィードバックにより、自身の成長や進捗を確認することができます。適切なサポートや肯定的なフィードバックを受けることで、モチベーションが維持され、業務への取り組みが向上します。
メンター制度の導入
メンターとは助言者、師匠、教育者です。 仕事だけでなく人生のお手本となり、味方になってくれる先輩社員です。企業によっては新入社員にメンターが割り当てられ、組織内でのナビゲーションやサポートを提供しています。メンター制度を導入していない企業もあります。現場の直属の上司や若手社員が指導係としてメンターのような役を担っている場合もあります。
特にここでは、メンター制度の有益性をお話します。
- メンターが新入社員の質問に答えたり、業務内容を共有したりすることで、新入社員の成長を促進します。
- メンターが自身の経験や知識を新入社員と共有することで、組織内での知識やスキルの伝達を促進します。これにより、新入社員はより効率的に業務を学び、組織全体の能力を向上させることができます。
- メンターが新入社員と密接に連携し、彼らの成長やキャリア目標を支援することで、従業員の満足度や忠誠心が高まります。 メンター制度は新入社員だけでなく、メンターの成長も期待できます。リーダーシップ能力やコミュニケーションスキル、業務スキルが向上したり、他者の成長や成功に貢献することで、自己の満足度ややりがいを感じることもできます。メンター制度の導入は企業にとって非常に有益であり、従業員の成長や組織の発展に貢献します。
オンボーディングプロセスの整備により、新入社員は組織に素早く適応し、効果的に業務に取り組むことができます。適切なサポートやフィードバックを受けることで、自己信頼が向上し、モチベーションが維持されます。その結果、組織への貢献が促進され、成果が向上します。また、メンターの支援やチームとの協力を通じて、社会的結びつきが強化され、チームワークが促進されます。最終的には、組織内での長期的なキャリア成長の基盤が築けるという効果が見込めます。
おそらくどの企業も新入社員の受入態勢を準備し、対応されていることと思います。「オンボーディング」という形で全体から適切な受け入れができているか、また特にメンター制度などを活用して少しでも新入社員のスムーズな入社を促進することが、近年の採用・入社のプロセスで重要になってきていると言えるでしょう。
2.フィードバック文化の醸成|新入社員を全員で育てていますか?
フィードバック文化の醸成とは、組織内でフィードバックを積極的に行う文化を醸成する取り組みを指します。新入社員を直属の上司やメンターに任せるだけではなく職場全体でサポートしていくことが重要です。配属部署に適応した新入社員は、組織全体に適応できると言われています。上司や同僚との関係を良好にしていくためにフィードバックが頻繁に行われる職場を目指しましょう。そのために人材育成担当者はどのような取り組みができるでしょうか。
ここでは人材育成担当者が担うフィードバック文化の醸成について具体的に見ていきましょう。
フィードバックの重要性の啓発
人材育成担当者は組織全体に対してフィードバックが成長や改善に欠かせないものであることを啓発します。従業員に対してフィードバックが成長の機会であり、組織全体のパフォーマンス向上につながることを認識させます。
フィードバックの質の向上
人材育成担当者は従業員や管理職に対して、フィードバックの重要性や効果的なフィードバックの方法を教育するためのトレーニングや研修を企画・実施します。従業員に対して、具体的で建設的なフィードバックの提供方法を学ばせます。フィードバックは明確で具体的であり、相手の成長や行動変容に寄与するような内容であることが重要です。
フィードバックの受容性の向上
人材育成担当者は従業員に対して、フィードバックを受け入れる姿勢を醸成させます。フィードバックを冷静に受け止め、建設的な対応をするための方法を従業員に伝えます。フィードバックを受け入れることで成長や学びが得られることを理解させ、フィードバックに対する開かれた態度を促します。
フィードバックのルールやガイドラインの整備
人材育成担当者は組織内でのフィードバックのルールやガイドラインを整備し、フィードバックのプロセスや頻度、形式などを明確にします。これにより、フィードバックが一貫性を持ち、効果的に行われる環境が整います。
フィードバックを促進するシステムの導入
人材育成担当者は組織内にフィードバックを促進するための仕組みやシステムを導入します。例えば、定期的なフィードバックセッションや、フィードバックを匿名で提供できるシステムの導入などが考えられます。当社のお客様に「サンクスカード」を導入されている企業があります。感謝の気持ちを伝えあうことでモチベーションが向上し、職場の雰囲気が明るくなったとお聞きしました。
これらの取り組みにより、組織内でフィードバックが活発に行われ、個人や組織の成長・改善につながるフィードバック文化が醸成されます。これは新入社員だけではなく、職場内さらに組織内全体に良い影響があります。例えばフィードバックを受けることで、メンバーは自身の貢献が評価されていると感じ、組織に対するエンゲージメントや満足度が向上します。これは従業員の定着率を高める要因となります。
3.Z世代である新入社員の理解|新入社員に歩み寄ることができていますか?
2024年度の新入社員はZ世代と言われています。一般的に1997年から2012年生まれの世代を指し、ミレニアル世代の次の世代として位置付けられています。
ここではZ世代の特徴を具体的に見ていきましょう。
短い情報処理時間
情報を瞬時に処理する能力が高く、短い時間で情報を取り込みます。このため、短いメッセージやビジュアルコンテンツに対する関心が高い傾向があります。
社会的責任と持続可能性への関心
環境問題や社会問題に対する関心が高く、持続可能な未来を求める意識があります。企業の社会的責任やCSR活動に対する期待が高い傾向があります。
柔軟性と適応性
不確実な状況や急速な変化に対する柔軟性と適応性があります。新しい状況に迅速に対応し、柔軟な発想で問題解決を行います。
成長意欲がない、うたれ弱いとも言われるZ世代ですが、これらの特徴を考慮すると、Z世代が組織や社会に対する期待が理解できます。最近の新入社員は以前よりもキャリア意識が高まっており、自己成長に対する意識も強まっています。その背景には、終身雇用制度の崩壊、世界の情勢や経済状況の影響による不安定化と先行きの不透明化、そしてキャリア教育の普及などが挙げられます。Z世代は、変化を前提として、より合理的かつスピーディに組織への対応と成長を目指し、難しいと思えばすぐに別の組織を志向する、と言えるかもしれません。
私たちは経験を重ねたことで「今どきの若者は」と一括りで考える傾向があるのではないでしょうか。これにより、若者との間に世代間のギャップが生まれ、一般化されたイメージやステレオタイプが生じることがあります。新入社員が組織で活躍するためには個人の努力だけでなく、受け入れ側の努力も重要です。特に、組織や職場は若者世代をよく理解する必要があります。
最後にZ世代の指導ポイントを5つお伝えします。
- 一人ひとりの価値観の尊重
- 自分(上司)の価値観を押し付けない
- 今までの成功事例を押し付けない
- 業務の具体的な目的・理由を伝えながら指導をする
- プロセスと成果を可視化した客観的な評価を行う
大前提として一人の人として気にかけるということも大切になります。社会人の先輩である私たちから新入社員に歩み寄っていきたいものです。
4.まとめ| 新入社員が組織に対応するための準備
新入社員がいち早く組織に適応することにより、業務がスムーズに開始でき生産性向上が期待できます。適切なトレーニングやサポートを受けた新入社員は、早くから組織の目標達成に貢献できます。新入社員は直属の上司や若手社員が育てるという訳ではなく、組織全体、職場全体でフォローし、フィードバックすることが重要になります。
そのために、人材育成担当者は「オンボーディングプロセス」を見直したり、「フィードバック文化の醸成」に力を入れるべきといえます。まずは「Z世代である新入社員の理解」からはじめてみるのもいいと思います。
5.企業研修のことならヒューマンエナジーにご相談ください
ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。特に今回の内容との関連でいえば、「フィードバック文化の醸成」のために管理者研修や次期リーダー研修を通じて、より良いフィードバックを行うための研修などが該当するでしょう。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問合せください。
ビジョン反映型カスタマイズ研修
特徴1.ビジョン反映型研修
お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。
特徴2.社会の変化・新たなキーワードを取り入れた研修
お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。
特徴3.ワークショップ中心
受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。
研修の特徴 4. ゴールまで支援
研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。
お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。
株式会社ヒューマンエナジー
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この記事を書いた人

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)
【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了
1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。
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