昨今の世の中に対して、環境が急速に変化し、先行きが不透明である「VUCA」の時代と言われることが多くなってきています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、私たちが直面する多くの課題や問題のことです。このような時代において、組織や社会が成功し続けるためには、一人一人のリーダーシップが極めて重要です。
リーダーシップとは、特定の役職や地位にある人だけに求められるものではありません。むしろ、すべての人が自分の役割や立場においてリーダーシップを発揮することが求められます。
弊社では一人一人の状況に応じて必要なリーダーシップを発揮するために必要な知識、スキルを学んでいただく研修をご提供しています。
今回は弊社が提供している リーダーシップ研修 についてご紹介いたします。
1.特徴
弊社の研修は、実践的かつ理論的なアプローチを取り入れていることが特徴ですが、具体的には以下の2点について、自ら考えられるように導くことで実現します。
1. 理論と自分の現場がどのように紐づくか
2. 理屈だけでなく、現場で何を実践するか
研修の第一の特徴は、リーダーシップ理論を自分の現場と結びつけることです。弊社の研修では、以下の方法でこれを実現します。まず理論が、具体的な状況でどのように適用されるかを学びます。例えば、サーバントリーダーシップ理論を学んだ後、その理論がどのように日常業務で役立つかを実際の事例を用いて説明します。次に受講者が自分自身のリーダーシップスタイルを思い出し、自分の行動と理論を照らし合わせる機会を提供します。受講者は理論が自身の現場でどのように役立つかを具体的に理解できます。
さらに、他の受講者とのディスカッションを通じて、それぞれの現場で理論がどのように適用されるかを共有し合います。これにより、多様な視点から理論の実践的な応用方法を学ぶことができます。
研修の第二の特徴は、学んだ理論をどのように現場で実践に移すかを考えることです。具体的な方法は以下の通りです。研修中に行った演習やシミュレーションに対して、講師や他の受講者からフィードバックを受けます。このフィードバックを通じて、理論を現場で実践する際の改善点や成功事例を共有します。研修の最終段階では、受講者が学んだ理論を基に具体的なアクションプランを作成します。このプランには、理論をどのように日常業務に組み込むか、具体的なステップや目標が含まれます。これにより、受講者は研修終了後も理論を現場で活用し続けることができます。
2.階層による指導のポイント
ヒューマンエナジーの研修では、全階層で同じテキストを使用しています。新入社員、3年目、5年目、10年目の社員、リーダー、管理者に対しても、基本的なリーダーシップ理論は変わりません。一方でそれをどのように活用するかは各階層・各企業で異なるため、階層ごと・企業ごとに事例や強調すべきポイント、課題の内容を変えて研修を実施します。
指導のポイントは一貫した理論を基に、階層ごとの具体的な事例と実践的なフィードバックを通じて、各階層の社員が効果的にリーダーシップを発揮できるように支援することです。若手、中堅、管理者、それぞれについて代表的な事例をご紹介します。
【若手】
若手に期待するリーダーシップ像は、企業文化や業種・職種によって大きく異なります。例えばサービス業の場合、顧客対応の質を向上させるために、スタッフをまとめてサービスの標準を維持・向上させるリーダーシップが求められます。
アルバイトやパートスタッフをまとめる立場では、若手社員が直面する課題は多岐にわたります。若さゆえにリーダーシップを発揮するのが難しいと感じることもあります。例えば、年上のアルバイトやパートスタッフに指示を出す際に、遠慮してしまったり、相手にうまく伝わらないことがあるかもしれません。また、自身の経験不足から、適切な判断や指導ができないと感じることもあります。こうした課題に対処するため、丁寧なコミュニケーションと信頼関係の構築が求められます。このため、研修では、若手社員がどのように効果的にコミュニケーションを取るか、具体的なスキルとアプローチ方法を学びます。例えば、相手の立場に立って話を聞く技術や、明確かつ簡潔に指示を伝える方法、感謝の気持ちを適切に表現する方法などです。これにより、アルバイトやパートスタッフと良好な関係を築き、リーダーシップを発揮できるようになります。
また、これからリーダーになる人や先輩社員として後輩をどうリードするかについては、フォロワーシップやシェアドリーダーシップの理論も紹介しながら、部下としてのリーダーシップの発揮方法を学びます。
【中堅】
この段階の社員は、専門知識や業務スキルを習得しており、チームリーダーやプロジェクトリーダーとしての役割を求められることが多く、部下や後輩を指導する段階に入っていきます。まだ自分のリーダーシップスタイルが分かっていない人やどのように管理したらいいのか悩んでいる人もいます。そこで、様々なリーダーシップ理論をご紹介し、「このように導く方法が複数あります。自分に置き換えてみて、どう思いますか?」と、問いかけ、自分事としてどのようにリーダーシップを発揮したらいいか考えてもらいます。自分のやり方を言語化する中で、自分のリーダーシップがどういうタイプかを知り、組織の特性を知る時間も設けます。例えば、世話役型のリーダーシップスタイルは、チームメンバーの和を重視し、サポートや協力を重んじますが、目標や方向性があいまいになる可能性があります。この課題を克服するためには、目標や方向性を明確にし、チーム全体のパフォーマンスを向上させることが重要です。
このように リーダーシップ研修 では理論を学び、自分自身がどのようなタイプのリーダーなのか知ることで、現場での具体的な振る舞いをイメージし、それを実際の行動に繋げるように促します。
【管理者】
管理者に対しては、メンバーの指導・育成を見直す機会を提供します。特に管理者は、今までの経験から自分独自のリーダーシップスタイルや古いリーダーシップ手法を絶対視している傾向があります。これは、過去に成功を収めた方法や習慣が深く根付いているためです。しかし、時代や環境が変化する中で、同じ手法が常に有効であるとは限りません。したがって、これまでのリーダーシップスタイルを考え直し、改善する必要があります。研修の中で「日頃の自分自身を振り返って客観的に見てみましょう、いかがですか?」と問いかけることで、新たな視点を得られることがあります。職場でうまくいっていないことについて、チーム全体でディスカッションし、チームメンバーの経験やアドバイスを聞く時間も大切にします。一部のメンバーは、自分が上司や先輩から受けた指導方法と現在の指導方法とのギャップに苦しんでいることがあります。このような場合、考え方を変えるためのサポートが必要です。そこで特に弊社の リーダーシップ研修 で多くの場合にご紹介するのがサーバントリーダーシップの理論です。サーバントリーダーシップは、リーダーがまず他者に奉仕することを優先し、その結果としてチーム全体の成長と成功を促進するリーダーシップスタイルです。従来のトップダウンのリーダーシップとは対照的に、サーバントリーダーシップではリーダーがチームメンバーのニーズを最優先に考え、支援することが重要です。サーバントリーダーシップについて学ぶことで、多くの人が「サーバントリーダーシップでも良いんだ」と気づき、すっきりすることが多いです。
さらに管理者の立場になると、リーダーシップの理論だけでなく、具体的なマネジメントスキルも必要です。効果的なリーダーシップは、強固なマネジメント基盤の上に成り立つものであり、両者は密接に関連しています。そのため、 リーダーシップ研修 には、マネジメントの内容も含まれることがよくあります。リーダーシップは未来に向けたビジョンと変革を推進する役割を担い、中長期的な視点を持つ一方で、マネジメントは組織の安定と効率的な運営を確保する役割を果たし、短期的な視点と長期的な視点両方を持ち合わせる必要があります。このように、リーダーシップとマネジメントは補完的な関係にあり、組織の成功には両者のバランスが重要です。
3.自己の持論を持つことが重要
また、全体を通じて、弊社が重要視するのは、理論だけでも不十分、経験だけでも不十分という観点です。
経営学者・理論家が様々な理論を提唱しています。それを知ることはとても重要です。しかし、現場では理論通りにいかないことがほとんどです。さらに、実業家が実際にリーダーシップを発揮した実際の行動や、組織を目標達成に導くための言動を学ぶことも大切です。これらは学ばなければ身につきません。今はオンライン動画サイトなどで手軽に知ることができます。歴史上の人物やアニメ、ドラマの世界でも同様です。ただし、それはその組織だからできたことなので、自分自身の経験も加味する必要があります。自分がリーダーを務めた経験がない場合でも、知らないうちに中心となって行動したり、リーダーをフォローしながらの経験があると思います。
一方で、自分の経験、実業家の持論だけではなく学者の理論を学ぶ必要もあります。これらを知り、考えることでリーダーシップに対するアンテナが張られるようになります。
これら、①学者の理論、②実業家の持論、③自分の経験を組み合わせて自分のリーダーシップ像を作ることが重要です。常に自分も動いて考えることで、自分なりのリーダーシップの持論が形成されていきます。自分なりのリーダーシップの持論を持つことで、自分の強みや価値観を明確に理解し、自信を持ってリーダーシップを発揮することができます。さらに意思決定や行動に一貫性が生まれ、メンバーからの信頼が高まり、リーダーとしての影響力が増すという効果もあります。管理者向け研修の中では自己の持論を考え、発表をする時間も設ける場合もあります。
4.研修を受講するメリット
研修を受講すると自分事として捉えることができ、理解が進みます。本を読んだだけではリーダーシップは発揮できません。そこには様々な理由があります。例えばリーダーシップのスキルは、他者からのフィードバックを受け、自己改善を繰り返すことで向上します。他にはリーダーシップには、コミュニケーション能力などの対人スキルが重要です。これらのスキルは本を読むだけでは習得は難しいため、研修で同じ立場の人の考えや経験を知ったり、お互いにフィードバックする時間も設けたり、コミュニケーションスキルのトレーニングを実施したり、実際に人と接し磨く機会を設けることで、対人スキルを磨くことができます。
5.まとめ
新人・若手、中堅、管理者によって身につけて欲しいスキルは少しずつ異なります。様々なリーダーシップ理論を全階層に知っていただくことによって、引き出しの中身が増え、いつか立場が変わった時に研修で聞いた理論を思い出して実践できるようになります。日常的な改善への取り組みを含めて、より多くのメンバーがリーダーシップを発揮する機会を持つことが重要です。
また、模範となる人物がいれば、そのリーダーシップに直接触れることがで他のメンバーに良い影響を与えます。リーダーシップ理論や実業家の持論を学び、経験と学びを通して得られたものを言語化し、自分なりの持論を構築する。それを互いに伝え合い、実践と内省を繰り返すことで、より高いレベルに引き上げていくことが可能となります。 リーダーシップを育て、根づかせるためには、それにふさわしい環境が必要です。
このような観点から、組織・業務運営や人材配置・育成の現状を点検し、その在り方を検討することが重要です。その中の一つとして弊社の研修をご提案いたします。
6.企業研修のことならヒューマンエナジーにご相談ください
ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。課題をヒアリングする中でリーダーシップの内容に紐づく場合は リーダーシップ研修 を提案します。研修内容はお客様によって異なります。年代別に実施する内容を一律に変えるのではなく、お客様に合わせて内容を変えます。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。
ビジョン反映型カスタマイズ研修
特徴1.ビジョン反映型研修
お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。
特徴2.社会の変化・新たなキーワードを取り入れた研修
お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。
特徴3.ワークショップ中心
受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。
研修の特徴 4. ゴールまで支援
研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。
お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
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株式会社ヒューマンエナジー
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この記事を書いた人
株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)
【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了
1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。