5月病に対応する

多くの企業が4月から新年度を迎え、職場の環境が変化したのではないでしょうか。新入社員が入社したり、人事異動でメンバーが変わったり、新しい環境、仕事への期待や不安で緊張が続いた一ヵ月だったと思います。もうすぐ迎えるゴールデンウイークでその緊張が緩み、「やる気が出ない」「気分が落ち込む」「体調が思わしくない」「眠れない」「食欲がない」など心身の不調が出ることがあります。このような症状は一般的に5月病と言われます。5月病をきっかけに休職や退職に繋がってしまうこともあります。誰しも当事者になる可能性があるものです。今回は 5月病に対応する ポイントを3つの観点「1.5月病を理解する」「2.人間関係や変化の悩みに伴う支援」「3.仕事内容や役職の変化に対応するための支援」で紹介します。
目次
- 5月病を理解する
- 人間関係や変化に伴う悩みの支援
- 仕事内容や役職の変化に対応するための支援
- まとめ| 5月病に対応する !ポジティブな職場を作ろう
- 企業研修のことならヒューマンエナジーにご相談ください
1.5月病を理解する

明確な原因が思い当たるわけではないのに心身に不調が出るこのような症状について、日本では特に新年度や新しい環境において、人々がストレスや不安を感じやすい時期に現れることから、一般的に5月病と呼ばれます。これは、新入社員の入社や転勤、人事異動など新しい環境の適応に苦しむことや、春先の長期連休明けに仕事に戻ることによるストレスが原因と言われています。
まずは原因を考えましょう。

(引用元「積水ハウス 住生活研究所」による調査、引用元調査「5月病に関する調査(2023年)」働き方に不満を感じている人の半数以上が5月病を経験 自宅でのリフレッシュのすすめ)
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20230420
積水ハウスは、ゴールデンウィーク明けの体調の変化が起こりやすい時期に向けて、自宅でリフレッシュできる生活空間のご提案を目的に、全国の20~60代の男女を対象に「5月病に関する調査」を実施。なお、ゴールデンウィーク明けに「職場に行きたくない」「気力がない」など体調に変化が現れた人を、同調査の分析目的上、5月病になったと分類しています。

2022年の調査では、5月病の経験者は全体の35.0%に上りました。その主な原因は、42.3%が「出社のストレス」、次いで27.0%が「人間関係や変化の悩み」、24.3%が「役職や仕事内容の変化に対する悩み」となっています。

このデータから5月病は新入社員だけの問題ではなく、30代の45.0%、入社3-5年目の61.0%もが5月病を経験していることが分かります。
5月病の主な特徴は以下の通りです。
心理的側面
5月病は、心理的なストレスや不安が直接影響します。新しい環境に適応することや、新しい業務へのプレッシャー、期待に応える不安などが原因となって、情緒不安定化やモチベーションの低下などの症状となって現れることがあります。
身体的側面
心理的なストレスが身体的な不調につながることもあります。不眠、食欲不振、頭痛、疲労感などが5月病の症状として現れることがあります。
個人差
すべての人が同じように5月病になるわけではありません。個人のストレス耐性や適応能力、職場の環境などによって、影響の程度や症状が異なります。
予防と対処策
5月病を理解する上で、予防と対処策も重要です。ストレスの原因を避けたり、休息やストレス解消法を取り入れることで、5月病を軽減することができます。
2.人間関係や変化に伴う悩みの支援

新年度が始まると様々な変化が起こります。例えば配置転換や異動によって新しいチームや部署に配属されることがあります。新しい環境に適応することや、新しい同僚との関係を築くことがストレスの原因になります。また新入社員の入社もあります。既存の社員は新入社員との関係を構築し、彼らのサポートを求められます。このプロセスにおいて、ストレスや負担を感じることもあります。人間関係のストレスを低減させるために、人材育成担当者はどのような取り組みができるでしょうか。その内容を具体的に見ていきましょう。
コミュニケーションを活性化させる
定期的なミーティングやブレーンストーミングセッションの設定: チームメンバーが定期的に集まる場を設けることで、情報共有やアイデアの交換を促進します。これにより、チーム全体が目標に向けて協力しやすくなります。
週次または月次の報告会の実施: チームメンバーが自身の進捗や課題、アイデアを共有する場を設けることで、情報の透明性を高めます。定期的な報告会を通じて、チーム全体の意識統一や目標達成に向けた協力を促進します。
懇親会の実施:新しい環境に適応するためにはコミュニケーション量を意図的に増やす機会を作るのも有効です。職場とは違う空間で、仕事以外の話をすることで共通の話題や趣味が見つかることもあります。日常会話は組織の潤滑油となりストレスマネジメントになったり、信頼関係構築にも繋がります。
トレーニングの機会を設ける:従業員同士のコミュニケーションを円滑にするために、コミュニケーションスキル向上のトレーニングプログラムを提供します。コミュニケーションの重要性や効果的なコミュニケーションの方法について教育し、職場でのコミュニケーションを改善します。
フィードバックの機会を設定する
上司や先輩からのフィードバックを受ける機会を設けます。良い人間関係の構築や改善に役立つアドバイスを与えます。具体的な行動やコミュニケーションのポイントを指摘し、従業員が自己成長できるように支援します。また、新入社員が自身の意見や感想を積極的に発信できるように奨励します。
今回はフィードバックの機会として多くの企業が実施している1on1ミーティングの効果を見ていきます。
【1on1(ワンオンワン)ミーティングとは、上司と部下、あるいは二人の同僚など、2人だけが参加する個別の会話やミーティングのことを指します。1on1は通常、定期的に行われ、特定の目的やテーマに基づいて行われることがあります。】
関係性の強化: 1on1は参加者同士の関係を深めるのに役立ちます。このような一対一の時間を持つことで、信頼関係が築かれ、コミュニケーションが円滑になります。
情報共有と透明性の向上: 1on1は、重要な情報やニュースを個々のメンバーと共有する良い機会です。これにより、組織内の透明性が向上し、参加者が組織の方向性や目標により深く関与することができます。
問題解決と改善の促進: 1on1は、問題解決や業務改善のためのディスカッションの場として活用されます。参加者は日々の課題や障害を共有し、共同で解決策を見つけることができます。
目標設定と進捗管理: 1on1は、目標設定や進捗管理の場として活用されます。参加者は自分の目標や進捗状況を報告し、上司や同僚からフィードバックやアドバイスを受けることで、自己成長や業務の改善に役立ちます。
フィードバックと成長の促進: 1on1は、参加者同士がお互いにフィードバックを交換する機会でもあります。フィードバックを通じて、参加者は自己成長のためのアドバイスや改善点を得ることができます。
これらの効果により、1on1は組織やチームの効率性と生産性を向上させる重要なツールとなります。
ポジティブな職場文化を醸成する
ポジティブで支え合う雰囲気のある職場文化を醸成します。従業員全員がお互いを尊重し、励まし合い、協力して業務を遂行する文化を育成します。ポジティブな行動は個人の心がけです。具体的には自分から挨拶をする、返事をする、感謝の言葉を述べる、他者を支援すること等が挙げられます。一人一人が実施することによりポジティブな職場文化が醸成され、結果として人間関係のストレスを軽減し、生産性を向上させます。働きやすい職場を全員で作っていこうと思い、行動することが重要となります。まずは人材育成担当者が自らポジティブな言動を心がけていくといいのではないでしょうか。
これらの取り組みを通じて、人材育成担当者は従業員の人間関係のストレスを低減し、良好な労働環境を構築することができます。
3.仕事内容や役職の変化に対応するための支援
新年度が始まると、人間関係だけでなく、仕事内容そのものや役職に関連した悩みが出てくることがあります。例えば、新しいプロジェクトや業務が立ち上がったり、異動によって大きく業務内容が変わったりします。業務量が増加し、残業や締め切りへのプレッシャーが高まることもあります。また、目標設定や評価のプロセスが変更される場合もあります。目標の設定や評価基準が不明確だったり、適切なフィードバックが得られない場合、従業員はストレスを感じます。こうした変化が起きるのも新年度初期の特徴と言えるでしょう。
それでは、仕事内容や役職の変化に対応するための支援として人材育成担当者はどのような取り組みができるでしょうか。その内容を具体的に見ていきましょう。
トレーニングやスキル開発プログラムの提供
新しい仕事内容や役職に必要なスキルや知識を身につけるためのトレーニングやスキル開発プログラムを提供します。これには、専門知識の研修、リーダーシップスキルの強化、コミュニケーション能力の向上などが含まれます。基本はOJTで実務を通じて必要なスキルや知識を習得することが多いと思いますが、OFF‐JTで仕事とは異なる環境で新しい知識や経験を積むことにより従業員は自己啓発や自己成長の意欲を高めることができます。
仕事の適性評価と役割の再設計
社員の適性や興味を考慮し、彼らの能力や強みに合った仕事の役割やポジションを再設計することが重要です。適性評価を行い、彼らの能力を最大限に活かせるような仕事の配分を検討します。
メンタリングプログラムの提供
メンタリングプログラムを導入し、経験豊富な社員や上司とのマンツーマンでの相談やアドバイスを提供します。メンターからのアドバイスや経験談は、新しい環境や役割に対する不安を軽減する助けになります。【1on1との違いは戦略的で長期的な成長に焦点を当てる点です。キャリア開発やリーダーシップスキルの育成を狙いとしています】
ワークショップやグループディスカッションの開催
社員同士が情報や経験を共有し、互いに助け合う場を提供することが有効です。ワークショップやグループディスカッションを通じて、社員がお互いに学び合い、成長する機会を提供します。
これらの支援を提供することで、社員が変化に対応し、成長するためのサポートを行います。社員の能力やモチベーションの向上により、組織全体のパフォーマンスや成果にもポジティブな影響を与えることが期待できます。
4.まとめ| 5月病に対応する!ポジティブな職場を構築する

多くの企業が4月から新年度を迎え、職場の環境が変化真っただ中でゴールデンウイークを迎えます。新しい環境や仕事に適応する中で期待や不安で緊張が続き、心身ともに疲れを感じている時期だと思います。ゴールデンウイークは体を休め、リフレッシュされた明るい気持ちで5月が迎えられるように、ポジティブな職場を構築していきたいものです。そのために人材育成担当者が5月病を理解し、「人間関係や変化の悩みに伴う支援」と「仕事内容や役職の変化に対応するための支援」を実施することで、明るく働きやすい 5月病に対応する ポジティブな職場が構築できるのではないでしょうか。
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。
5.企業研修のことならヒューマンエナジーにご相談ください
ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。特に今回の内容の関連でいえば、管理者向けの「人間関係や変化に伴う悩みの支援」のためのリーダーシップスキル研修や次世代リーダー研修など。新入社員、若手社員向けではコミュニケーション力向上研修などが該当するでしょう。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。
ビジョン反映型カスタマイズ研修
特徴1.ビジョン反映型研修
お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。
特徴2.社会の変化・新たなキーワードを取り入れた研修
お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。
特徴3.ワークショップ中心
受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。
研修の特徴 4. ゴールまで支援
研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。
お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。
株式会社ヒューマンエナジー
愛知県名古屋市中村区名駅2丁目36番2号 協和ビル604
052-541-5650
お急ぎの方はお電話ください(平日9:00~18:00)
この記事を書いた人

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)
【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了
1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。
本ブログの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。