【コラム】部下が上手く動けないのは、相手の理解力だけの問題? ―管理職に求められる「 伝える力 」の見直し―

「部下が上手く動けない」のは、相手の理解力だけの問題?
―管理職に求められる「 伝える力 」の見直し―

先日、製造業のお客様からこんな相談を受けました。
「外国人派遣スタッフが増えているのですが、指示がうまく伝わらないことが多くて。認識違いやミスが続いていて、現場から不満も出ているんです。」

よく聞いてみると、外国人スタッフ全員がうまくいっていないわけではありませんでした。指示を出す人によって、コミュニケーションがうまく取れる・取れないに差もあるようなのです。もちろん、日本語能力や文化の違いが影響する場面はあります。しかし問題の一端は、外国人スタッフ側だけではなく、指示を出す側の「伝え方」にもあるのではないか、というご相談でした。

この事例をきっかけに、今回は管理職に求められる「 伝える力 」について考えてみたいと思います。

今の職場には、さまざまな背景を持つ人材が混在しています。
・価値観や仕事観が異なるベテランと若手、Z世代の混在
・前職のやり方が染みついている中途採用者
・文化や言語背景の違う外国人材
・時間制約のある派遣・パート社員など

このような環境では、従来のような「言わなくてもわかる」「見て覚えてほしい」「普通はこうする」という伝え方が通用しにくくなっています。

また問題は、単純な理解力だけではありません。「わからないことは確認する」「相手の意図を考える」「求められている水準をすり合わせる」といった溝を埋めるための歩み寄り行動を、受け手がどこまで自発的に取ってくれるかにも大きな期待差があります。

相手に望むにも限界がある以上、多様な人材が働く職場では、「言えばわかる」「わからなければ聞いてくるはず」と期待するのではなく、こちら側から解釈の余地を減らす伝え方が求められます。

もうひとつ重要なのは、指導や注意の場面における伝え方です。管理職の言葉や態度の受け止められ方は、これまでとは変わってきています。

かつては、「厳しく指摘されるときには訳がある」「怒られる側にも原因がある」と受け止められていた関わり方でも、今日では相手に強い圧迫感を与える言動や、ハラスメントにつながる行為として問題視されることがあります。

もちろん、業務上必要な注意や改善指導は、管理職の大切な役割です。ミスの繰り返し、約束した行動が守られない、周囲に影響が出ているといった場面では、きちんと伝えなければなりません。

一方で、正当な注意であっても、感情をそのまま言葉や態度に出す、人格や姿勢を決めつける、人前で強く叱責する、威圧的な言い方をするといった関わり方は、相手を萎縮させ、ハラスメントと受け取られるリスクがあります。

管理・監督する立場である以上、管理職本人に「そんなつもりはなかった」としても、相手がどう受け取ったか、第三者から見て適切な関わりだったかが問われるのです。また相手が、相談窓口、外部機関、法的手段、SNSなどを通じて、職場で受けた指導や注意について外部に相談・発信しやすくなっている今、企業としても、管理職に適切な関わり方を教育していたかどうかが問われます。

このように、多様化の時代だからこそ、指導・注意の場面では、相手が受け止められる形で伝える力がますます重要になっています。企業としても、その伝え方を管理職任せにせず、教育すべきテーマとして位置づける必要があります。

さらに、人手不足が深刻化する今、管理職の関わり方は、採用した人材を早期に戦力化し、定着させるうえで、以前にも増して重要になっています。

同じ会社の中でも、「あの上司の下では人が育つが、別の上司の下では定着しない」「あの管理職の指示はわかりやすいが、別の管理職の指示ではミスが増える」「あの人の任せ方は部下を成長させるが、別の人の任せ方では部下が不安を抱えたままになる」といった差が生まれている職場は少なくありません。

人材に余裕があった時代であれば、こうした差は「管理職による違い」として見過ごされていたかもしれません。しかし、人材不足の時代には、採用した人材を早期に育て、持てる力を発揮してもらい、職場に定着してもらうこと自体が重要な経営課題です。そのため、管理職ごとの関わり方の差は、単なる個人差ではなく、育成スピード、現場での活躍度、定着のしやすさに直結します。

だからこそ、管理職の関わり方を、単なるコミュニケーションスキルとして扱うのではなく、人材を育て、活かし、定着させるための「戦略的な関わり方」として捉える必要があります。

管理職一人ひとりが、組織として求める関わり方を理解し、共通の考え方と行動基準に基づいて部下に向き合える状態をつくること。それが、人材不足時代において、育成・戦力化・定着を安定的に進めるための重要な土台になります。

ここまで見てきたように、管理職の「 伝える力 」を見直す必要性は、単なる話し方の問題にとどまりません。管理職の関わり方そのものが、組織の信頼や人材戦略に大きく影響するため、 管理職研修 の主な要素として体系的に教育していくべきテーマの一つになってきています。

1)管理職研修で、意識と行動の両面を学ぶ

管理職の関わり方を見直すには、まず1章のような時代背景や職場環境の変化を理解することが欠かせません。それらを踏まえ、 管理職研修 でまず伝えるべき重要なポイントは、「自分を基準にした関わり方」から、「相手がどう受け取り、どう行動できるかを起点にした関わり方」への意識転換です。

そして、意識を変えるだけでは、明日からの行動は変えられません。何を、どのように変えればよいのか、具体的な行動についても基本を学ぶことで変化を促進できます。

管理職に求められる関わりは、昨今では「対話力」とも言いますが、具体的に展開していくと「伝え方」以外にも様々な要素があります。相手の状況を把握するには「聞く」「見る」ことも重要です。また成長を促すには「任せ、育てる」ことも欠かせません。これらの要素を全般的に指導する必要がありますが、今回は様々な働きかけの土台となる「伝える力」に着目していきます。

なお、管理職研修では、このような知識やスキルを一方的に提供するだけでなく、同じような立場の管理職同士が学びながら、現場での悩みや工夫を語り合う場としての役割もあります。人事としても現場の生の声を拾い上げ、孤立しがちな管理職を支える機会にもなるため、ワークショップ型の管理職研修としての重要性はますます高まっています。

2)「伝える力」における3つの視点

伝える力とは、単に説明が上手いかどうかだけではありません。現場の「伝えたつもり」と「伝わった」の間には、いくつかの溝が挙げられます。ここでは大きく3つに分類してみました。

まず、 管理職側からの伝える内容そのもののわかりやすさを見直す「言語化」についてです。こちら側が意図として含んでいる「つもり」、すなわち暗黙知や前提を相手に伝わりやすく言葉にするには、どう具現化するとよいのか。詳しくは次の章で解説していきます。

次に、図・写真・実物・手順書など言語以外の手段を活用するほか、声のトーンや表情、伝える場所やタイミングなど言葉以外の伝わり方を整える「非言語」についてです。これはハラスメント対策としても特に重要なポイントとなります。また、最も個人が自分だけでは変えにくい要素になります。そのため、例えばワークショップ型の学びを通じて、客観的な自分への気づきを促したり、理想像を練習してみるなどの実践的な学びの場は非常に有効です。

そして、最後は相手の言葉で理解を確かめる「確認」行為が有効です。現場ではよく「わかりましたか?」「はい」という形式的な確認行為がなされがちですが、本当に相手が理解しているとは限りません。目上の人に質問や意見がしにくい文化圏や価値観もあります。また、少し時間のかかる仕事の場合は、あらかじめ状況報告のタイミングや内容を決めておくことも有効です。このような「伝える」の後に、相手の理解状況をいかに確認していくかが、「伝える」を確かなものへと押し上げていきます。

これら3つを同時に意識するというよりも、今問題が起きやすい相手とはどこが大きく障害になっているかを見極め、ひとつずつ改善を試みる、というのが現実的だと考えます。

では次の章で、特に行動に移しやすい「言語化」の型について解説していきます。こうした型があることで、管理職が自分の経験や感覚だけに頼らず、具体的に行動を変えやすくなります。

伝え方は目的によって必要な順序や内容が変わります。そこで、今回は「部下がうまく動けない」状況に着目して掘り下げてみましょう。相手の立場になって考えてみると、以下のような3つのつまずきが考えられます。

・何をすればよいかが曖昧
・なぜそれをするのか納得できていない
・何を直せばよいかがわからない

今回はこの3つのつまずきに対応した「伝える型」を解説していきます。

これは、一般的な業務依頼や役割付与の場面で使う伝え方です。目的は、部下が迷いなく動ける状態をつくることです。

よくある問題は、管理職が「やること」だけを伝えてしまうことです。例えば、「この資料、まとめておいて」だけでは、部下は何のための資料なのか、どのレベルまでまとめればよいのか、いつまでに必要なのか、困ったときに誰に相談すればよいのかがわかりません。

そこで重要なのが、「目的 → 期待成果 → 期限 → 支援」の順番です。例えば、次のように伝えます。

例:「来週の顧客打ち合わせで現状の課題を共有したいので、過去3か月の不良件数を資料にまとめてください。A4一枚で、件数の推移と主な原因がわかる形にしてほしいです。期限は金曜15時までです。途中で迷ったら、木曜午前までに一度相談してください。」

このように伝えると、部下は「何をすればよいか」だけでなく、「何のために」「どの水準で」「いつまでに」「どこで相談できるか」がわかり迷わないので、より行動に移しやすくなります。

これは、複雑な課題や意見調整が必要な場面で使う伝え方です。目的は、相手に納得して判断・行動してもらうことです。

管理職の伝え方でよくあるのは、「来月からこのやり方に変えます」「今回はA案でいきます」と、結論だけを伝えてしまうことです。結論を明確に伝えることは大切ですが、背景や判断基準が共有されないままでは、部下は納得しづらくなります。

そこで重要なのが、「背景 → 論点 → 選択肢 → 評価軸 → 合意」の順番で伝えることです。

例:「最近、納期遅れが月に3件発生しています。原因は、出荷前検査のタイミングが担当者によってばらついていることです。今回の論点は、検査のタイミングをどこで統一するかです。選択肢は3つあります。今回は、ミスを減らすこと、現場負荷を増やしすぎないこと、納期に影響を出さないことを評価軸にします。この基準で見ると、作業完了直後に一次確認し、出荷前に最終確認する方法がよいと考えています。」

合意形成で重要なのは、必ずしも全員一致ではありません。大切なのは、判断の背景、評価軸、最終的にどう進めるかが共有されていることです。

これは、部下の成長や改善を促す場面で使う伝え方です。目的は、気づきと行動変容を促すことです。

フィードバックでよくある失敗は、「やる気がないよね」「責任感が足りない」「何回言ったらわかるの」「君はいつも雑だよね」と、人格や性格に踏み込んでしまうことです。このような伝え方は、相手を防御的にさせ、ハラスメントと受け取られるリスクも高めます。

フィードバックで大切なのは、自分の感情をぶつけることや相手の人格否定ではなく、事象や行動に焦点を当てて意見を伝えることです。そのためには「状況 → 行動 → 影響 → 今後の期待」の順番で伝えます。

例:「昨日の朝礼で、Aさんが報告している途中に説明を始めた場面がありました。その結果、Aさんが最後まで話せず、他のメンバーも発言しづらそうに見えました。次回からは、相手の報告を最後まで聞いてから、自分の意見を伝えるようにしてください。」

大切なのは、感情的な強さではなく、具体性です。どの場面で、どの行動が、周囲にどんな影響を与えたのか、そして次にどうしてほしいのかこれを具体的・客観的に伝えることが、行動変容につながります。

冒頭の外国人材とのコミュニケーション課題は、決して特殊な問題ではなく、多様化する職場で多くの管理職が直面している「 伝える力 」の問題だと言えます。

しかも、このような「関わり方」については、管理職個人の資質に任せるのではなく、組織共通の考え方や型として指導していくことが、これからの管理職育成には欠かせません。

その管理職研修では次のようなポイントを押さえて指導していくことが重要です。
・多様化と人材流動が激しい、これからの職場環境を理解し前提とすること
・「自分を基準にした関わり方」から「相手がどう受け取り、どう行動できるかを起点にした関わり方」へ意識転換をすること
・伝える力は「言語化」「非言語」「確認」の3観点から見直すこと
・「言語化」については、場面別の「型」として現場で実践しやすいモデルを示すこと

今回の言語化の型では、部下がうまく動けない時の3つのつまずきを解説しました。何をすればよいかが曖昧な場面では「期待明確化型」、なぜそれをするのか納得できていない場面では「合意形成型」、何をどう直せばよいかがわからない場面では「フィードバック型」を基本として意識して実践してみましょう。

これからの人材不足の時代にむけて、多様な人材を受け入れ、早期戦力化し、定着させていくためには、管理職の「 伝える力 」をアップデートすることが重要な第一歩になるのではないでしょうか。


※本コラムの内容に研修実例を交えて、2026年6月25日(木)に無料オンラインセミナーを実施します。ぜひ、お申込み・ご視聴ください。


神山 晃男(かみやま あきお)
株式会社ヒューマンエナジー 代表取締役
経営層むけの管理者育成研修、戦略立案などの他、
コミュニケーション研修が得意領域。

経営改善や投資ファンド系のコンサルティング会社を経て、2013年6月に株式会社こころみを設立。「コミュニケーション」と「高齢者・医療・介護系マーケティング」の専門家として数々のセミナー出演や執筆活動の他、大学院との共同研究や介護ロボットのAIによる会話エンジンの開発支援などにも携わっている。2022年、事業承継により㈱ヒューマンエナジー代表取締役に就任、経験を活かし講師としても精力的に活動中。

認定NPO法人カタリバ 監事
医療AI推進機構株式会社 監査役
株式会社テレノイドケア 顧問
流通経済大学 非常勤講師
元 株式会社イノダコーヒ 取締役
元 ウイングアーク1st株式会社 監査役

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【コラム】若手はAIを使えるのに、なぜ仕事の成果につながらないのか ― 生成 AIの業務活用 に必要な「任せ方・見極め方・判断基準」―

若手はAIを使えるのに、なぜ仕事の成果につながらないのか
― 生成 AIの業務活用 に必要な「任せ方・見極め方・判断基準」 ―

2026年4月、多くの企業で新入社員を迎えました。新入社員研修も終わり、これから現場配属という会社も多いのではないでしょうか。昨今では学生時代から生成AIに触れてきた世代が社会人になり、企業側の受け入れ準備も加速しています。

しかし、現場からは少し違う声が聞こえてきます。
「使い方は知っているのに、業務で活かせない」「AIの回答をそのまま提出してくる」――。

AIの利用経験は確かに広がったものの、それが業務成果に結びつかないというギャップが、新たな課題として浮かび上がっています。前々回のコラム「AIは導入するだけでは根づかない」では、組織全体でのAI活用が「設計不足」によって停滞する構造を整理しました。今回はその論点を、特に若手育成にフォーカスして掘り下げます。

日本経済新聞2026年4月2日の記事で、主要企業各社が一斉に新入社員向けに生成AI活用研修を始めたことが報じられました。AIを相手に顧客対応を練習するなど学習効果を高めるのにAIを活用する他、プロンプト作成や誤回答リスクへの理解など、業務でのAI活用を見据えた実践的な研修に取り組む企業も増えています。

その背景には、新入社員のAIリテラシーが急速に上がっているという現実があります。記事中で引用された産業能率大学総合研究所の調査では、2025年度の新入社員のうち約8割が生成AIの活用経験を持っており、前年度の約5割から大幅に増えたと報じています。

企業はこれを大きな可能性と捉えているのです。若手はAIに抵抗感を持っていないので、業務改善や生産性向上の起点になり得る、組織の成長を加速させてほしいと、どの企業も期待をもって新人育成にAI研修を実施している様子がTOPメッセージなどからもうかがえます。

一方で、2026年4月27日東洋経済オンラインの記事では、昨年の新人エンジニアの配属先企業から、AI活用を歓迎する声ではなく、怒りや悲鳴に近い声が上がっていると報じています。「AIに何でも聞いてコピペしている」、「内容を理解しておらず、出力結果の品質チェックができていない」、「一見ちゃんとして見えるので、チェック漏れが起き、かえって工数がかかる」など、AIによって「見せかけの有能さ」を身につけた新人が、現場で新たなリスクとなっているというのです。

ここでは「使われない」のではなく、むしろ使われ始めたときの“別のリスク”が顕在化しています。しかし、だからといって若者がAIを使うこと自体を否定するのは、この技術革新の時代においては本末転倒です。適切な使い方の基準がないまま活用が先行することを問題視する必要があります。そのため経済産業省・総務省では、「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を策定しています。

既にAI開発事業者や提供者にはこのガイドが浸透しつつあり、教育や開発プロセスの多くにも組み込まれるようになってきていますが、AI利用者自身への指導も重要なため、最新版のガイドラインではAI利用者向けのチェックリストやワークシートも公開されています。

これらを活用して、「機密情報を入力しない、回答を鵜呑みにしない、著作権・個人情報・セキュリティに配慮する、人が最終判断を行う」といった運用を利用者自身にも理解してもらい、安心安全に組織や社会で使うための倫理観、リスク管理に伴う考え方を操作とセットで指導することが必要不可欠になっています。

ところで、冒頭で紹介した2026年4月27日東洋経済オンライン記事では、もう一つ注目すべきデータが示されています。コンサルティング大手PwCが日本を含む48の国・地域で実施した調査によると、業務で生成AIを「全く使用しない」と回答した割合は、研修生・新入社員で6〜7割と最も高く、管理職や経営幹部の4割以下を上回っていました。つまり、「若手はAI利用に慣れてはいるが、業務で生かす習慣は定着していない」というのです。

なぜAIに慣れている世代が、仕事ではAIを使いこなせないのでしょうか。もちろん、企業では環境が異なり、私的利用のように自由には使えない事情はあります。しかし、これは2)の内容とも関連するある種の「使い方」指導、リテラシー教育としてカバーされる範疇です。もし、それが十分にできたとしても、 AIの業務活用 が促進されるとは考えにくいのです。

一度、立ち止まって考えてみましょう。AIを業務で使うという行為は、本質的に何をする指すのでしょうか。

私たちは、 AIの業務活用 をこのように整理してみました。―「処理能力は高いが、業界文脈を知らず、ときどきもっともらしい誤りも出す部下に業務を委譲し、管理すること」―。

このような捉え方をすると、AI活用が単なるツール操作ではないことが見えてきます。指示の出し方、成果物の見極め方、リスクの判断、最終的な責任の所在、これらはすべてマネジメントの領域です。もちろん、組織がいきなり高度な業務判断を若手に丸投げする、という意味ではありません。「業務でAIを使わせる」こと自体が、早い段階から一段上の判断力、いわばディレクターや品質管理者のような役割を求めていることを指しています。

このようなマネジメント領域のスキルは、新人が持っていないものばかりです。それがいきなり若手にも求められるようになった――これがAI時代の構造的な変化です。本人の努力だけでカバーできる範囲を超えているのです。

このような技術の背景にある「役割の変化」が、違和感や混乱を生じさせています。私たちは、ここに生成 AIの業務活用 を推進するための本当の難しさがあると考え、2つの構造的な壁として整理しました。

壁① :マネジメント力を学ぶ機会の不足

2章でも述べた通り、AIを業務で使いこなす要件を分解すると、その大半が、実はマネジメントスキルそのものであることに気づかされます。

しかし、現状は若手がこうしたマネジメント力を学ぶ機会はほとんどありません。一般的に若手は、シンプルに言えば「まず先輩から指示を受け、作業を正確に進める作業者」として育成されます。例えば新人研修の内容は、社会人ルールやビジネスマナー、基礎的なスキルが大半を占めています。判断力やマネジメント力は、若い頃ではなくリーダや管理職になる頃に、一部研修で学習したり、「時間をかけて現場で先輩から学ぶもの」というのが多くの企業の現状ではないでしょうか。

まずは、AIを業務で使いこなすには技術スキルだけではなく、マネジメントスキルも重要であるという認識自体を広め、若手教育計画の中身を見直す必要性を促していく必要があります。

壁② :ベテランが持つ判断基準「ものさし」が共有されていない

仮に若人にマネジメント力を教えようとしても、もう一つの壁にぶつかります。判断基準そのものが、組織の中にきちんと存在していないという問題です。

AIの出力を「これは良い/これは使えない」と評価するには、その業界・その会社・その業務における専用の「ものさし」が必要になります。そしてこのものさしは、ベテラン社員の中にこそ存在しています。長年の経験から、何を重視し、どこを疑い、どう仕上げれば顧客に通用するかを、彼らは知っています。

ところが、その判断基準の多くは次のような状態にあります。

「マニュアルを整備しよう」という掛け声は上がったとしても、言語化が難しいからこそ上手く進まず、使えないレベルで終わってしまったり、放置され、形になっていない企業様も多いのではないでしょうか。

そのため、教えようとしても、教える側に「正解の例」を体系的に示す手段がない。これが、若手のAIの業務活用が進みにくいもう一つの理由だと考えます。

では、この2つの壁にどう向き合えばよいのでしょうか。私たちは、それぞれの壁に対応する2つのアプローチを組み合わせて提供する必要があると考えています。

解決策①:マネジメント力の向上

壁①に対しては、若手にAIを使いこなすためのマネジメント力向上研修が必要です。私たちはこれを、ワークショップ型のプログラムとして設計しています。中核となるのは、次の4つのコア能力と、これらすべての土台となるマインドセットです。

マインドセットの「最終責任は自分が持つ」――。これは、AIが部下である以上、品質の最終責任は自分にある、という当事者意識です。コピペで済ませる人と、AIをディレクションして成果を出す人を分けるのは、突き詰めればこの一点です。

解決策②:暗黙知の構造化

壁②に対しては、ベテランの頭の中にある判断基準などのノウハウを、何らかの形で引き出し、データ化・構造化することが必要です。これは研修プログラムではなく、組織の知識資産を整備し、資産化する取り組みとなります。

上記の例は、ヒューマンエナジーのグループ会社である株式会社こころみが提供するAIサービス事例です。株式会社こころみは、長年、高齢者向けの傾聴インタビュー事業を運営する中で、人の語りから知見を引き出すメソッドを蓄積してきました。これを企業向けに応用したのが「Interview-to-Agent」です。

ベテラン社員に対して、インタビューを構造的に行い、判断基準や行動哲学などを段階的に言語化していきます。引き出された知見は、行動哲学・行動特性・汎用スキル・個別スキルなど階層別に整理されます。このノウハウの塊のデータが、まさにAI時代の組織の貴重な「資産」なのです。このデータを回答源にすることで、例えば「いつでも若手が相談できる【ベテランノウハウAI】」などをつくることができ、組織全体のAIを絡めた業務支援に活かすことができるようになります。

解決策①と②を組み合わせることは、企業としての取組意義が非常に高い

解決策①の研修で「マネジメントの基礎理論・一般論」を身につけることにより、業務の段取りや推進自体はよりスムーズになりますが、自社特有の業界文脈や顧客対応の機微を踏まえるには解決策②が重要なポイントです。②によって、若者が自力でテランのノウハウを業務に反映することができるため、会社が求める業務水準に効率的・効果的に到達できる可能性が高まります。

また、ベースとなる「判断基準ライブラリ」や「提供方法」などは、使われながら学習を重ねていくので、時間が経つほど洗練されていきます。現実を踏まえながら使っていくことが重要で、使うほどに資産価値、利用価値も高まっていきます。

そしてこれらの取組みは、「若手の早期立ち上がり支援、ノウハウ継承・資産化、AIの業務活用促進」という3つの企業課題に同時にアプローチしていることにもなります。さらに、ノウハウの蓄積と利用には、若手とベテランを一緒に巻込めるプロジェクトとしても活動意義が高く、企業としての本質的な取り組み意義がここに存在します。

今回は若手のスキル着目して論じてきましたが、日本企業がAIで創出効果を高めていくには、今後どんな取り組みが必要なのでしょうか。全体像を整理してみました。

① AI利活用におけるリテラシー ── 全社員がAIを安心安全に「使える」「活用できる」状態にする。役割に応じた領域・深さで学習を設計する必要があります。

② AI活用時の判断力(マネジメント力・判断基準の言語化) ── 3章で整理した通り、AIという部下を使いこなすには「仕事を切り出し、任せ、見極め、修正する力」が必要です。組織固有の実践的な判断基準は、今後いかに言語化して共有財産にし、AIに絡めて活用していけるかが企業の生き残りを左右していくと考えられます。

③ AI活用促進への改革意識(停滞への危機感・変革意欲) ── 「AIに脅かされる」意識から「AIで自分たちが変わるチャンスへ」と幹部や組織のマインドセットを転換します。

このいずれか1つが欠けても、 AIの業務活用 は失速します。多くの企業が「ツール先行で利用率が伸びない」、「デジタル得意層だけで進む」、「経営・管理職・現場で意識がズレる」という落とし穴に陥るのは、これらのどこかが整っていないのです。

本コラムでお伝えしてきたポイントを整理します。
若手のAI利活用度が急速に高まる一方で、AIの業務活用 度は若手が最も低い
• AIを業務で使いこなすとは、「優秀だが業界文脈を知らない部下をマネジメントする」ようなもの

若手の AI業務活用 が進まない構造的理由は2つ、
 ①マネジメント力を学ぶ機会の不足②ベテランの持つ判断基準が言語化されていない
解決策は、「①マネジメント力を育てる研修」、「②暗黙知の構造化」の組み合わせが効果的
AIの業務活用 推進のポイントは、「リテラシー×判断力×変革意識」

若手にAIを教えるというテーマは、見方を変えれば、組織のマネジメント力と知識資産を同時に整える絶好の機会でもあります。若手教育・ナレッジ継承・AI活用の促進・定着――この3つを別々の課題として追うのではなく、ひとつの取り組みとして束ねていく必要があります。

「AI研修を入れたが、現場で使われていない」「ベテランの退職が迫っているのに知識継承が進まない」―こうしたお悩みをお持ちの人事・研修担当者の皆さまに、本コラムの考え方が一つの参考となれば幸いです。


※本コラムの内容に実例を交えて、2026年5月21日(木)に無料オンラインセミナーを実施します。ぜひ、お申込み・ご視聴ください。


神山 晃男(かみやま あきお)
株式会社ヒューマンエナジー 代表取締役
経営層むけの管理者育成研修、戦略立案などの他、
コミュニケーション研修が得意領域。

経営改善や投資ファンド系のコンサルティング会社を経て、2013年6月に株式会社こころみを設立。「コミュニケーション」と「高齢者・医療・介護系マーケティング」の専門家として数々のセミナー出演や執筆活動の他、大学院との共同研究や介護ロボットのAIによる会話エンジンの開発支援などにも携わっている。2022年、事業承継により㈱ヒューマンエナジー代表取締役に就任、経験を活かし講師としても精力的に活動中。

認定NPO法人カタリバ 監事
医療AI推進機構株式会社 監査役
株式会社テレノイドケア 顧問
流通経済大学 非常勤講師
元 株式会社イノダコーヒ 取締役
元 ウイングアーク1st株式会社 監査役

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【お知らせ】Bizcrew EXPO 2026 名古屋 春「ビジネスイノベーション Japan 」人材育成ブースに出展します

株式会社ヒューマンエナジーは、4月に名古屋で開催されるBizcrew EXPO 2026 名古屋 春「ビジネスイノベーション Japan 」の「人材育成EXPOブース」に出展いたします

なお、会場ではBizcrew EXPO 2026 名古屋 春「ビジネスイノベーション Japan 」の他に、DX総合EXPOAI WORLDの2つのイベントも同時開催しております。AI・自動化などの最新サービスも多数出展されておりますので、ぜひこの機会をご利用ください。

本展示会は、業務効率化・DX推進・働き方改革など、企業の成長を支える最新ソリューションが一堂に会する専門展示会です。ご多忙の折とは存じますが、ぜひこの機会に弊社ブースへお立ち寄りいただき、直接ご相談・ご意見を賜れますと幸いです。

著名人や有識者などを含む、特別公演がございます。
株式会社ヒューマンエナジーは、4/15(水)13:00~に登壇いたします

スムーズな入場のために、事前ユーザ登録をお勧めします。
また、登録すると出展各社の製品資料のDLや動画を見ることができます。弊社資料にアクセスいただいた方にはプロモーションコード【xxxx】を送らせていただきます。

プロモーションコード登録後、日時予約の上で弊社ブースにご来場いただくと、後日Amazon GIFT1,500円分がプレゼントされます。(企業ページの最下段で日時をご予約下さい)

Bizcrew EXPO 2026 名古屋 春「ビジネスイノベーション Japan 」

BIJ 2026 春 名古屋初開催 招待状

【コラム】現場で使えるレジリエンス ~若手の回復力を高める声かけと仕組み~ 

3月に入り、新年度の新入社員受け入れ準備が本格化する時期となりました。多くの企業では、研修設計や配属調整、OJT体制の整備が進んでいることでしょう。

さて、この受け入れ期は特に、早期離職やメンタル不調の増加、育成担当者の負荷増大といった課題が顕在化しやすくなる時期でもあります。現場では、新人の踏ん張りと成長に期待しつつも、「強く言うと辞めてしまうかも」「でも優しくすると育たない。結局任せられず、負担は増すばかり」——そんな板挟みの声も多く聞こえてきます。

ここで必要とされるのが、困難が起きても立て直して前に進む力、「レジリエンス(回復力)」です。本稿ではこのレジリエンスを、個人の性格や根性論で捉えるのではなく、組織の関わり方と仕組みによって育てられる力として捉え直します。

個人と組織の両輪で進めるレジリエンス戦略」として、特に受け入れ側が今から講じられる打ち手のポイントを大きく3つにわけて解説していきます。まだ3月からでも間に合うこともあります。本稿をヒントに受け入れ側の構えの本質を押さえ、新人も現場も、両者が安心して前に進める状態で新年度を迎えましょう。

学生から社会人へと大きな環境変化に飛び込むことで、新人は、これまで経験したことのない仕事での失敗、叱責、他者との比較など、複数のストレスに一気にさらされやすくなります。受け入れ期に起きるこうした「つまずき」を放置すると、自信喪失 → 思考・行動の停止が連鎖し、早期離職や休職、メンタル不調のリスクが高まります。実際に令和6年以降、厚生労働省による「新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率が3割を超えた」という発表に、危機感を覚えた人事ご担当者様も多いことと思います。

厚生労働省 令和7年10月24日(金)報道発表資料より

もちろん離職要因は複合的であり、個人要因に限りませんが、売り手市場の労働環境や価値観の多様化とも相まって、従来よりも「受け入れ期のつまずきが表面化しやすい」ことを示しているのではないでしょうか。

そして、この若手の早期離職問題を目の当たりにすることで、受け入れ側(上司・育成担当)にも当然戸惑いが生じます。「強く言うと折れてしまうのではないか/辞めてしまうのではないか」という不安がある一方で、優しくするだけでは、品質が上がらない、仕事を任せられない、現場の負担が減らない——。受け入れ期には、このような板挟みが構造的に生まれやすいのです。

受け入れ期は、このように双方ともに悩ましい状況を抱えやすい状況ではあります。しかし、労働環境の変化や価値観の多様化を踏まえると、組織の未来のためには、もはや若手のつまずき問題を本人の気合や根性論だけで片づけることはできません。厚労省のデータは、受け入れ側として積極的な介入の必要性を示すシグナルだと捉えるのが現実的だといえるのではないでしょうか。

レジリエンス(resilience)とは、「逆境やストレスに直面した際に、適応し、回復し、成長へとつなげる動的プロセス」と定義されます。重要なのは、レジリエンスが個人の資質だけで決まるものではなく、環境との相互作用で発揮される点です。ここでは実務に落とし込みやすいよう、次の3つの層で整理します。

① 個人レベル(本人の心理資源)
ストレス下での対処行動を支える心理資源として、「認知的柔軟性」「感情調整」「自己効力感」「楽観性」などが挙げられます。中でも、受け入れ期に影響が大きいのが「認知」と「感情」です。
・物事の捉え方(認知)が偏ると、失敗や叱責を自己否定に結びつけやすい
・感情が過度に揺れると、相談や行動が止まりやすい
こうした自信喪失や 思考・行動の停止状態を放置したり本人任せにしないことが重要です。

② 環境レベル(関係性の土壌:心理的安全性)
個人のレジリエンスを引き出す土壌として重要なのが「心理的安全性」です。心理的安全性は、チームの研究(例:Google社のプロジェクト Aristotle)等でも注目され、「対人リスクを取っても罰せられないと感じられる状態」と定義されています。要は、新人が先輩に質問や相談をしやすい、失敗を吐露しやすい環境にあるかどうか——ここが受け入れ期の回復力に直結します。

③ 組織レベル(育成の仕組みやフォロー体制)
さらに一段上の層として、ここでは「組織レジリエンス」の考え方を育成構造に読み替えます。具体的には、受け入れ期の紆余曲折が起きても育成が破綻しないように、
 ・フォロー体制(誰が、いつ、何を支えるか)
 ・振り返り・学習の仕組み(失敗から学べる運用)
 ・現場任せにしすぎない設計(偏り・属人化を防ぐ)
といった構造が整っているかどうか、という観点をおさえます。

以上のように、レジリエンスは「個人」だけで完結するわけではありません。「①個人(本人)×②環境(チーム)×③組織(仕組み)」という3つの相互作用の結果として捉えることにより、板挟みで行き詰まっていた現場にも打ち手の選択肢が広がっていきます。

個人のレジリエンスは、採用段階だけで見極められるものでもありません。環境との相互作用の中で形成されていく——つまり、受け入れ側がどのような環境設計を行うかによって、若手のレジリエンスはもっと伸びもすれば、損なわれもするのです。だからこそ、レジリエンスを個人の性格や根性論だけで捉えるのではなく、関わり方と仕組みによって「育てる力」と捉え直す意識がとても重要になります。

受け入れ側が狙うべきは、つまずきが起きたときに立て直せるように、関わり方と仕組みを整えること、つまり新人に「個の強さ」を求めるのではなく、つまずいても立て直し、学びに変え、次の行動へ移す「回復→学習→成長」の回路をつなぐこと、これを個人任せにせず、組織として動かせるように支援していくことが狙いなのです。

この環境や仕組みが整う組織は、実は若手の離職問題への対処に留まらず、世代を超えて学習し続ける組織へと進化し、新人の未来だけでなく、組織全体の変化対応力にも効いていきます。受け入れ側のレジリエンス戦略の取組みの考え方は、組織の未来への重要な転換点にも通じているのです。

ここでは、3月からでも着手しやすく、4月以降の受け入れを安定させるためのポイントに絞って整理しています。

最も基本的な施策は、新人への直接的な教育ではなく、まず上司や育成担当者が、以下①②③の観点に基づく指導の仕方を学ぶことです。あわせて、現場で随時指導できるよう、上司や育成担当者への訓練を重ねます。

①認知的柔軟性を育てる(受け止め方)
ストレス下では、人は思考が硬直しがちです。これを防ぐには、「出来事と解釈を分ける」訓練が有効です。
 例 ・失敗事例を用いたリフレーミング演習
   ・「別の解釈を3つ出す」ワーク
   ・ABCモデル(出来事‐信念‐結果)の活用 

②感情調整スキルのトレーニング(受け止め方)
感情は抑圧するのではなく、「気づき→言語化→選択」というプロセスを学ぶことが重要です。
 例 ・感情ログの活用
   ・ストレス反応の身体サイン教育
   ・呼吸法やマインドフルネスの導入

③自己効力感を高める
自己効力感は行動の継続を左右します。課題の提供計画やフィードバック方法を研修やワークショップなどで強化します。
 例 ・小さな成功体験の設計(段階的OJT)
   ・達成の可視化
   ・具体的フィードバック(SBI法)

①心理的安全性の制度化
心理的安全性とは「空気」ではなく、「運用」で築かれていく組織文化や信頼感でもあります。
またGallup社の調査から、意味のあるフィードバックを頻繁に受ける従業員はエンゲージメントが高まる傾向が報告されており、頻繁な対話も有効だと考えられます。
 例 ・1on1の定期化(短時間・高頻度)
   ・「分からないは早いほど良い」と明文化
   ・失敗共有を評価項目に含める

②育成担当者のレジリエンス支援
見落とされがちなのが、若手指導の運用が進行する中でおきる育成担当者側の心理的消耗です。
育成担当者自身の感情調整と認知柔軟性が保たれてこそ、若手の成長が加速します。指導の期間中は、担当を孤独にせず、課題を抱え込ませないことと、感情の整理をすることがポイントです。
 例  ・メンターのデブリーフィング会(感情整理)
    ・人事との定期面談
    ・育成担当者向けレジリエンス研修      

①育成ロードマップの明確化
曖昧な期待は不安を生みます。
例 ・30日・60日・90日それぞれの段階的到達目標の明示
  ・評価基準の可視化
  ・OJTチェックリスト

②失敗を学習資源に変える文化
組織レジリエンス研究では、「失敗からの学習能力」が重要要素とされています。
例 ・失敗共有会
  ・ナレッジデータベース化
  ・失敗事例の表彰

③経営層メッセージの発信
トップの姿勢が、組織の心理的枠組みの規定に最も影響を与えます。
このようなメッセージが現場に安心感をもたらします。
例 ・「育成は投資である」
  ・「成長には時間がかかる」

4月の新入社員受け入れは、単なる年度行事ではありません。
それは、企業のレジリエンスを試す機会でもあります。

本人に強さを求める前に、組織としてどのような環境を用意しているか、
この問いに向き合うことこそが、企業の持続的成長への第一歩です。

3月の今こそ、「個人×環境×組織」の三層でレジリエンスを設計し、
新年度を“学習する組織”への転換点としていきましょう。


※本コラムの内容に研修実例を交えて、2026年3月18日(水)に無料オンラインセミナーを実施します。ぜひ、お申込み・ご視聴ください。


神山 晃男(かみやま あきお)
株式会社ヒューマンエナジー 代表取締役
経営層むけの管理者育成研修、戦略立案などの他、
コミュニケーション研修が得意領域。

経営改善や投資ファンド系のコンサルティング会社を経て、2013年6月に株式会社こころみを設立。「コミュニケーション」と「高齢者・医療・介護系マーケティング」の専門家として数々のセミナー出演や執筆活動の他、大学院との共同研究や介護ロボットのAIによる会話エンジンの開発支援などにも携わっている。2022年、事業承継により㈱ヒューマンエナジー代表取締役に就任、経験を活かし講師としても精力的に活動中。

認定NPO法人カタリバ 監事
医療AI推進機構株式会社 監査役
株式会社テレノイドケア 顧問
流通経済大学 非常勤講師
元 株式会社イノダコーヒ 取締役
元 ウイングアーク1st株式会社 監査役

本ブログの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。

【コラム】AIは導入するだけでは根づかない ―「AI ×研修」で組織活用を促す

昨今、生成AIの導入が進む一方で、「現場で使われない」「個人任せになっている」、そんな課題を感じている人事・教育担当者の方も多いのではないでしょうか。

AI活用が進まない原因は、スキル不足ではなく“設計不足”にあります。

今回は、AIを個人的な「便利ツール」で終わらせず、組織的な生産性・業務品質を高める仕組みとしてAI活用を推進・定着させるための「AI研修の設計ポイント」を解説します。

世界の中でもAIの活用が遅れていると言われる日本企業ですが、2025年を経てAIの導入自体は進んできているのをいろいろなお客様をご支援している中で感じます。

一方で、現場の実感としてはどうでしょうか。
「試してはいるけれど、業務が変わった感じはしない」
「便利そうだが、何に使えばいいかよく分からない」
「情報漏えいが怖くて、結局禁止になっている」 こうした声は珍しくありません。

世界的な会計・コンサルティングファームであるpwc社がまとめた調査結果を見ると、近年は日本においても生成AIの活用度は大きく伸びており、「社内で生成AIを活用中」と回答した層が2025年春には56%と過半数を超えていることがわかります。

pwc社 進まない変革 グローバル比較から読み解く日本企業の活路 生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較

その一方で、日本においては導入効果が期待通りには出ていないケースがまだまだ多いようです。生成AIを活用している企業の割合は平均的な水準にあるものの、生成AIの効果が期待以上の企業の割合は、米英・の1/4、独・中の半分程度と、他国に比べて非常に低い状態です。

pwc社 進まない変革 グローバル比較から読み解く日本企業の活路 生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較

そこで、「期待を上回る効果を創出している企業」と「期待未満の効果しか出せていない企業」を様々な観点で分析した結果、両者の取組みには顕著な差がみられ、そこから成功要因が導き出されました。

pwc社 進まない変革 グローバル比較から読み解く日本企業の活路 生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較

これらを一言でいえば、AIを単なる業務改善ツールとしてではなく、AIを事業の中核に据えて本質的な変革に取り組んでいるかどうか、という活かし方の違いです。日本の多くの企業は、社員全体で積極的に取り組む姿勢が標準化しつつはあるものの、AI活用の成果が一部担当者の効率化レベルで留まり、企業としては成果が散発で止まっている状態だと考えられます。

総務省・経産省の「AI事業者ガイドライン」においても、「AIを安全・安心に活用するには、関係者が共通の理念と指針を持ち、各組織が自らの状況に合わせて具体策(how)を設計して回すこと」が求められています。つまり、「AIは“誰かの工夫”ではなく、組織として運用し改善するもの」という方向性が示されています。言い換えると、AI活用が“会社の力”にならない最大の原因は、AIの性能に問題があるのではなく、「活用が個人任せのままだから」だと言えます。

今後世の中は、組織全体での意思決定・顧客対応・生産性の基準が「AI前提」へとシフトが進み、業務品質やプロセス、リードタイムが大きく変化していくことになります。現場の生成AIの組織的な活用や定着には時間・コストがかかるため、対応が遅れるほど企業の競争力格差は広がる一方であり、この先この格差は固定化していくと考えられています。

世界の中での日本企業のAI活用の遅れは、当然グローバルレベルでの競争力格差が懸念されます。日本でもようやく個人レベルでのAI活用が身近になった今、これからは、業務感覚に強いミドルマネジメント層が中心となって、経営戦略に即して個のAI活用成果を組織全体の価値創出へと昇華させることが急務でなのです。

実際、先行企業の動きは「個人の便利」の域を越えています。例えばトヨタ自動車では、社内に散在する業務データを横断検索できる生成AIアプリを社内展開し、試験導入で年間の調査工数を34%削減できたと報じられています。

この種の取り組みからも、AIの価値の源泉が「汎用的な機能や都度臨機応変に使うもの」ではなく、「付加価値業務へとシフトさせる設計にある」と言えます。つまり組織的なAI活用の促進には「ツールの知識不足」よりも、「業務に落とす設計の不足」への対策を重視する必要がある考えられます。

もうひとつ、AIの活用が現実的に進む中で、コンプライアンスに関する脅威も高まってきています。AIに関する人材育成やリスク対策・ルール整備が追いつかないことにより、開発の遅れの他、AIのシャドー利用(こっそり使う)やスキル格差が広がり、ガバナンスと育成の両方が後追いになり、現場の混乱や業務品質への信頼を損ねる恐れも出てきます。安全で効果的な活用促進のためには、こうした教育側面とリスク対策への課題も意識していく必要があります。

pwc社 進まない変革 グローバル比較から読み解く日本企業の活路 生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較

ではなぜ、組織としての活用が進まないのでしょうか。どうすれば、組織的活用が進むのでしょう。ここでは改めて、組織におけるAI活用を阻む壁について整理してみました。もちろん企業規模や業種で背景は大きく変わりますが、ここでは一般的な共通課題に着目していきます。

AIは万能に見える反面、業務のどこに効くのかが見えにくいものです。「AIを使えるようにする」が目的になってしまうと、結果として、事例で聞いたような文章作成だけに留まる、面白いけど仕事では使わない、という状態になりやすく、組織に成果が残りません。例えば、パナソニック コネクト社が語る『「聞く」から「頼む」へのシフト』は、活用が“その場の質問”から“仕事を依頼する型”へ成熟することで効果が伸びる、という示唆の好例です。

管理職・人事・情シスは、AI活用時のルールに特に慎重にならざるを得ません。禁止にすれば安全ですが、現場は個人端末でこっそり使う“シャドー利用”に流れ、むしろリスクが増えることもあります。

ここで効くのが、経産省「AI事業者ガイドライン」の中で前提とするリスクベースの考え方です。生成AIの普及に伴って様々なリスク事例が生じており、ガイドラインには代表的なものが挙げられています。そのようなリスクの存在を理由にしてAI の開発や利用を妨げるのではなく、むしろ当該リスクを認識してリスクの許容性や便益とのバランスを検討したうえで、積極的に AI の開発・提供・利用を行い、競争力の強化、価値の創出、ひいてはイノベーションに繋げることが期待されています。

リスクの大きさに応じて対策の強度を変え、ライフサイクルを通じてリスクを特定・評価・対処する、このようなリスクベース発想が、現場の「禁止か放任か」を抜け出す鍵となります。禁止か解放かではなく、ルールと運用で“安全に使える状態”をつくる取組みが必要です。

AI活用は個人で進めやすい一方、成果を意図して横展開していかないと会社の力にはなりません。研修直後は「便利!」となっても個々の活動には限界があり、多くは1か月後には元通りになりがちです。理由は明確で、現場に

  • 使う場面(ユースケース)の共有
  • 使い方の型(プロンプト例・チェック観点)の共有
  • 成果の見える化(KPI)
  • 振り返りと改善(フォローアップ)

などの定着支援体制が揃っていないからです。

以上「3つの壁」の観点から、これからのAI研修は「使い方説明」や「触ってみた」で終わらせずに、業務適用の設計人の役割や安全な運用を踏まえた行動変容の支援設計を総合して考えていかないと、組織的な効果にはつながりにくいと言えます。

では、どのようにAIの教育・指導を進めていけばよいのでしょうか。重要なのは、豪華な投資よりも「再現性」と「継続性」です。

最初から全社DXを目指すと止まってしまいます。まずは、誰にでもあり効果が出やすい業務、「文章×判断×探す」を含む業務から始めてみることをお勧めします。例えば、

  • 手順書・規程の要点整理/新人向けに噛み砕く
  • 不具合報告の記載品質を揃える(抜け漏れ防止)
  • 問い合わせ対応テンプレ化(確認事項のチェックリスト化)
  • 提案書の骨子作成、ヒアリング項目の作成   などが挙げられます

このような“点”が複数改善できていくと、現場の納得感が生まれ、次の展開が進みやすい風土が生まれます。

DeNA社が公開している「AI 100本ノック」は、AI活用を“知識”ではなく“反復練習”として定着させる発想が学べる資料です。まずは前述の共通業務を3テーマ選び、週1本程度に小さなノックを回してみると、成功パターンが共有資産になりやすくなるのではないでしょうか。

AIの活用は、職種・役割で必要とされる力が異なります。そのため、AI研修とひとことで言っても、ゴールが違う以上、指導内容も変える必要があります。

  • 一般職:日々の業務で使える「型」と利用上の注意点
  • 技術者:具体的な開発技術の習得と社内データの活用事例の研究、ツール連携、運用設計のコツ
  • 管理職:「チームとしての使いどころと、レビュー観点」など、成果を出す設計(運用・評価・ルール)
  • 人事・教育担当:育成ロードマップの構築、利用の当たり前化(定着施策) など

「使っていいの?ダメなの?」が曖昧だと、結局使われません。最低限、次のような内容を研修とセットで整備・周知していくことで活用が前に進みます。

  • 入力してよい情報/ダメな情報(機密・個人情報・顧客情報)
  • 外部公開情報の扱い(引用、著作権、出典)
  • AIの回答の扱い方とリスク対策(最終判断は人、リスク分析と検証手順、強度に応じた対策)

これらの整備と周知が“安心して試せる土台”になります。
LINEヤフーが必須eラーニングと試験合格を利用条件にしているのは、まさに「安全に使う条件を整えて全社展開する」発想です。

AI活用の本質は「使って→振り返って→改善する」です。AIの仕組み導入はあくまで導入で、その後の運用支援が定着を促します。運用支援で意識すべきは、

  • 実務で使ったプロンプトの共有
  • 成功・失敗のパターン整理
  • KPIの進捗確認(例:作業時間、手戻り、品質)
  • 次のユースケース選定

ここまで含めて、初めてAI導入が“投資”になります。

KDDIが社内コミュニティを持ち活用促進を進めていることは、こうした“定着の仕組み”が効くことを示しています。

ひと口にAI研修と言っても、何をゴールにするかによって内容も様々に考えられますが、ここでは、主な3つの観点でのAI研修メニューをご紹介いたします。

AI時代の人材育成は「一部の詳しい人を育てる」だけでは足りません。全社的に「AIに対するアレルギーをなくし、積極的に使っていこう」というマインドセットの変革が必須です。そのために、AIを自ら学び、自分の強みに変えていこうという意識変革をキャリアという未来像から描く研修をご提案します。ここで重要なのは、各役割で“できる状態”を定義することです。

  • 一般職:日常業務で安全に使い、品質を上げられる
  • 管理職:チームの業務に適用し、ルールとKPIで回せる
  • 人 事:育成体系・評価・配置とつなげられる
  • 技術者:社内データ活用や運用設計に関われる

研修では、職種別の到達目標と学習ステップを可視化し、貴社のAI人材像を具体化します。「育成の軸」ができると、単発研修が“線”につながっていきます。

①基本の型を学ぶ 入門編
AIに慣れていない方でも成果が出るよう、「プロンプトの小技テクニック」よりも、目的→条件→出力形式→確認・検証の型を学ぶ研修です。議事録の要点整理、依頼文の整形、チェックリスト化など、共通業務で再現できる型を揃えます。最終的に「研修後に日常業務に使える」状態をつくります。

  • 依頼メール、報告書、議事録の品質統一
  • チェックリスト生成(抜け漏れ防止)
  • 文章の要約/言い換え(新人向け、顧客向け、上司向け)
  • Q&Aテンプレ(問い合わせ対応)など

②開発者向けの技術研修

AIに関する技術要素は、生成AI基盤、開発フレームワーク、運用・評価、セキュリティ対策など分野の幅が極めて広く、ツールやサービスも短いサイクルで更新・入れ替わります。ここでは、個別ツールを網羅する研修ではなく、実務で遭遇しやすい論点を代表する 「導入・運用」「開発支援」「業務実装」 の3つの例をあげました。

Microsoft 365 Copilot:導入・運用側(開発者/IT部門)としての前提知識
テナント設定、権限・データ境界設計、DLP/機密ラベル、監査ログ、出力のガードレール、Copilot Studio等による拡張方針と評価観点など、組織導入に不可欠な論点を中心に扱う。

GitHub Copilot等:開発支援ツールの位置づけと、品質・セキュリティの実務
生成コードの取り扱いに伴う注意点を整理し、レビュー観点(テスト、脆弱性、ライセンス、秘密情報混入など)を含めて、チーム開発に組み込むためのガイドライン設計まで落とし込む。

Dify+RAG等:業務特化型AIの“作って学ぶ”実践
ノーコード/ローコード基盤を使い、プロトタイプを作りながら、RAG(自社データ連携)の考え方、データ準備、精度評価、運用の勘所を身につける。

重要なのは、操作方法の習得に留まらず、実際に起こり得るリスク事例(情報漏えい、誤生成、著作権・個人情報の問題など)を理解し、技術的・運用的な対策をどのように講じるかまで一体で学ぶことです。ツールは変わっても、リスクの構造と対策の考え方には共通項があるため、こうした“判断軸”を身につけることが、現場での持続的なAI活用につながります。

三つめは、独立した研修イメージではなく、例えば管理職研修や問題解決研修にAI要素や使いどころを組み込むことで、現場のAI実装を促進させるパターンです。

  • 管理職研修:部下の報告の質を上げるAI活用の型、チーム会議の要約と次へのアクション化、1on1での問いづくり
  • 問題解決研修:原因仮説の拡張、対策案の幅出し、施策のリスク洗い出し
  • OJT研修:教え方の台本作成、教育資料の叩き台作成
  • 新人や若手の定番研修にAI活用姿勢の指導を追加

例えば上記のような内容を管理職研修に組み込むことによって、悩み多き管理職も、AIを相談相手にいかにオペレーション品質・効率を向上していけるかを学ぶことが出来ます。いつもの研修を、AI時代の指導研修にアップデートしていくことにより、改めて大きな予算や計画を追加せずに立場毎のAI活用を促進することができます。

最後は、研修としてではなく、研修効果を高めるためのAI活用についてのご案内です。
研修後に差が出るのは、新たな行動習慣を「継続・定着」させることによる行動変容です。行動計画の具体化、振り返りの問い、成功事例の言語化などをAIで支援し、新しい行動を続けやすい仕組みをつくります。

  • 受講者が書いた行動計画の“具体化”支援
  • 1on1の振り返り質問の生成
  • 現場で起きたケースの整理と学びの抽出
  • 改善提案の文章化・説得力向上 など

またAIでの強化アプローチにより、コストを抑えつつ全員の定着度合いを可視化でき、次の打ち手(追加研修、運用ルールの見直し、成功事例の横展開)にもつなげやすくすることができます。

AI活用を「組織の力」にする鍵は、「ツールの説明」よりも、業務適用できる組織作りと運用の定着支援です。総務省・経産省のAI事業者ガイドラインが示すように、AIは理念と指針を踏まえ、各社が具体策を設計して回すべき対象です。

先行企業はすでに、全社展開・条件整備・定着施策をセットで進めています。
しかし、最初から完璧を狙う必要はありません。共通業務から小さく始め、役割別に「期待値=できる状態」を定義し、ガードレールを敷き試運転環境をつくる、そして定着と継続への改善を回す―この流れが、組織としてAI活用の効果を出す現実解といえます。

※本コラムの内容に研修実例を交えて、2026年2月18日(水)に無料オンラインセミナーを実施します。ぜひ、お申込み・ご視聴ください。


神山 晃男(かみやま あきお)
株式会社ヒューマンエナジー 代表取締役
経営層むけの管理者育成研修、戦略立案などの他、
コミュニケーション研修が得意領域。

経営改善や投資ファンド系のコンサルティング会社を経て、2013年6月に株式会社こころみを設立。「コミュニケーション」と「高齢者・医療・介護系マーケティング」の専門家として数々のセミナー出演や執筆活動の他、大学院との共同研究や介護ロボットのAIによる会話エンジンの開発支援などにも携わっている。2022年、事業承継により㈱ヒューマンエナジー代表取締役に就任、経験を活かし講師としても精力的に活動中。

認定NPO法人カタリバ 監事
医療AI推進機構株式会社 監査役
株式会社テレノイドケア 顧問
流通経済大学 非常勤講師
元 株式会社イノダコーヒ 取締役
元 ウイングアーク1st株式会社 監査役

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【コラム】対話型マネジメントスタイルを主眼としたビジネススタイル変革の本質 ~ 正解なき時代を導く「ワイズリーダー」の育成と組織文化変革のヒント ~

若手の離職、沈黙する会議、疲弊する管理職――こうした課題の背景には、制度や施策だけでは埋まらない「マネジメントスタイルの不一致」があります。本コラムでは、従来の指示型マネジメントが通用しにくくなった理由を整理し、いま求められている「ワイズリーダー」とは、そしてその要となる対話型マネジメントスタイルのリーダ育成を目的とした「ビジネススタイル変革研修」の全体像を、実例を交えてご紹介します。

予測困難な環境変化が常態化し、過去の成功モデルを踏襲するだけでは市場の変化に追随できない時代になりました。
従来は「正しい答えを持ち、部下に指示する管理職(指示型)」が機能する時代でした。しかし、AI技術の進化、事業ポートフォリオの変革、人材流動化の加速などにより環境が激変し、従来の価値観や常識が通用しない、「これまでの勝ちパターンが通用しない」状況が増えてきています。正解が一つに定まらない局面が増え、従来の狭い世界だけを見ていては打開策が描けません。指示型スタイルのマネジメント、すなわち「一人の上司が考える正解」だけでは、チームや事業を前に進めることは困難な時代です。
VUCA時代と呼ばれる環境変化の激しい今は、様々なメンバーや企業との協働により、皆の英知を活かして挑戦し、試行錯誤を繰り返しながら乗り越えていくようなマネジメントスタイルが重要なのです。

リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍を経て終身雇用が揺らぐ中で、従業員が重視するのは「給与や待遇」だけでなく、働きがい・尊重される文化やキャリアの自律性です。ところが、指示型マネジメントが先行し、理由や背景が共有されにくい職場では「納得感」が得られにくく、心理的安全性も下がりがちです。

パーソル総合研究所「離職の変化と退職代行に関する定量調査」のデータにおいて、コロナ禍前の2019年と2025年のデータを比較すると、離職者の不満は大きく様変わりしています。

働き方改革の浸透や残業規制の強化は、確実に離職を抑えるための一定の効果をもたらし、「サービス残業が多い」「育成・教育が不十分」「労働時間が長い」といった労働負荷への不満は大きく減少し、8位以下に順位を下げています。その一方で2025年に上昇したのが、「上司の指示や考えに納得できない」「求められる成果が重すぎる」「評価への納得感がない」などであり、離職につながりやすい不満は、いまや労働負荷ではなく、“納得感の欠如”へと移っていることが示されています。
いま必要なのは、現場の知恵と多様な視点を引き出しながら、納得感のある意思決定をしていくリーダーシップと言えます。

上司が話し、部下が黙る――形式的に会議は進むものの、本質的な議論が生まれず、結局は上司の判断で決まっていく。このような「沈黙の会議」は、多くの日本企業に共通する典型的な課題です。
パーソル総合研究所の調査では、1万人規模の企業でムダな社内会議時間が年間約67万時間、損失額が年間約15億円に達するという推計も示されています。

出典:パーソル総合研究所「ムダな会議に関する調査」(2018年12月)
パーソル総合研究所・中原淳(2017-8)「長時間労働に関する実態調査(第一回・第二回共通)」

沈黙の背景には、「間違いや失敗は許されない」「正解を言わなければいけない」という固定観念があります。指示型マネジメント下の会議では、議論よりも「指示の伝達・理解促進・確認儀式」に偏りやすく、結果として、部下が自分で考えなくなる/管理職がすべてを抱え込む/イノベーションが生まれない、という悪循環を招きやすい構造といえます。

  • 部下が自分で考えなくなる
  • 管理職がすべてを抱え込む
  • イノベーションが生まれない
  • 若手が成長する機会を失う
  • 組織全体の変化対応力が低下する

この不確実な時代において企業が成長を続けるためには、現場の従業員が安心して意見を出し合い、挑戦できる組織風土(心理的安全性)が不可欠です。特に現代のビジネスは「知識集約型」へと移行しており、従業員一人ひとりが持つ専門知識や経験を組み合わせ、新たな価値を創出することが求められます。そのためには、自由に意見を交換できる心理的安全性の高い環境が必要不可欠なのです。

前述したように心理的安全性が確保されていない職場では、現場の知恵は出にくく、挑戦は起きにくくなります。Google社の「プロジェクト・アリストテレス」という社内研究プロジェクトによって、「生産性の高いチームは『心理的安全性』が高い」と解明されました。心理的安全性とは、チームメンバーが率直に意見を言い、リスクを取ることができる環境のことを指します。

この発表の後、従業員エンゲージメントが世界中で計測されるようになりました。日本企業は、世界水準に比べて非常に低水準であることがよく指摘されますが、近年は一般社員以上に管理職自身のエンゲージメントが顕著に低下していることも話題にあがっています。(職場のエンゲージメント低下の要因は管理職…ギャラップの調査で明らかに

昨今の日本では、課長層の大多数がプレイング業務も担っており、個人の成果とチームの成果、本来の部下育成や管理業務という膨大な仕事を抱えている現実が問題視されています。管理職の負担増によってマネジメントに十分な時間を割けず、チーム成果を十分に引き出せない構造に陥っていることも従業員エンゲージメント低下の原因の一つと考えられています。

さらに深刻な問題としては、「管理職になりたくない」と考える社員が増加していることが挙げられます。パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査 2025」では、「現在の会社で管理職になりたい」人は16.7%にとどまり、若手ほど管理職志向が低下していると報告されています。

出典:パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査 2025

管理職は経営層や現場・部下との板挟みになりやすく、AI導入やデジタル変革、柔軟な働き方への対応など、現代の複雑な課題に直面しています。このような指示型のマネジメントに疲弊している上司の姿を見て、若手は管理職というキャリアに魅力を感じなくなっています。こうした状況からも「次世代リーダーが育たない」「管理職の負担はさらに増すばかり」という悪循環に陥りやすくなります。

組織の持続的成長のためにも管理職のマネジメントスタイルを時代に合ったものへと変革することは急務と言えます。

正解なき時代に求められるリーダー像として、本コラムでは「ワイズリーダー」を取り上げます。この考え方は、一橋大学名誉教授・野中郁次郎先生が提唱した「ワイズカンパニー(賢慮ある企業)」の議論に基づきます。野中先生は、知識創造理論で世界的に知られる経営学者であり、著書『ワイズカンパニー』(東洋経済新報社、2020年)において、不確実性の高い時代に求められる組織とリーダーシップのあり方を示されました。

「賢慮(Phronesis/フロネシス)」とは、アリストテレスが提唱した概念で、「その場その時の文脈において、共通善のために最善の判断と行動を導く実践知」を意味します。わかりやすく言うと、ワイズリーダーとは、この賢慮を持って組織を導き、メンバーの知恵を結集して“納得解”を共創できるリーダーを指します。不確実性の高い時代を手探りで進むには、メンバーの多様な視点を引き出し、チーム全体の知恵を結集することで、一人では到達できない質の高い意思決定を実現することが求められているのです。

ワイズリーダーの中核となるのが「対話型マネジメント」です。ここでいう対話とは、単なる情報共有や結論を出すための議論(ディスカッション)ではなく、「ダイアログ互いの前提や視点を探求し合う、共に理解を深める」ことを目指します。

この時、以下のような場のデザインが重要になります。これを意識した対話によって、管理職は部下の本音や創造的なアイデアを引き出し、チーム全体の力を最大化することができるとされています。

  • 心理的安全性を確保する  (失敗や率直な意見を歓迎する)
  • 問いかけによって思考を促す (答えを与えるのではなく問う)
  • 傾聴によって相手を理解する (聴くことに徹する時間を持つ)
  • 多様な視点を尊重する    (違いを対立ではなく資源と捉える)

こうした「場のデザイン」は一過性のコミュニケーション施策ではなく、日々の会議や1on1で繰り返される“日常的なふるまい”すなわち組織の当たり前である「組織文化」から変えることが肝要です。

組織文化を変えようとすると、大々的に宣言して周知したり、ビジョン策定や制度変更に目が向きがちですが、組織文化の変革の真の鍵は、日常の会議や1on1、チームミーティングといった“足元の対話”のデザインにあるのです。

例えば、会議の冒頭で「今日はアイデア出しに集中し、結論は急がない」と宣言する他、リーダーが自分の意見を言う前にメンバー全員の意見を一巡させる、部下の発言に即答せず「それはどういう意味?」と深掘りする――。こうした小さな設計変更の積み重ねが、やがて沈黙の会議を対話の場へと変えていきます。

では、この「ワイズリーダーシップ」を、管理職がどのように体得し、現場で再現可能な行動へ落とし込むのか。次章では、実際の『ビジネススタイル変革研修』の全体像とプロセスをご紹介します。

弊社が実施した「ビジネススタイル変革研修」は、対話型マネジメントスタイルへの変革を主眼として、管理職を対象に半年間にわたり行動変容を促す実践型プログラムです。単なる知識のインプットではなく、現場実践と内省を繰り返すことで、マインドセットと行動を根本から変えていくことを目指しました。

本研修は、大きく2つの軸で設計しています。

【方向性の軸】

  • 変化対応に成功する他社事例の学習(視座を上げる)
  • 自社のパーパス・“らしさ”の再確認(文脈をそろえる)
  • 未来の方向性を考える(共通の意図をつくる)

【行動変革の軸】

  • 時代が求めるリーダー像「ワイズリーダーシップ」の理解(理論と行動観点)
  • 管理職同士での対話の実践訓練(安全な場で練習)
  • 現場での“対話デザイン”実践課題(会議・1on1等)
  • 振り返りの発表と再設計(うまくいかなかった理由の言語化)

この2軸を往復することで、管理職は「なぜ変わる必要があるのか」を腹落ちさせ、「どう変わればよいのか」を現場で試しながら身につけていくことで、以下の3つを体得することを目指します。

  1. 未来を見つめる視座:変化する時代に、自社が目指すべき方向性を考える力
  2. 対話をデザインする力:日常の会議や1on1を、価値ある対話の場に変える実践力
  3. ワイズリーダーとしての自覚:正解を与えるのではなく、チームと共に最善を探求する姿勢

この3つが揃うことで、管理職は「正解なき時代を導くワイズリーダー」へと進化し、組織の未来を創るリーダーとなっていくように設計しました。

本研修で会議の質を変化させるために事後課題で意識的に促したことは、概ね次の4段階で整理できます。

  1. 心理的安全性の確保(“どんな意見も歓迎する”を、繰り返し言語化し続ける)
  2. 問いかけの実践(“答え”ではなく“問い”で相手の思考を促す)「皆さんはどう思う?」「他の意見はある?」
  3. 傾聴と承認(評価を急がず、まず理解し発言を育てる)「それは興味深い視点だね」「もう少し詳しく聞かせて」
  4. ダイアログ型の会議設計(結論を急がず、目的に応じて場を使い分ける)「今日はアイデアを広げることに集中しよう」

研修後に毎回部下との対話を促すために、事後課題として上記のポイントを意識しながら「部下とダイアログをするテーマ」をいくつか提供しました。後日、その時の結果を発表する場を設け、部下が何を話したかという内容だけでなく、感覚や相手の様子、今までとの違いなどプロセス情報も共有しながら実践を繰り返しました。

研修開始時は、今まで通り上司が説明し部下が黙って聞く会議が多く見られました。しかし、上司が“評価する人”から“聴く人”へと意識と行動を切り替え、「今日は率直な意見を聞きたい」と相手に発話を委ねることを繰り返すうちに、部下が少しずつ発言し始めるようになりました。そして、その発言をすぐに否定せずに深掘りする問いを返す、このようなダイアログを時間をかけて回を重ねていくことにより、少しずつ沈黙から自由な対話へと変化する状況を見守りました。

こうした段階的な取り組みの結果、半年後には以下のような変化が見られました。

  • 部下から自発的に意見が出るようになった
  • 議論が深まり、質の高い意思決定ができるようになった
  • 会議が「義務」から「価値ある時間」に変わった
  • チーム全体の一体感と信頼関係が高まった

研修を“受けて終わり”にしないために、行動変容を生む設計にはいくつかのポイントがあります。本研修では、特に次の点を重視しました。

  • 現場実践を前提にする(会議・1on1など日常業務を教材化する)
  • 管理職同士の横の学びをつくる(孤立を防ぎ、共通言語を育てる)
  • 振り返りで“理由”を言語化する(成功・失敗を再現可能な学びにする)
  • 小さな変化を積み上げる(行動のハードルを下げ、継続につなげる)

もうひとつの大きな成果は、「若手の挑戦を支える文化」の醸成です。会社全体としては、管理職向けプログラムと並行して、若手リーダー向けの研修も実施していました。若手には「チャレンジマインドの育成」と「上司・メンバーとの連携強化」を指導し、管理職にはビジネススタイル変革研修を通じて「若手の挑戦をどう支援するか」を実践的に学んでいただく形を取りました。若手のやる気が高まっていくのと並行して、管理職の対話スキルが向上することで、以下のような好循環が生まれました。

  1. メンバーの前向きな発言が増える
  2. 管理職がメンバーの想いを具体的に聞ける
  3. 管理職のメンバーに対する信頼感が高まる
  4. メンバーは信頼された実感により行動に拍車がかかる
  5. 挑戦する若手が増え、組織全体が活性化する

特に印象的だったのは、「回を重ねていく中で互いに理解が深まり、部下に信頼感がもてるようになった」という意見です。その後は、部下の方も表情が明るく、「自分たちの意見を聞いてもらえた」という満足感や充実感を得られるようになったようです。行動を変えることの奥に芽生えたこのような「心理的な関係性の変化」は、その後の対話が上手く回り始めるための重要な転換点といえるのではないでしょうか。

対話型マネジメントは、単なる「雰囲気づくり」やコミュニケーション手法の改善ではなく、企業の業績向上に直結する重要な経営基盤を強化するための改革だと言える象徴的な場面だと考えます。

研修の副次的効果としては、「管理職同士の横連携の強化」です。VUCA時代の課題は、一部署では解決しにくく、企業全体の横連携の有無が「変化のスピード」を左右します。研修を通じて他部署の管理職と対話し、共に学ぶ経験を重ねることで、「自分だけが悩んでいるのではない」という安心感と、「一緒に組織を変えていこう」という連帯感が生まれはじめました。

実際に研修参加者からは、以下のような声が寄せられました。

  • 「他部署の管理職と本音で話せる関係ができた」
  • 「自社の”らしさ”をどう磨くか、部署を超えて考えるようになった」
  • 「若手の育成について、他部署と協力できるようになった」

マネジメントスタイルの変革に際しては、売上や利益のようにわかりやすい数字目標や進捗のバロメータが設定しにくい分野であるからこそ、管理職が孤立せず、組織全体で方向性を合わせて変革を支える風土が育まれ始めたことも、この研修の大きな成果と言えます。

本コラムでお伝えしてきたポイントを整理しておきます。 

  • 環境変化により、上司一人の正解で組織を動かすことが難しくなった(第1章)
  • マネジメントスタイルの不一致が、納得感の欠如や離職、無駄な会議の原因となり、損失が大きい(第1章)
  • 心理的安全性の欠如は、プレイングマネージャーの増加や管理職の負担増とも関連性あり(第1章)
  • 変化の時代に必要なのは、対話を通じて納得解を共創する「ワイズリーダー」(第2章)
  • ワイズリーダーシップの実践の要は、対話の場のデザイン(第2章)
  • 組織文化の改革は、日常的な対話という足元の改革から(第2章)
  • 実践→振り返り→再挑戦の継続により、会議の質と組織の空気を変えられる(第3章)

指示型マネジメントから、対話型マネジメントへ――足元からの小さな一歩の繰り返しが、VUCA時代の組織変革の核心なのです。

研修講師として30年以上、さまざまな業界・組織の変化に立ち会ってきました。その中で確信しているのは、「組織は変われる、人は成長できる」ということです。

日本企業には、丁寧さ、誠実さ、チームワークといった強みがあります。ただし、その強みは“場”が整ってこそ発揮されます。指示が先行し、安心して意見を出せない場では、知恵は眠ったままになります。一方、対話が根づくと、人は驚くほど創造的になり、協働が加速します。

そして、対話型マネジメントは、スキル以前に「人を信じる勇気」から始まります。答えを一人で抱えず、問いを投げ、聴き、共に考える。その積み重ねが、沈黙を対話に変え、組織の可能性を開いていきます。

私たちは、効率を求めるあまり、対話の時間を削ってきました。結論を急ぐあまり、相手の話を聴くことを忘れてきました。そして気づけば、組織の中に「沈黙」が広がっていたのです。

しかし、対話を取り戻すことで、組織は再び息を吹き返します。人と人がつながり、知恵が交わり、新しいアイデアが生まれます。そして何より、「一緒に働く喜び」を取り戻すことができるのです。

「管理職研修はずっとやっているが、組織文化がなかなか変わらない…」

そんなお悩みをお持ちの研修担当者・人事の皆さまにこそ、このビジネススタイル変革研修の考え方と実践プロセスを知っていただきたいと思います。

指示型から対話型へ。この小さくて大きな一歩が、組織の未来を変えます。

※本コラムの内容に研修実例を交えて、2026年1月27日(火)15:00~15:40 無料オンラインセミナーにて講演いたします。ぜひ、お申込み・ご視聴ください。


加藤 奈穂子(かとう なほこ)
㈱ヒューマンエナジー エグゼクティブトレーナー

●主に変革型・次世代リーダーシップ研修を担当
経営戦略系の他、プロジェクトマネジメント、リーダーシップ、チームワーク、コミュニケーションなどを絡めて幅広く対応可能

●常に新たな情報をインプットし、お客様ニーズに合わせて最新・最短の学習プランを提供するために開発した研修プログラムは100本以上。年間の大半は、集合研修や組織変革コンサルティングのための遠征生活。
研修先は組織変革を獲得させたいIT企業・製造業・地方自治体が多く、30年間で延べ365社、受講者は10万人を超える。早稲田大学 人間科学研究科修士、人間科学研究科博士課程在学中。㈱ヒューマンエナジー創業者

本ブログの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。

【コラム】2025年 好評だった研修を振り返る ~行動変容が組織を変える、2026年度の研修設計に必要な視点とは~

AIの普及、業務スピードの加速、価値観の多様化──。
変化の波の中で企業が直面する課題は複雑化しており、企業の人材育成において「行動変容」がこれまで以上に求められています。

 “知識を知っているだけの社員” から “自ら行動し、成果を生む社員”へ

このシフトが、今や多くの企業で共通のテーマになりつつあります。
そのような中で弊社が2025年度に実施した研修のうち、特に高い評価と確かな成果が見られた3つのプログラムを振り返り、2026年度の研修設計に役立つ視点をまとめました。

企業研修担当者の皆さまの検討材料として、ぜひお役立てください。

対象者:従業員向け、管理職向け、いずれも可

概要
VUCA時代の最大の課題の一つは、「状況の変化に対応せず、何を目指すのかが曖昧になりがち」 なことです。目標が曖昧であったり、本来は行動を評価すべきKPIにおいて、結果指標である売上や利益を変わらないゴールにし続けてしまったり、組織と個人の方向性が揃っていないことにより、社員にも迷いが生まれ、行動が鈍り、成果につながらないという現象が起こりがちです。だからこそ、本研修が果たす役割は非常に大きく、方向性を揃えるための“組織の羅針盤”づくりが重要だと言えます。

本研修では、KPI・CSFの関係性を丁寧にほどきながら、個人の行動レベルにまで落とし込む目標設計プロセス を重視して学習します。多くの企業では、目標管理制度はあっても目標の設計方法が学習されてないまま運用しているケースが多く、変化の時代だからこそ、本質的な目標の設計方法を理解していないことで制度運用の形骸化に拍車がかかる、悪循環が起こりえます。

受講後は、目標は「与えられるもの」から 「自らつくり、達成するもの」へ──
この意識の変化が組織全体に波及することで、組織活性化の一助となります。
変化の激しい時代に行動をブレさせない“根幹スキル”を育てる研修 です。

■ 代表的なお客様の声
① 数字の意味が初めて腹落ちした、部署目標と自分の行動がつながった

KPI・CSFを丁寧に紐づけることで、組織の方向性、部署の役割、個人の行動が一気通貫でつながり、優先順位が明確になります。社員にとって、会社の目標と自分の目標が“現実的につながる”ことで取り組む理由が明確になり、その結果「頑張りが正しく評価される」実感が持て、意欲向上につながります。

② 評価基準がわかり納得感を持って働けると思えた、目標と行動が一致し成果を出しやすなった

外部環境が揺らいでも、「今、何をやれば良いのか」が分かっている社員は迷いがありません。これはVUCA環境における、非常に重要な“行動の安定性”です。社員が自分の行動に確信をもって働ければ、行動に拍車がかかり、成果にもつながりやすく、結果として業務の効率化にもつながります。

③ 管理職が正しく評価できる「評価の土台」が整った

変化の激しい時代ほど、評価の不透明さが不信につながります。明確な目標設計は、管理職にとって「意欲を高め、納得のいく評価を行うための武器」です。管理職自身も迷いが減り、社員の努力や成果を正当に評価しやすくなり、結果だけでなくプロセスも見やすくなります。
また期末だけの一方通行の面談ではなく、必要に応じた面談をするため、相談や交流が深まり、組織内の対話の好循環を生み出すベースとなります。その結果、管理職自身が、社員を成長させる評価者としての自信を持てるようになっていきます。

■まとめ
最も重要なのは、「良い評価をするためには、まず良い目標を設計する技術が必要」という点です。これにより、管理職は「評価しやすい目標」を、社員は「達成しやすい目標」を設定できるようになり、双方が前向きに頑張れる“好循環”が生まれることが、この研修の大きな魅力です。

※本研修は、弊社無料セミナー「目標設計・目標管理の本質」(2025年11月実施)で詳しくご紹介しております。ここでは目標設計に加え、管理職としての視点・アクションに関してもお伝えしております。是非こちらもご視聴ください。

■ 対象者:特に限定なし

■ 概要
業務の複雑化、急な方針転換、情報量の増加──。
まさにVUCA時代の真っただ中にある職場では、「仕事に追われる状態」から抜け出し、自分で時間と行動をデザインする力 が求められています。

本研修は、単純なタスク管理というよりも、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性という言葉に代表されるVUCA時代の職場において必要な「変化対応力・自己調整力」を高める“ビジネス基礎体力づくりとして位置づけできます。

具体的には、タスクの見える化、変化を見越した時間のデザイン、自己理解による優先順位付けと周囲への相談、といった自己マネジメントの基礎スキルを育てます。その結果、「変化に振り回される人」から「変化を制御し行動に落とせる人」へと進化する土台がつくられます。

■ 代表的なお客様の声
① タスクの見える化により、不確実性に強くなる

VUCA環境では「曖昧さ」がストレスの大きな要因になります。タスクを書き出すことで、曖昧な不安が具体化し、「案外タスクは少なかった、無駄が見えた」という気づきが得られます。不確実性に飲み込まれず、自分で状況を把握する力が高まります。

② 時間の再設計によって、変化に振り回されなくなる

急な依頼や予定変更が起きても、集中すべき時間と調整可能な時間をブロッキングすることで、変化が起きても大崩れしない“耐性”が身に付きます。
受講者からも、「集中できる時間帯がわかった」、「仕事の見通しが立つようになった」という声が多く、変化に強い働き方への移行が期待できます。

③ 自己理解が深まり、変化の時代でも軸を失わなくなる

本研修では、仕事の側面だけでなく「人生全体の時間」という視点からもタスク管理を扱うため、「人生の中心を見直す時間になった」という声も多く見られました。これは、価値観・優先順位の再確認=変化の時代に流されない“個人の軸づくり”につながり、長期的なキャリア形成にも有効です。

④ ヘルプシーキングが促され、組織が変化に強くなる

タスクの“見える化”とかけるべき時間を設計することで、「できないことを上長に相談しやすくなる」という声に象徴されるように、相談力(ヘルプシーキング) を高めます。これはVUCA時代の組織に必須の心理的安全性・協働性の向上にもつながり、変化に強いチームづくりに寄与します。

■まとめ
本研修は、再現性の高いシンプルな時間管理講座というだけでなく、「変化に強いビジネスパーソン」に必要な「VUCA時代の基礎体力研修」として、改めて時代が必要としているスキルと言えます。

■対象者:管理職、組織文化の変革を求められている部署・プロジェクトリーダー

※実際には、本研修と並行して「新規挑戦の要となる若手リーダー」向けに、チャレンジマインドの育成と上司・メンバーとの連携強化を指導する研修も実施しています。しかし、組織文化の変革には、管理職の行動変容が必須であったことから、本稿では管理職向け研修を重視して取り上げています。

■ 概要
VUCAと言われる変化の激しい時代において、企業が直面する大きな問題のひとつが、「管理職のスタイルが変わらなければ、組織が変わらない」という事実です。
これまでは「正しい答えを持ち、部下に指示する管理職」が機能する場面も多くありました。しかし、現代は複雑性・スピード・多様性が増し、一人だけの”正解”では通用しない環境が当たり前になりました。
特に新市場獲得を目指す企業ほど、次のような課題が表面化しています。
・失敗を恐れて動かない文化
・前例踏襲の意思決定
・若手が定着しない組織風土
こうした課題の背景にあるのは、管理職のマネジメントスタイルそのものです。

あるお客様を対象に、管理職自身が「ワイズリーダー」(状況を感じ取り、最善を選ぶ柔軟性を持つリーダー)へと進化することを目指し、半年間にわたり研修と実践課題を繰り返し、行動変容を促しました。具体的には、以下の2軸で学習を進めています。

【方向性の軸】
・変化対応に成功する他社事例の学習
・自社のパーパス・”らしさ”の再確認
・未来の方向性を考える


【行動変革の軸】
・時代が求めるリーダー像と行動の理解
・管理職同士での対話の実践訓練
・現場での対話の「デザイン」を意識的に変革する実践課題(繰り返し)

結果として、管理職の「対話」という足元のデザイン変革をきっかけに、指示待ち組織から、対話を通じて共に未来を創る組織への変化を促すことで、若手の挑戦を支える組織文化の変革につなげるプログラムとなっています。

■代表的なお客様の声
① 会議の場が「沈黙」から「本来の自然な対話」へと変化した

多くの企業が抱える”沈黙文化”の背景には、「間違ってはいけない」「正解を言わなければいけない」という固定観念があります。
本研修では、対話型、特に「ダイアログ型(結論を求めない対話)」を中心に設計した実践課題を繰り返していくことにより、現場での対話の心理的ハードルが下がります。その結果、
発言が増える → 議論が深まる → 意思決定の質が上がる
という好循環が生まれます。

② 若手の挑戦をどう支援すれば良いのか、実感を持って理解できた

若手の離職や挑戦不足は、多くの企業で大きな課題です。
本研修を通じて管理職の対話スキルが向上することで、次のような好循環が生まれます。
・メンバーの前向きな発言が増える
・管理職がメンバーの想いを具体的に聞ける
・管理職のメンバーに対する信頼感が高まる
・メンバーは信頼された実感により行動に拍車がかかる
こうして双方にとって前向きな空気による創造的な好循環が生み出されます。

対話スキルという方法論だけでなく、ワイズリーダーとしての目的や振る舞いの意味、場のデザインを同時に学び実践を繰り返していくことが、若手の挑戦を引き出す”支援型マネジメント”への転換に寄与しています。

③ 横の連携が深まり、変化に挑む仲間が増えた

VUCA時代の課題は一部署では解決しにくく、企業全体の横連携の有無が”変化のスピード”を左右します。
管理職も、変革を先導する若手リーダーも、新たな取り組みを進める中では組織内で孤立しやすい立場です。研修を通じて横のつながりを持てることで、”孤軍奮闘”ではなく、組織全体で支える風土が育まれます。
実際に「自社の”らしさ”をどう磨くか考えるようになった」、「若手の育成が対話ベースに変わった」との声が他部署からも上がることで、ワイズリーダーとしての自覚と行動変容が組織全体に波及していきます。

■まとめ
変化の激しい時代、組織文化を変える一番の鍵は「管理職の行動変容」です。
本研修では、管理職が未来を見つめ、日常の対話を適切にデザインすることから始めます。この小さな一歩が、正解なき時代を導く「ワイズリーダー」への進化であり、組織の未来を創るリーダーを生み出す土台となっていきます。

指示型から対話型へ、この転換こそがVUCA時代の組織変革の核心です。

※本研修は、弊社2026年1月の無料セミナー(2026年1月27日(火)15時~)で詳しくご紹介いたしますので、是非こちらもご視聴ください。

2025年度に好評を得た3つの研修に共通して見えるのは、
VUCA時代の組織に必要な 「方向性」「自己マネジメント」「リーダーシップ」の3領域を強化し、組織に「行動変容を促進する」文化を定着させる点です。

  • 目標設定研修      :変化に揺らがない “方向性の軸” をつくる
  • 追われない仕事術    :変化に飲み込まれない “個人の基礎体力” をつくる
  • ビジネススタイル変革研修:変化に適応する “組織文化とリーダー” をつくる

この三位一体の取り組みは、変化の激しい環境において 企業が持続的に成長し続けるための実践的学習 といえます。

そして、2026年度は、行動変容をさらに促すフェーズに入ると考えています。

  1. 行動変容を“科学する”研修の重要性
    行動経済学・ナッジ・AI活用による個別支援など、行動を変えるための仕組みを理論面で理解し、実践に移す
  2. テクノロジー×人間力のハイブリッドが必須に
    AIを用いて対話力・自己理解・問題発見力など“人間の強み”を強化する
  3. 「組織文化づくり」を軸にした研修の実施
    単発の研修ではなく、組織全体を巻き込み、文化として学びを根づかせる重要性が高まる

2025年度に高く評価された3つの研修は、いずれも “行動が変わる仕組み” を組み込んだプログラム でした。2026年度も、人材育成は「行動変容」「対話型リーダーシップ」「組織文化づくり」が大きなテーマとなることでしょう。今までと違うビジネス環境では、今までと違う行動を自分で考えて実践できる人材でなければ付加価値を提供できません。変化の激しい時代、社員と組織が共に成長するための学びを、これからも提供してまいります。


株式会社ヒューマンエナジー 代表取締役 神山 晃男  
様々な企業での実務的な経営経験も活かし、経営改善・組織改革から現場の業務効率化まで幅広く、お客様の目的にあわせた研修プログラムをご提供します。

株式会社こころみ 代表取締役
株式会社ウェブリポ 代表取締役

<外部役員・他>
・認定NPO法人カタリバ 監事
・医療AI推進機構株式会社 監査役
・株式会社テレノイドケア 顧問
・流通経済大学 非常勤講師
・元 株式会社イノダコーヒ 取締役
・元 イングアーク1st株式会社 監査役
・元 株式会社コメダ 取締役

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【ダウンロード資料】 新入社員研修 ・内定者研修ご紹介資料(2026年度版)

ヒューマンエナジーの 新入社員研修 ・内定者研修は、若手がつまずきやすい課題を“実践力”へ転換するための設計が特徴です。一方的な知識提供ではなく、ワーク中心の体験学習によって「理解 → 内省 → 実践」のサイクルを定着させ、行動変容につなげます。

BIJ 2026 春 名古屋初開催 招待状
  • コミュニケーション不足・主体性の欠如・キャリア意識の希薄化・メンタル不調などの“4大課題”を体系的にケア
  • 「なぜ必要か?」から腹落ちさせるワーク設計で、行動につながるビジネス基礎力を育成
  • ビジネスマナー・コミュニケーション・チーム協働・仕事の進め方など、現場で即使える習慣を定着
  • キャリアの方向性を自ら考える“自律型人材”を育て、早期戦力化と定着率向上を実現
  • 入社前の不安・企業理解不足・孤立など、辞退やミスマッチにつながる課題を解消
  • 社会人マインド・基本マナー・コミュニケーションの基礎を身につけ、入社後のスタートダッシュを支援
  • 内定者同士の交流を通じてエンゲージメントを高め、組織への帰属意識を強化
  • 徹底したヒアリングにより、課題の本質に向き合い、教育効果が最大化される研修を設計
  • 企業文化・人材像・育成課題に合わせたビジョン反映型のカスタマイズが可能
  • 新入社員〜管理職まで、入社後の成長ステップに合わせたワンストップの育成体系を提供
  • 創業30年以上の実績と幅広いテーマで、現場で成果につながる若手育成を支援

近年の新入社員は、以下の4つの壁に直面しやすくなっています。この4つの課題を“入社前後の初期育成”でどれだけケアできるかが、早期戦力化と定着率アップの鍵となります。

  • コミュニケーションの不安
     対面経験の少なさから、上司・同僚との関係づくりに苦手意識を持つ傾向。
  • 主体性・積極性の不足
     企業が求める「挑戦」への姿勢と実際の行動に大きなギャップ。
  • キャリア意識の希薄化
     長期的に自分のキャリアを考える習慣が弱まり、目標設定が曖昧。
  • メンタルヘルス・職場適応の難しさ
     環境変化のストレスから、モチベーション低下や早期離職につながるリスク。

ヒューマンエナジーの新入社員研修では、入社直後に必要な力を「実践型ワーク×思考の深掘り」で定着させます。単なるマナー習得ではなく、「なぜそのスキルが必要か?」を自ら考え、行動につなげるためのワーク設計が特長です。

▼ 主なテーマ(例)

  • 働く意義・社会人基礎力の理解
  • ビジネスマナーの本質・実践
  • 伝わるコミュニケーション
  • 主体性を高める“考動力”
  • チームで成果を出す協働力
  • 仕事の進め方(QCD/PDCAなど)
  • キャリアデザイン・自律的成長

入社前の不安は、辞退や入社後のミスマッチにつながります。この期間のサポートが、定着と早期立ち上がりに直結します。

特に多いのは…

  • 企業理解の不足
  • 入社後にやっていけるかという不安
  • 他社からの内定獲得による迷い
  • 社会人生活へのイメージ不足
  • 内定者同士のつながりがなく孤独感が強い

1 日で「社会人になる準備」を整える構成になっています。内定辞退の抑制、入社前の不安軽減、組織とのエンゲージメント向上に効果的です。

▼ 主なテーマ(例)

  • 社会人としての心構え
  • 自社理解・価値観理解
  • 第一印象・基本マナー
  • チームで働くためのコミュニケーション
  • 入社までのキャリアプラン作成

まずは無料資料をダウンロード(1分で完了)

BIJ 2026 春 名古屋初開催 招待状


自社の課題に合わせた研修のカスタマイズ研修

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。特に 「ゴールまで支援」 の観点から、研修後のフォローアップ施策まで一貫してサポートします。受講者が学んだことを 実務に活かし、確実に行動変容につなげるために、研修設計の段階からフォロー体制を組み込むことを重視しています。具体的には、研修後の事後課題、フォローアップ研修の設計を含めたフォロー施策を提案し、受講者が学びを継続できる環境を整えます。また、単なる知識の習得で終わらせず、「実践し、定着させる」ことを目的としたアクションプランを策定し、職場で活用できる仕組みを構築します。

研修効果を最大化

研修効果を最大化するためには、受講者本人だけでなく、上司や人事、経営層の関与も欠かせません。そのため、組織全体で研修の成果を支える仕組みとして、上司との1on1の導入や、研修の目的を経営層と共有する取り組みもご提案しています。研修の「やりっぱなし」を防ぎ、ゴールまで伴走することで、確実な成果へとつなげます。
具体的な研修内容や実施タイミングはお客様のニーズに応じて柔軟に対応いたします。企業の個別の課題をお聞きし、最適な研修やソリューションをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

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お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


今回ご紹介した研修の振り返り・評価のサポートや、お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

株式会社ヒューマンエナジー
愛知県名古屋市西区名駅1丁目1番17号名駅ダイヤメイテツビル11階

052-541-5650
お急ぎの方はお電話ください(平日9:00~18:00)

株式会社ヒューマンエナジー 代表取締役 神山 晃男  
様々な企業での実務的な経営経験も活かし、経営改善・組織改革から現場の業務効率化まで幅広く、お客様の目的にあわせた研修プログラムをご提供します。

株式会社こころみ 代表取締役
株式会社ウェブリポ 代表取締役

<外部役員・他>
・認定NPO法人カタリバ 監事
・医療AI推進機構株式会社 監査役
・株式会社テレノイドケア 顧問
・流通経済大学 非常勤講師
・株式会社イノダコーヒ 元取締役
・イングアーク1st株式会社 元監査役
・株式会社コメダ 元取締役

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急な研修 サポートします|年末や年度末の短期間・短期準備のご依頼も、ぜひご相談ください

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① 迅速対応

  • 問い合わせから実施まで、スピード感をもってご提案。
  • 急な講師手配やプログラム設計も柔軟に対応します。

② 実施場所の自由度

  • 貴社の会議室や研修室、またはオンラインでの開催も可能。
  • 会場準備の負担をできるだけ軽減しながら、スムーズに進行します。

③ 幅広い受講対象

  • 新入社員、若手、管理職など、あらゆる階層・役職の方に対応。
  • 業種・職種を問わず、組織の背景に合わせた研修設計をします。

下記はよくご相談を受けるプログラム例ですが、貴社の課題や目的に合わせた研修プログラムや短期スポット研修もご相談ください。

  • コンプライアンス研修/ハラスメント防止研修(半日・1日)
  • 管理職向けマネジメント強化研修/1on1・コーチング実践(半日・1日)
  • 若手・新人フォローアップ研修(半日・1日)
  • 問題解決スキル向上研修(半日・1日)
  • ロジカルシンキング研修(半日・1日)
  • アンコンシャスバイアス研修(半日・1日)
  • 目標設定研修(半日・1日)

※内容によってはご希望に沿えない場合もございますが、まずはご相談を通じて最適な研修を貴社と一緒に考えさせていただきます。

ご安心ください。準備期間が短くても、ヒューマンエナジーは 質を重視した研修をお届けします。

  • 講師・カリキュラム・会場を迅速にアレンジ。
  • 研修後の振り返りやフォローアップも視野に入れた設計も可能です。
  • 短期・小規模スポット研修のご要望、予算消化や短期導入というニーズにもお答えします。
  • 目的・内容・ご予算が決まっていれば、最短数日でご提案書のご提示も可能です。

お急ぎでも、まずはお声がけください。急な研修 でも、組織と個人の「学び」と「成長」につながる研修をご提供します。

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お急ぎの方は、今すぐお電話ください(平日9:00~18:00)

※内容によってはご希望に沿えない場合もございますが、まずはご相談を通じて最適な研修を貴社と一緒に考えさせていただきます。


自社の課題に合わせた研修のカスタマイズ研修

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。特に 「ゴールまで支援」 の観点から、研修後のフォローアップ施策まで一貫してサポートします。受講者が学んだことを 実務に活かし、確実に行動変容につなげるために、研修設計の段階からフォロー体制を組み込むことを重視しています。具体的には、研修後の事後課題、フォローアップ研修の設計を含めたフォロー施策を提案し、受講者が学びを継続できる環境を整えます。また、単なる知識の習得で終わらせず、「実践し、定着させる」ことを目的としたアクションプランを策定し、職場で活用できる仕組みを構築します。

研修効果を最大化

研修効果を最大化するためには、受講者本人だけでなく、上司や人事、経営層の関与も欠かせません。そのため、組織全体で研修の成果を支える仕組みとして、上司との1on1の導入や、研修の目的を経営層と共有する取り組みもご提案しています。研修の「やりっぱなし」を防ぎ、ゴールまで伴走することで、確実な成果へとつなげます。
具体的な研修内容や実施タイミングはお客様のニーズに応じて柔軟に対応いたします。企業の個別の課題をお聞きし、最適な研修やソリューションをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

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お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


今回ご紹介した研修の振り返り・評価のサポートや、お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

株式会社ヒューマンエナジー
愛知県名古屋市西区名駅1丁目1番17号名駅ダイヤメイテツビル11階

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【コラム】「目標設定」と「目標管理」の本質  ~部下の自律と成果を生むKPI設計と1on1の実践~

目次
1.評価制度の陥りやすい罠

2.日本における評価制度への信頼感の低さ
3.正しく働き、成長するための評価制度
4.目標設定の要点:KPIとCSF
5.目標管理の実践ポイント
6.教育・研修による仕組み定着と実践事例
7.まとめ

多くの企業で「評価制度」や「フィードバック面談」は導入されています。しかし現場で実際に行われている運用を見てみると、形だけの目標設定や義務的な1on1にとどまっているケースが少なくありません。

「期初に上から降りてきた数字を各自に割り振る」「期末に達成率を確認して終わり」――これでは、社員の主体性や成長意欲は引き出せません。形式だけの目標設定は、むしろ働く目的を曖昧にし、「何のために頑張るのか」「どうなれば成功なのか」が見えなくなってしまうのです。

評価制度やフィードバックの仕組みは、制度そのものではなく運用の質が組織の成長を左右します。真に機能する仕組みとは、社員一人ひとりが自ら考え、行動し、成果を実感できるようにする「対話の仕組み」なのです。「目標設定」と「管理の質を高める」ことは、単なる人事施策ではなく、組織の戦略実行力そのものを高める取り組みともいえます。

今回は、「真に機能する評価制度」を作るための目標設定と目標管理の本質とは何かを考えたいと思います。

スマートキャンプ株式会社の運営する「BOXILマガジン」によるアンケート(2025年)では、 評価対象者(従業員2,655人)の半数以上である約54%が自社の人事評価制度に「不満がある」と回答しており、不満の最上位理由は「評価基準があいまいでわかりにくい」でした。

出典:BOXIL「人事評価制度と人事評価システムに関する満足度調査」 2025年10月23日掲載記事

また、パーソル総合研究所「人事評価制度と目標管理の実態調査」(2021年)によると、 従業員の38.3%が評価制度そのものに不満を持っており、評価プロセスに36.3%、評価結果には33.2%がそれぞれ不満を感じているという結果があります。 さらに「目標管理制度」については、「目標を定量化するのが難しい」「個々人・部署によって目標難易度に格差がある」という不満が約6割に上っています。

出典:パーソル研究所「人事評価制度と目標管理の実態調査」

 MENTAGRAPH株式会社による「1on1 MTGの形骸化・マンネリ化に関する実態データ」(2025年)によると、1on1 MTGを実施している企業は約41.3%で、実施者(22~65歳の全国のビジネスパーソン724人)においては75.1%が「1on1 MTGは必要だ(とても必要:15.3%、必要:59.8%)」と回答しており、上司も部下も必要性は実感しているようです。

しかし、部下(非管理職424人)の満足度調査で、満足しているのは36.5%に留まり、約7割があまり効果を感じられていないという結果でした。現状をどう感じているかについては、51.9%が「毎回似た内容の繰り返しになっている」、42.8%が「表面的な会話に留まり、本質的な議論に発展しない」と回答しており、つまり 形式的・マンネリ化している傾向が伺えます。

出典:PR TIMES 2025年10月14日記事 MENTAGRAPH株式会社の調査結果「ビジネスシーンでの「1on1 MTG」、普及の裏で進む“マンネリ化”傾向-約7割の社員が「1on1ではモチベーションは上がらない」と回答

これらのデータから浮かび上がるのは、「評価制度は存在しているが、納得感を得られていない」という日本企業特有の構造的課題です。つまり、制度としての導入はされ、定着している一方で、現場では形骸化やマンネリ化しており、フィードバックが有効に機能していない。このギャップこそが、従業員のモチベーションやエンゲージメントを阻む大きな要因となっています。

なお、フィードバックの在り方については、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「職場におけるフィードバック実態調査」(2025年8月19日)の報告が参考になります。ここだけでは語りつくせないので今回詳細は省きますが、興味深いのは「上司・同僚・部下などが相互にフィードバックし合う文化」が語られている点です。「フィードバック=評価や指摘」とネガティブに捉えず、お互いのための双方向的な贈り物として捉えることで、個人と組織の成長と信頼関係の後押しにしようとしており、組織におけるフィードバックの理想形やそのためのヒントを得ることができます。是非参考になさってください。

評価制度は、本来「公平に成果を報酬へ反映する」だけでなく、組織が望む方向に仕事を進め、個人の成長を支援するための仕組みです。鍵は、適切な目標設定と継続的な振り返りにあります。

にもかかわらず、期初に数字を頭割りし、期末に達成率を確認するだけの運用では、何を優先し、どの力を伸ばすべきかが見えません。評価は“点数”ではなく“学習の仕組み”であるべきです。

結果を測るKPIに加え、成功要因(CSF)という質の観点を明確にし、週次・月次で仮説と行動を更新する――この循環があって初めて、人は自律的に改善を回せます。また、上司と部下の対話は「査定の説明」より「次の一歩の合意」を重視することが肝要です。1on1は報告会ではなく、目的・仮説・優先度をすり合わせる編集会議に変える。過程の試行錯誤を認め、成果と成長の双方を評価軸に据えると、評価は管理ではなく動機づけへと変わります。

私たちが支援させていただいているある会社様では、一般的な企業で「評価制度」といわれている制度を「成長支援制度」と命名し、期初の個人の目標設定と期末のフィードバック、その結果として報酬・職位への反映において、成長にどう関係しているかを強く意識づける努力をされています。そのくらいの意識改革が求められる領域だといえるでしょう。

目標設定とは、単に数字を決める作業ではありません。「仕事の方向」を定義するマネジメントそのものといえます。

成果を生む目標設定のポイントは、「KPI(重要業績評価指標)」の前に、その前提にある「CSF(Critical Success Factor=重要成功要因)」を明確にすることにあります。たとえば営業部門で「売上◯%増加」というKPIを掲げるとき、その達成を支えるCSFは「顧客接点の質」「商談設計力」「提案スピード」など、行動やプロセスに関わる要素です。つまり、KPIは“結果”であり、CSFは“質の源泉”なのです。この二つを明確に区別し、CSFからKPIを導く原則を守ることで、目標が「与えられた数字」から「自ら設計し、具体的な行動をとるための計画」に変わります。

多くの企業では、会社全体の目標となるKPIを、そのまま組織のKPIとしているケースが見られます。売り上げをそのまま部門別の売り上げ目標にし、各メンバーが何をどうやってそれを達成するのか、あいまいなままだったりするのが典型例です。

<KPI/CSFの関連サンプル図>
<全社目標から組織目標に落とし込む際のイメージ図>

したがって、全社目標としての目標数値があった場合、それをそのままKPIにするのではなく、ある部門がどのように全体目標に貢献するのかの成功要因=CSFをまず定義し、そのCSFが実施できているかを測る指標としてKPIを設定することとなります。個人の目標設定も同様です。まずCSFを定義づけ、それを測る指標としてKPIを設定することが必要です。

重要なのは、上長・人事部がそうしたメカニズムをきちんと理解し、実際の目標設定の現場で実践できるよう落とし込むことです。そのためには、丁寧な説明とトレーニングが欠かせません。

目標を設定した後に重要なのが「目標管理」です。多くの管理職が、期初の設定で満足し、期末に結果を振り返るだけで終わってしまいます。しかし、成果を生むチームでは、“目標を運用する”習慣があります。

1)常に目標を確認する

目標を設定する側の立場からすると、期初に目標設定面談をすれば、その目標を従業員が覚え、日ごろからそれを意識して行動する、と思いがちです。しかし、日常から予実を比較する営業職などでない限り、そうした意識を持ち続けるケースは実は稀です。むしろほとんど人が1か月もすれば目標など忘れてしまうのが通常です。(自分の胸に手を当ててみると、思い当たる方も多いのではないでしょうか。私もその一人です)。

管理者側は、だからこそくどいくらい、毎週、毎月のタイミングで目標を確認し、意識づけするきっかけを作る必要があります。

2)短いサイクルで振り返り、具体的な行動を合意する

上記にも関連しますが、目標とあわせて進捗を短いサイクルで見ることが重要です。これは、今までと同じやり方では目標達成が難しい場合に早くアクションをとることが可能になるためです。目標達成において重要なのは気合や根性ではなく(それらが重要な場合ももちろんありますが)、適切な方向に向けて適切な方法で業務を予定通り遂行することです。もちろん、業務は常に想定通り進みません。だからこそ、状況に合わせて臨機応変に方向・やり方を変える必要があり、そのために短時間でよいので異変に早く気付くことが重要になります。単に数字を見てよかった/悪かったといっているだけでは、振り返ったとは言えません。そして、どのように行動を変えるのか、という点について合意をとることが重要です。行動を変えなければ振り返りの意味はありません。

3)信頼関係構築・心理的安全性向上の場とする

振り返りの場は、プレッシャーをかけたり恐怖で人を動かず場ではありません。信頼関係を深め、自由なアイディアや改善案を出しやすくしたり、悩みやネガティブな状況があった際にすぐに情報共有しやすい関係性を構築するための場といえます。管理者は、単に進捗を確認し、未達を責めるのではなく、どうすれば改善に転じることができるのかを話すと同時に、心理的安全性を向上する場づくりも考える必要があります。

この3つを意識するだけで、目標管理が「数字のチェックリスト」から「学びのプロセス」に変わります。マネジメントとは、部下の行動を管理することではなく、「思考の焦点」を整えること。目標管理はそのための場であるべきです。

いかに優れた制度を設計しても、現場で運用できなければ意味がありません。特に目標設定や1on1のような“対話を通じたマネジメントスキル”は、経験だけでは身につかない領域です。

ヒューマンエナジーでは、
• KPI・CSF設計の理解と実践演習
• 1on1ロールプレイとフィードバック
• 管理職間のケース共有とリーダーシップ強化
といった実践型の研修プログラムを通じて、現場に根づく仕組みづくりを支援しています。

これらの内容の具体的なお話は、無料セミナー 2025年11月18日(火)15時半~ にてご紹介いたしますので、是非ご視聴ください。

目標設定と目標管理は、制度の中で最も「運用の質」が成果を左右する領域です。どれほど精巧な評価制度を設計しても、現場でそれが自律と成長を促す仕組みとして機能しなければ意味がありません。重要なのは、評価を“点数化の仕組み”としてではなく、“学習と成長の仕組み”として位置づけ直すことです。
そのためには、KPIを結果指標として扱うだけでなく、行動や思考の質を支えるCSFを明確にすること、そして上司と部下が短いサイクルで対話を重ね、目標の意味と次の行動をすり合わせ続けることが欠かせません。
また、評価制度の運用は一部の管理職任せにせず、組織全体で“目標の考え方”を共通言語化する教育・研修によって定着を図ることが重要です。制度とは形ではなく、文化です。評価の本質を「公平さ」と「成長支援」の両輪で再定義し、個人と組織が同じ方向を向いて学び続ける――それこそが、真に成果を生む目標設定と目標管理のあり方といえるでしょう。


株式会社ヒューマンエナジー 代表取締役 神山 晃男  
様々な企業での実務的な経営経験も活かし、経営改善・組織改革から現場の業務効率化まで幅広く、お客様の目的にあわせた研修プログラムをご提供します。

株式会社こころみ 代表取締役
株式会社ウェブリポ 代表取締役

<外部役員・他>
・認定NPO法人カタリバ 監事
・医療AI推進機構株式会社 監査役
・株式会社テレノイドケア 顧問
・流通経済大学 非常勤講師
・元 株式会社イノダコーヒ 取締役
・元 イングアーク1st株式会社 監査役
・元 株式会社コメダ 取締役

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