【コラム】無意識の偏見を克服し、公平な職場を! アンコンシャス・バイアス 研修の効果とは

アンコンシャス・バイアス 研修

あなたの職場では、こんなことが起きていませんか?

  • 会議で特定の意見ばかりが通る
  • 採用面接で「なんとなく」印象の良い人を選んでしまう
  • チーム内でのコミュニケーションがぎこちない

これらの背後に、「 アンコンシャス・バイアス (無意識の偏見)」が潜んでいるかもしれません。現代の職場では、多様性が進み、新たなアイデアや価値観がもたらされています。イノベーションの可能性を秘めた環境が整いつつある一方で、私たち自身が無意識に抱く偏見が、意思決定やコミュニケーションの障害となるケースが増えています。
しかし、これは誰もが持つ自然な心の働きです。だからこそ、その存在を認識し、向き合うことが大切です。偏見に気づき、乗り越えることで、多様性を活かした職場づくりが可能になり、信頼関係や生産性が劇的に向上するのです。
本コラムでは、 アンコンシャス・バイアス の正体や職場への影響を紐解きながら、それにどう対処し、組織を次のステージへ進化させるかを解説します。この機会に、無意識の偏見を理解し、職場にプラスの変革をもたらす一歩を踏み出してみませんか?


無意識の偏見( アンコンシャス・バイアス )とは、自分が気づかないうちに特定の人やグループに対して抱いてしまう固定観念や判断のことです。これらは、私たちの迅速な意思決定を支える一方で、不公平や誤解を生む原因にもなります。
例:初対面の相手を見ただけで「この人は話しやすそう」「能力が高そう」といった印象を持つことがありますが、それが実際の能力や性格を正確に反映しているとは限りません。


無意識の偏見は、脳が効率的に情報を処理するためのメカニズムによって生じます。以下はその代表的な仕組みです。

(1)ヒューリスティック(直感的判断)
脳は、迅速に結論を出すために、過去の経験やパターンに頼ります。これにより効率的な判断が可能になりますが、時に誤りを引き起こします。
例:「スーツを着ている人=信頼できる」という判断を無意識に行う。

(2)カテゴリー化
脳は情報を整理しやすくするため、物事をカテゴリー(グループ)に分けます。この分類がステレオタイプや偏見の元になります。
例:「若い人=経験が少ない」といった一般化。

(3)感情と記憶
過去の経験や感情が強い印象を残し、それが次の判断に影響します。特定の属性に対してポジティブまたはネガティブなイメージを持つことがあります。
例:以前に話しやすいリーダーが男性だったため、「リーダーは男性が適任」と考える。


無意識の偏見は、私たちが育った環境や社会的影響によって形成されます。以下のような要因が関わっています

(1)社会的学習
子どもの頃から、家族や学校、メディアを通じて「こうあるべき」という固定観念を吸収します。
例:テレビや映画で「男性はリーダー」「女性はサポート役」といった役割分担が描かれる場面を多く目にする。

(2)文化的影響
文化や地域の価値観が偏見を作り出します。たとえば、性別や年齢に関する固定観念は文化によって異なります。
例:年長者を重んじる文化では、若い人の意見が軽視されがち。

(3)個人的経験
個人の過去の経験が、特定のグループや人に対する偏見を生むことがあります。
例:苦手な同僚が特定の大学出身だった場合、その大学の出身者全体にネガティブな印象を持つ。


無意識の偏見が行動や意思決定に影響を与えると、職場や日常生活で次のような問題が発生します

(1)職場での不公平
採用、昇進、評価において、特定のグループが不利になる。
例:女性や外国籍の候補者が「重要なポジションには向かない」と判断される。

(2)多様性の損失
偏見によって特定の意見や人材が排除されると、多様性が損なわれ、組織の成長に悪影響を与える。

(3)信頼関係の崩壊
偏見が他者とのコミュニケーションや信頼に悪影響を及ぼす。
例:無意識に一部の人の意見を軽視し、職場の人間関係がギクシャクする。

無意識の偏見( アンコンシャス・バイアス )は、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包摂性(Inclusion:DEI)を推進する上で大きな障害となることがあります。たとえば、採用や評価の場面で、無意識に自分と似た価値観や背景を持つ人を好む「類似性バイアス」が働くと、多様な視点や経験を持つ人材が採用されにくくなります。また、昇進や責任のある業務の配分において、性別や年齢に基づく固定観念が影響すると、公平な機会が損なわれる可能性があります。さらに、チーム内のコミュニケーションで特定の属性を持つメンバーの意見が軽視されることで、包摂性が欠如し、心理的安全性が低下することもあります。こうした影響が積み重なると、信頼関係や生産性にも悪影響を及ぼします。

(1)採用プロセスへの影響
履歴書に記載された名前や出身地、第一印象などが無意識に判断を左右することで、応募者が不公平に扱われるリスクがあります。たとえば、名前だけで性別や国籍を推測し、「このポジションには合わない」と決めつけてしまうことがあります。また、「スーツを着ている=信頼できる」といった先入観も、不必要に候補者を過小評価または過大評価する原因となります。

(2)評価・昇進への影響
評価の際、ホーン効果やハロー効果が働き、一部の特徴が他の評価項目に不当に影響を与えることがあります。ホーン効果ではネガティブな特徴(例:服装がだらしない)に引きずられ、その他の能力まで低く評価してしまうことがあり、逆にハロー効果ではポジティブな特徴(例:話が上手い)を過大視し、実績やスキル以上に高く評価してしまうケースがあります。これにより、公平性が損なわれるだけでなく、能力のある人材が不当に機会を奪われることもあります。

(3)チームの協力関係への影響
チーム内で無意識の偏見が働くと、役割の固定化や意見の軽視、心理的安全性の低下が発生します。たとえば、「若手社員はまだ経験が浅いから」と決めつけて重要なプロジェクトに参加させない、「女性メンバーは細かい作業が得意」と思い込んで雑務を押し付けるといった行動が、その人の能力を正当に評価しないだけでなく、チーム全体の連携や士気にも悪影響を与える可能性があります。

人材育成担当者が アンコンシャス・バイアス に向き合うためには、個人レベルだけでなく、職場全体に働きかける仕組みを構築することが重要です。偏見の影響を減らし、多様性と公平性を高める職場環境を作るための具体的な方法をご紹介します。

(1)フィードバック文化を醸成する
偏見に気づくには、第三者の視点が不可欠です。人材育成担当者として、職場でのフィードバック文化を育てましょう。
具体的な取り組み:
・360度フィードバックを導入し、上司、同僚、部下からの意見を収集する仕組みを作る。
・フィードバックの際、偏見に基づく行動に対する気づきを促す質問を含める。
・フィードバックを受けやすい心理的安全性を職場に築くため、研修やワークショップを通じて「正しい伝え方・受け止め方」を指導する。

(2)バイアスを見直す仕組みを導入する
個人の努力だけではなく、組織としての仕組みを見直すことも重要です。
・採用時の仕組み
面接官の評価がバイアスに左右されないよう、評価基準を明文化し、スキルや成果など客観的な指標に基づいた採用を行う。履歴書に名前や年齢、性別を記載しない「ブラインド採用」を試験的に導入する。
・評価プロセスの透明化
昇進や報酬の評価基準を見直し、「偏見が入り込む余地」がないよう基準を明確にする。評価には複数の視点を取り入れ、バイアスを軽減する。

(1)組織全体の意識改革を促す
人材育成担当者として、偏見に対する意識を職場全体で高める取り組みを推進しましょう。
【多様性を可視化】
職場の多様性指標(性別比率、役職における多様性など)を公開し、多様性向上の目標を明確化します。
【全員参加型のワークショップ】
定期的に、職場のメンバー全員が参加できるワークショップを開催します。
テーマ例:「多様性を活かすリーダーシップ」「無意識の偏見が及ぼす影響を考える」。
【ロールモデルの活用】
偏見に向き合い、多様性を活かす行動を実践するリーダーを可視化し、社員が具体的な行動をイメージできるようにします。

(2) 社員が日常的に実践できるツールを提供する
【簡易チェックリスト】
日常の判断や行動を見直すためのチェックリストを全社員に共有し、意思決定の際に活用してもらいます。
例えば、
・この判断は、データや事実に基づいているか?
・相手の性別や年齢、外見に影響されていないか?
・同じ能力の人を公平に評価しているか?
・特定のグループに対して「〇〇は向いていない」と決めつけていないか?
・自分の価値観や好みに合った人ばかりを優遇していないか?
これらのチェックを通じて、バイアスが入り込んでいないかを意識的に確認できます。

【ミニアンケート】
会議やプロジェクト後に「全員の意見が公平に反映されたか?」などを確認する簡単なアンケートを実施し、意識的な振り返りを習慣化します。

(3) バイアス軽減のためのサポートを提供する
【サポート窓口の設置】
偏見に基づく行動や発言について悩みがある社員が気軽に相談できる窓口を設けます。

【メンタリングプログラム】
異なる背景や価値観を持つメンター・メンティーのペアを作り、偏見を乗り越える学びの場を提供します。

業務の中でバイアスへの対策を進めるためには、まず従業員が アンコンシャス・バイアス の存在に気づくことが欠かせません。その第一歩として、研修は非常に効果的です。当社の研修では、基礎知識の習得から、個人・チーム・組織全体での取り組みまで、段階的に学べるプログラムを提供しています。その構成を以下に具体的に紹介します。

(1) アンコンシャス・バイアス とは
研修の第一ステップでは、 アンコンシャス・バイアス の意味や特徴を明らかにし、その利点と欠点を丁寧に解説します。偏見自体が必ずしも悪いものではなく、生存本能や効率的な判断に役立つ側面もある一方で、職場では不公平感を生むリスクがあることを理解することができます。

(2)さまざまな アンコンシャス・バイアス のパターン
次に、多様なバイアスの具体例を挙げ、自分自身がどのような偏見を持っているのかを明らかにしていきます。参加者が「自分も偏見を持っている」という事実に気づくことは、行動を変えるための第一歩です。例えば、「ステレオタイプ」や「確証バイアス」など、日常の中で発生しやすいバイアスを具体的な事例を用いて解説します。

(3) アンコンシャス・バイアス への対処
研修の後半では、偏見を矯正するための具体的な方法論を学びます。このセクションは、実践的であることが特徴です。たとえば、以下のような場面ごとに適切な対処法を身につけます。

  • 部下・後輩に対するバイアス: フィードバックや人事評価で偏見を減らす方法。
  • 上司に対するバイアス: 先入観を排除して適切な信頼関係を築く方法。
  • チームでの取り組み: 多様性を活かす議論や意思決定の仕方を考える。
  • お客様に対するバイアス: 公平な接客や対応を実現するための実践例。

このような構成により、参加者は「自分の偏見に気づき、理解し、行動を変える」プロセスを体系的に学ぶことができます。また、研修の中ではロールプレイやケーススタディも活用し、現場で役立つスキルを習得します。

受講生には、研修内容を職場で積極的に共有することを推奨しています。具体的には、研修後に自身が設定した行動目標をチームメンバーに共有し、チーム全体でその進捗をサポートする仕組みを作ることを目指します。たとえば、「○○バイアスに気を付ける」という目標を立てた場合、実際の会話や行動の中でそのバイアスが表れた際に、メンバーからフィードバックを受けられる環境を構築することが重要です。このような取り組みが上司と部下の間でも実践されれば、信頼関係が深まり、意見を率直に言いやすい風通しの良い組織づくりにつながります。

アンコンシャス・バイアス を実際にどのように意識し、対処するのかを例を挙げて考えてみましょう。たとえば、「高齢者はITが苦手だ」という認識が挙げられます。この先入観は統計的には一理あるかもしれません。新しいツールを説明しても「難しい」と感じる方が一定数いることは事実です。しかし、このような認識を個々人に当てはめるのは問題です。具体的には、新しく入社したAさんが68歳だった場合、「AさんはITが苦手だろう」と決めつけるのではなく、「Aさん、ITに関してどのようなご経験がありますか?」と具体的に確認する姿勢が求められます。このアプローチにより、個々人の能力や特性を正しく理解することが可能になります。
アンコンシャス・バイアス は誰にでも存在するものですが、自分の偏見に気づき、正しいコミュニケーションを取ることで、組織全体がより公正で協力的な環境へと進化していきます。

現代の職場で重視される多様性の推進には、無意識の偏見( アンコンシャス・バイアス )への対応が不可欠です。無意識の偏見とは、気づかないうちに特定の人やグループに対して固定観念を持つことで、採用や評価、コミュニケーションにおいて不公平を生じさせる原因となります。偏見は脳の効率的な情報処理の副産物として形成され、社会的学習や文化的影響、個人的経験により強化されます。この偏見が職場に及ぼす影響は大きく、多様性、公平性、包摂性(DEI)の実現を妨げる要因となるほか、信頼関係や生産性の低下を引き起こします。まず一人ひとりの「これもそうなの?」という気づきが偏見の改善への第一歩です。日々の意思決定や行動の中にどのようなバイアスが潜んでいるかに気づき、それを見直し、排除していくことが、多様性を活かした組織づくりへの土台となります。無意識の偏見を認識し向き合うことで、偏見を軽減し、多様性を活かした創造的で公正な職場環境を築くことが可能です。具体的には、バイアスを軽減する仕組みの導入や全従業員向けの研修、意識改革の推進が有効です。これにより、個々の能力を最大限発揮できる環境が整い、組織全体の成長や持続的な発展が期待されます。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。今回の内容では特に「社会の変化への対応」に関連しています。現代の社会は、多様性、公平性、包摂性(DEI)がますます重視される方向に進んでおり、企業や組織にもその変化への適応が求められています。無意識の偏見( アンコンシャス・バイアス )は、特に多様化が進む職場環境において、意思決定やコミュニケーションに影響を及ぼす重要な要因です。この偏見に気づき、向き合うことで、従業員の多様な背景や価値観を尊重する姿勢が育まれ、柔軟で創造的な組織文化を築くことが可能になります。当社の「 アンコンシャス・バイアス 研修」は、多くの企業様からご好評をいただいており、最近ではご依頼が増加しています。特に、職場の多様性を活かす具体的な取り組みとして研修を導入した企業では、コミュニケーションの質が向上し、業務効率の改善にもつながるとのお声をいただいています。さらに、 アンコンシャス・バイアス 研修は、偏見を減らすだけにとどまらず、個人やチームがより良い意思決定を行い、社会の多様性や公平性に対応する能力を高める貴重なきっかけとなります。このような取り組みは、企業が様々な社会の変化に対応するための基盤を強化するものといえるでしょう。当社では、お客様のニーズに応じた柔軟な研修プログラムをご用意しています。企業の個別の課題を丁寧にお伺いし、それぞれに最適な研修やソリューションをご提案いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


今回ご紹介した研修の振り返り・評価のサポートや、お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

株式会社ヒューマンエナジー
愛知県名古屋市中村区名駅2丁目36番2号 協和ビル604

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お急ぎの方はお電話ください(平日9:00~18:00)

企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

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【コラム】変化の時代を生き抜く!従業員の キャリア形成 の支援

キャリア形成 の支援

キャリア形成

人材育成担当者にとって、従業員一人ひとりの キャリア形成 をどう支えるかは重要なテーマです。しかし、「どこから手をつけるべきか」「どのような支援が効果的なのか」を迷われている方も多いのではないでしょうか。
たとえば、こんな悩みをお持ちではありませんか?

  • 従業員がキャリアについて主体的に考えていないように見える
  • キャリア形成支援をしているが、成果や効果が見えづらい
  • 従業員一人ひとりの多様なニーズにどう対応すれば良いか分からない

私たちは、 キャリア形成 を「仕事を通じて従業員の人生を豊かにするプロセス」として捉えています。 キャリア形成 の支援は、従業員個々の成長を促進するだけでなく、組織全体の活力向上にもつながるものです。本コラムでは、 キャリア形成 の基本的な考え方から具体的な支援方法まで、人材育成担当者が現場で活用できる視点をご紹介します。

キャリア形成 とは、一人ひとりが自分の職業人生を主体的に設計し、目標に向かって継続的にスキルや経験を積み上げていくプロセスを指します。 キャリア形成 というと、社内での出世ルートや昇進の説明と捉えられることもありますが、それだけではありません。 キャリア形成 とは、従業員の価値観やライフスタイルを反映した“生き方全体”を形作ることなのです。

プロティアンキャリアとの関係性
キャリア形成 を考えるうえで鍵となるのが『プロティアンキャリア』という概念です。経済学者ダグラス・ホールによって提唱された概念で、個人が自分の価値観や目標に基づき、柔軟にキャリアを形成していくことを重視します。「プロティアン(Protean)」とは、ギリシャ神話に登場する神プロテウスに由来し、状況に応じて変幻自在に形を変える性質を意味します。この考え方は、変化の激しい現代社会において、柔軟性を持ちつつ自分らしいキャリアを築くための重要な指針となります。

プロティアンキャリアの視点から見ると、 キャリア形成 には次の3つの要素が欠かせません。
主体性:従業員自身がキャリアの主導権を持ち、自分の未来をデザインする力を引き出す。
柔軟性:変化の激しい社会に対応できる力を育む。
価値観の重視:変化の激しい社会に対応できる力を育む。

キャリア形成 を主体的に進めることは、仕事だけでなく、家庭や地域社会など多様な場面における自己実現を支える基盤にもなります。そのため、個人の意識や行動だけでなく、企業が支援の仕組みを整えることも重要です。

現代社会において キャリア形成 がこれまで以上に注目される背景には、以下のような変化があります。

従来の「終身雇用」や「年功序列」に基づく働き方が減少し、転職やジョブ型雇用が一般化する中で、個人が自らキャリアを築く必要性が増しています。企業が用意したキャリアパスに従うのではなく、働き手自身が目標を設定し、学び続けることが求められています。

平均寿命の延びにより、働く期間がこれまでよりも長くなっています。キャリアの途中で再教育や方向転換を行うことが一般的になり、複数の職業を経験する「マルチキャリア」の時代へと移行しています。これにより、キャリア形成が「若い時期だけの課題」ではなく、生涯を通じて取り組むべきテーマとなっています。

テクノロジーの進化やグローバル化が進む中、従来の職業や働き方が消滅・変容し、新たなスキルや適応力が必要になっています。また、リモートワークや副業の普及により、「多様な働き方」に対応するキャリア設計が重要となっています。

「お金を稼ぐためだけの仕事」から「自分らしい生き方の実現手段」としてのキャリアへの意識が高まっています。働く人々は、自己実現やワークライフバランス、社会貢献といった価値観に基づいたキャリアを追求するようになっています。

キャリア形成 の目的は、従業員が自分らしい生き方を実現するために、以下を支援することです。

キャリア形成 は、自分自身の価値観や目標に基づき「なりたい自分」に近づくための手段です。仕事を通じて自己の強みを活かし、成長を実感することで、人生全体の充実度を高めることができます。

変化の激しい社会で長く活躍するためには、時代に合わせてスキルや知識をアップデートし続けることが必要です。 キャリア形成 は、こうした「環境変化に適応する力」を培うプロセスでもあります。

キャリア形成 を通じてスキルや経験を積むことは、自身の市場価値を高め、安定した収入や働く場所を得ることに繋がります。また、自分に合った働き方を追求することで、仕事からのストレスを軽減し、心身の健康を保つ助けとなります。

個々の キャリア形成 が進むことで、多様な人材が育成され、企業や地域社会、さらには社会全体の競争力や持続可能性を高めることができます。個人の成長と社会の発展は相互に影響し合う関係にあります。

キャリア形成 はもはや全ての働く人々にとって重要なテーマです。個人が自己実現を追求する中で、社会や企業との相互関係を築き、より良い未来を創造することが、 キャリア形成 の究極の目的と言えるのではないでしょうか。

現代の企業は、従業員一人ひとりの キャリア形成 を支援することが重要な課題となっています。従業員が成長を実感し、仕事へのモチベーションを高めることで、企業全体の成果向上にも繋がります。企業が従業員のキャリア形成を支援する際に意識すべきポイントをお伝えします。

企業が キャリア形成 を支援する第一歩は、従業員が自身の価値観や強み、キャリア目標を明確にできる場を提供することです。それをサポートすることが キャリア形成 の基盤となります。自分の方向性を把握することが成長と成果に繋がります。
具体的な取り組み例
・ワークショップ形式で目標や価値観を整理する機会を提供する
・自己診断ツールを活用して自己理解を促す
・キャリアコンサルティングや定期的なキャリア面談を実施する

従業員が将来の成長イメージを描けるよう、職務や昇進の道筋を明確にすることが重要です。選択肢があることで、従業員は自分に合ったキャリアを主体的に考えるきっかけを得られます。ただし、選択肢は固定化せず、柔軟性を持たせることが重要です。
具体的な取り組み例
・昇進、異動、専門職への道など、複数のキャリアパスを設ける
・ロールモデルとなる従業員や上司のキャリア事例を共有し、参考にできるようにする

従業員がスキルアップを図れる環境を整えることは、 キャリア形成 を支援する上で非常に重要です。従業員が成長を実感できる環境は、モチベーションの維持に欠かせない要素となります。また、スキルアップや新たな業務への挑戦を支援することで、長期的な人材育成が可能になります。
具体的な取り組み例
・社内外の研修やセミナーを充実させる。
・業務を通じたOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を積極的に設計する
・ジョブローテーションや社内公募制度を導入する

キャリア形成 は一度の支援で完結するものではなく、継続的なフォローが欠かせません。従業員の成長や変化に応じて支援内容を見直し、柔軟に対応することが求められます。その上で、適切なサポートを提供することが重要です。結果として、従業員が組織の中で「成長している」と実感でき、モチベーションの向上や離職率の低下につながることが期待されます。
具体的な取り組み例
・上司との定期的な1on1ミーティングを実施する
・フィードバックを基にキャリアプランの見直しを促す
・人材育成担当者はキャリア支援プログラムの効果を定期的に測定し、必要に応じて改善する

従業員が主体的に キャリア形成 を進められるよう支援することは、企業にとって重要な取り組みとなっています。このような背景の中、『グッドキャリア企業アワード』は、厚生労働省が主催する表彰制度として、模範的なキャリア支援を行う企業を選定し、広く社会にその事例を発信しています。以下では、受賞企業の中から成功事例をいくつかご紹介し、その取り組み内容について解説します。

1.住友生命保険相互会社
「人財共育」の理念のもと、多彩な制度や専任チームによる理念浸透・取組推進活動等により、入社から定年まで切れ目なく全社的にキャリア支援・開発を推進
・経営戦略をもとに「人財共育(共に学び育つ」に取り組むことを社長自らが発信し、理念浸透、取組推進専任チーム「エバンジェリストチーム」が全国の全所属長と課題を抽出・共有し、アクションのすり合わせ等を実施。
・本人希望や自己研鑽の状況を尊重した職務付与や異動配置を行う「マイキャリア運営」のもと、様々なキャリア支援メニュー(キャリア支援面談、1on1、興味ある分野 の業務体験等)を選択、活用できる機会を提供。

2. キヤノンマーケティングジャパン株式会社
退職時ヒアリングや年代別セミナーを通じた課題解決により、離職防止と信頼関係構築を推進し、評価への納得感向上を実現。
・若手の早期離職者増加を受け、従業員の退職時のヒアリングを実施し、分析・把握した課題をもとに、キャリア面談・年代別セミナー等のキャリア支援施策に反映させ、従業員のリテンションに貢献。
・目標管理面接とは別に部下と上司のキャリア面談の機会を設けることで信頼関係の構築を図り、ひいては人事評価に対しても高い納得度を得ている。キャリア支援施策について労働組合等との情報交換等を通じて品質向上に努めている。

これらの事例から、キャリア支援プログラムの成功には、従業員個々の状況に応じた柔軟な支援と、継続的な学びの場の提供が鍵となることがわかります。詳細は厚生労働省の公式サイトhttps://www.mhlw.go.jp/career-awardで確認できます。

キャリア形成 は、個人が自らの価値観や目標に基づき、成長を目指す主体的なプロセスです。その意義は、単なる仕事の成功に留まらず、人生全体の充実感や自己実現に繋がる点にあります。変化の激しい現代社会において、企業が従業員の キャリア形成 を支援する役割はますます重要です。従業員の自己理解を深めるワークショップやキャリア面談、学び直し(リスキリング)を支援する環境整備などは、成長を支える有効な施策です。こうした取り組みは、従業員の成長を促すだけでなく、企業全体の持続的な発展にも寄与します。また、私たちのミッション「自ら考え、学び、行動する人が活躍できる社会をつくる」は、プロティアンキャリアの概念と深く重なります。プロティアンキャリアが強調する主体性や柔軟性は、私たちが目指す「自ら考え、学び、行動できる人が活躍する社会」の実現そのものです。これからの企業は、従業員が自己の可能性を引き出せる環境を提供し、共に成長する存在であるべきだと考えます。私たちは、プロティアンキャリアの概念を実践し、企業と従業員が共に輝く社会づくりを目指しています。


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【コラム】人材育成のカギ!スキルマップの作り方と活用法

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。今回の内容では特に「学びと成長の機会を提供する」ことに力を入れており、従業員一人ひとりが自分の価値観や強み、キャリア目標を明確にするためのキャリアデザイン研修が好評です。これにより、従業員の主体性を促し、個々の キャリア形成 を支援します。具体的な研修内容や実施タイミングはお客様のニーズに応じて柔軟に対応いたします。企業の個別の課題をお聞きし、最適な研修やソリューションをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


今回ご紹介した研修の振り返り・評価のサポートや、お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

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愛知県名古屋市中村区名駅2丁目36番2号 協和ビル604

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お急ぎの方はお電話ください(平日9:00~18:00)

企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

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人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
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【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

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【お知らせ】2024/12/1 名古屋本社 移転のご案内

名古屋本社 移転のご案内

お取引先様各位

拝啓 時下ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、このたび株式会社ヒューマンエナジーは、2024年12月1日(日)より、下記の住所に移転することとなりました。
お手数をおかけしますが、新しい住所へのご変更をお願いいたします。なお、電話番号の変更はございません。

これを機に従業員一同さらに専心努力いたし ご期待にお応えする決意でございます。今後とも皆様のご支援ご指導を賜りますよう伏してお願い申し上げます。

敬具

2024年11月吉日

株式会社ヒューマンエナジー
代表取締役 神山晃男

【移転日】 2024年12月1日(日) 
【新住所】  〒451-0045 名古屋市西区名駅一丁目1番17号 名駅ダイヤメイテツビル11階
【電話番号】 052-541-5650(電話番号は変更ございません) 

以上

【コラム】新人社員の成長を加速!実務に直結する フォローアップ研修 とは|ビジネスを成功に導く人材育成

新入社員 フォローアップ研修

4月に新しい環境でスタートを切った新入社員も、半年が経過する頃には業務や職場に慣れ、自分の役割を理解しながら日々の業務に取り組んでいることでしょう。しかし、この時期になると、新たな課題が浮上し始めます。たとえば、職場や業務の現実とのギャップに気づいたり、社内メンバーとのコミュニケーションの取り方に悩むことが多くなるほか、モチベーションの低下や自己成長への焦りを感じやすくなります。その一方で、入社時の研修で培ったスキルが徐々に発揮され始める時期でもあります。 こうした状況に対処し、次のステップへ進むためには、適切なサポートが必要です。 フォローアップ研修 を通じて、これまでの経験を振り返り、業務遂行力やコミュニケーション力、自己管理力をさらに向上させることで、成長を加速させ、モチベーションを再燃させるきっかけを提供します。
今回は、 フォローアップ研修 の概要とその効果についてご紹介します。まず、 フォローアップ研修 の目的や、新入社員が抱える課題とニーズに触れ、研修を通じてどのようにサポートできるかを解説します。さらに、具体的な研修内容をご紹介し、実施に適した時期についても説明します。

半年程度の実務経験を経て、日常業務の中で感じる課題や悩みを共有し、それらの解決策を検討する場を設けることで、業務の効率化や改善に繋げます。また、個々の課題に対するフィードバックを受けることで、自分自身の改善点を理解し、今後の成長に活かす機会を提供します。

職場の人間関係や業務の進め方が見えてきた段階で、さらに効果的なコミュニケーション手法や、チームでの協力を深める方法を学ぶ機会を提供します。特に、部門間の連携や、チーム内での役割分担を効果的に行うための手法を学ぶことが重要です。

入社当初の高いモチベーションが徐々に低下することを防ぐため、今後のキャリアビジョンを明確にし、自身の成長を感じられる機会を提供します。新たな目標設定や、今後のキャリアステップに対する自信を持たせることで、モチベーションの再燃を促します。

フォローアップ研修 は、同時期に入社した社員同士が再び集まり、これまでの経験や学びを共有する場でもあります。これにより、同期のつながりを再確認し、今後の業務における相互サポートが期待できます。

新入社員がこの時期に感じる不安や悩みを早期に解決することで、離職防止につながります。 フォローアップ研修 は、会社が社員の成長を重視しているというメッセージを伝える機会でもあり、社員のエンゲージメントを高める意義があります。

新入社員は入社後半年の間で、職場のルールや日々の業務に少しずつ慣れてきます。最初の数か月は、基礎的なスキルの習得やチーム内での役割認識が中心でしたが、半年を迎える頃には、自分なりの仕事の進め方が定着しつつあります。この期間は、最初の目標を達成し、成長を感じやすい時期でもあります。

(1)職場適応の課題
半年経って職場に慣れたように見えても、まだ本当の意味での適応には至っていない新入社員も多くいます。例えば、上司や同僚との関係構築が思うようにいかず、コミュニケーションの取り方に悩むことがあります。また、企業文化やチーム内での暗黙のルールを理解するのに時間がかかる場合もあります。この「見えない壁」は、新入社員が自分自身を職場に完全にフィットさせるための大きな課題となります。

(2)業務理解のギャップ
業務の基本的な流れを理解しても、全体の仕組みやプロジェクトの大きな枠組みを把握することには時間がかかることがあります。特に、ビジネスの目的や成果にどう貢献するかといった大局的な視点を持つことは、入社半年の段階ではまだ十分にできていないケースが多いです。このギャップを埋めるためには、より深い業務理解を促す支援が必要です。

(1)モチベーションの変化
入社当初の高いモチベーションは、半年経つ頃には徐々に低下してくることがあります。最初の達成感や新鮮さが薄れてくる中で、次なる目標を見つけられない場合、業務に対する意欲が減退してしまうことも少なくありません。この時期には、新しいチャレンジやキャリアビジョンを明確にする機会を提供することが、モチベーションを再燃させるために重要です。

(2)ストレスの増加
半年という期間は、仕事のペースが加速し始め、成果が求められる時期でもあります。新人としての猶予期間が終わり、より大きな期待を感じるようになると、プレッシャーやストレスも増加します。また、自己成長に対する焦りや、人間関係に関する不安もストレスの要因となります。これに対処しないと、メンタルヘルスに影響が出る可能性もあります。

フォローアップ研修 は、新入社員がこれまでに学んできた知識やスキルを再確認し、日々の業務に定着させるための重要な機会です。入社後の実務を通じて得た経験を踏まえながら、研修で習得した内容を再度確認することで、知識がより深く定着し、スキルの実践力も高まります。また、研修を受けた当時には理解しきれなかった部分も、この時期に改めて学び直すことで、より実務に直結した形で身に付きます。

入社から半年経過した時点では、最初のモチベーションが低下している社員も少なくありません。 フォローアップ研修 では、これまでの成長を振り返るとともに、新たな目標を設定し、モチベーションを再確認することができます。自身の成果や成長を見直し、今後のキャリアビジョンを明確にすることで、仕事に対する意欲が高まり、持続的な成長を促進します。特に、このタイミングでの研修は、新たな刺激を提供し、業務に対する再チャレンジの機会を与えることができます。

実務経験が積まれた段階での フォローアップ研修 は、業務の改善や効率化にもつながります。新入社員は、入社後の現場で感じた業務の課題や効率化のポイントを研修で共有し、解決策を見出すことが可能です。また、他の新入社員との情報共有やフィードバックを通じて、自身の業務の進め方を見直し、改善する機会が得られます。このようにして、研修で得た学びを活かすことで、より効果的な業務プロセスを構築し、生産性向上に貢献することができます。

フォローアップ研修 では、現場での課題をシミュレーションし、解決策を実践的に学ぶためにロールプレイやケーススタディを取り入れます。これにより、現実の業務で直面する問題に対処するスキルを強化し、自信を持って業務に取り組めるようになります。例えば、クライアントとの対応や上司への報告・連絡・相談の場面をロールプレイで練習し、フィードバックを受けることで、具体的なスキルの向上が図れます。

業務における「コスト」「納期」「品質」「協働」といった要素を意識しながら、チームで成果物を作成するシミュレーション型のワークを実施します。このワークでは、限られた時間内に各チームが役割分担をし、効率的に業務を進める能力が試されます。目的は、制約条件の中でいかに最大の成果を出すかを学ぶことです。
過去の研修では、参加者はスピード感を持って取り組んだものの、品質意識が不足し、時間管理やリソース(仕入れ)の最適化に課題が見られました。このワークでは、限られた条件下で「スピード」と「品質」を両立し、効率的なリソース管理を意識しながらパフォーマンスを最大化する力を身につけることが求められます。チームとして協力し、複数の要素をバランスよく意識することで、実務に活かせる学びが得られるのがこのワークの特徴です。

職場でのストレスに対処するための具体的な方法と、モチベーションを維持し続けるための実践的なスキルを学びます。たとえば、自己管理のポイントや、日々の業務にポジティブな視点を取り入れる方法など、明日から実践できる内容を習得することで、ストレスを緩和し、持続的な成長につながる習慣を身につけられるようにします。

入社後半年という時期に フォローアップ研修 を行うのには、いくつかの理由がありますが、必ずしもこの時期に限定されるものではありません。遅れて実施しても効果を得ることは可能ですが、以下の理由から半年後が効果的とされています。

(1)業務への適応が完了する時期
入社してから半年も経つと、新入社員は基本的な業務や職場環境に慣れ、日々の業務を自立して進められるようになります。このタイミングは、基礎的なスキルが安定してきた頃なので、より高度なスキルを学ぶ準備が整います。研修によって、応用力や課題解決力を向上させることができます。

(2)成長の停滞を防ぐため
初めの数か月は学ぶことが多く、成長のスピードも速いですが、半年ほど経つと業務がルーチン化し、学びのペースが落ちる時期です。フォローアップ研修は、この「成長の停滞期」に再び成長を加速させ、次のステップに進むための刺激を与える役割を果たします。

(3)モチベーション低下の防止
半年を過ぎると、新入社員は仕事に慣れる一方で、当初のモチベーションが下がることも多いです。また、自分の成長や成果が見えにくくなることから、自己評価が低くなりがちです。この時期に研修を行うことで、再び目標を明確にし、モチベーションの再燃を図ることができます。

(4)職場や同僚との関係性が安定する時期
半年程度で、同僚や上司との関係が形成され、チームの中での役割が少しずつ明確になります。このタイミングで、コミュニケーション力やチームワークをさらに向上させる研修を行うと、より一層のパフォーマンス向上が期待できます。

半年を過ぎてから フォローアップ研修 を実施しても、もちろん効果を得ることは可能です。実際には、次のようなタイミングでも有効です。

(1)1年目の総括として
1年目の終わりに総括的な研修を行い、1年間で得た経験を振り返り、さらなる目標設定を行う機会にするのも有効です。この場合、入社後の1年間を総合的に見直し、長期的なキャリア形成の基礎を築くことができます。

(2)部署異動や新しいプロジェクト開始のタイミング
業務内容や役割に大きな変化があった際、 フォローアップ研修 を行うことで、変化に対応するためのスキルや心構えを学び、適応力を高めることができます。

遅れて実施する場合、以下の点に留意する必要があります。
・成長の停滞が長引く可能性
適切なタイミングで支援がないと、社員が自発的に成長する機会が減少し、モチベーションの低下やスキルの停滞が長期化するリスクがあります。
・離職率の上昇
モチベーションの低下や不安を抱えたまま放置すると、離職につながることがあります。特に半年から1年の間は離職率が高くなる傾向があるため、早めのフォローが効果的です。


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新入社員が持続的に成長し、組織に適応するためには、研修後も継続的なサポートが不可欠です。入社直後だけでなく、半年や1年といった節目でのフォローアップを行うことで、個々の成長を支え、業務における課題解決やスキルの強化を促進できます。定期的なサポートは、モチベーションの維持にもつながり、職場でのパフォーマンス向上に寄与します。 フォローアップ研修 は、新入社員が直面する課題を再確認し、改善策を学ぶ絶好の機会です。知識やスキルの定着を図るとともに、業務の進め方やチームでの協力を学ぶことで、職場への適応をスムーズに進めることができます。こうした研修を通じて、新入社員の職場定着率が向上し、組織全体の生産性も高まるでしょう。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。今回の内容では特に研修はワークショップ中心で進めます。現場での課題をシミュレーションしながら、ロールプレイやケーススタディを多く取り入れています。これにより、現実の業務で直面する問題に対処するスキルを実践的に学び、自信を持って業務に取り組むことができるようになります。 また、研修では、受講者が入社後の半年間を客観的に振り返る機会を提供します。さらに、研修後、現場に戻ってからも「再び頑張ろう!」というモチベーションを維持できるような支援を行います。 研修内容や実施タイミングはお客様のニーズに応じて柔軟に対応いたします。企業の個別の課題をお聞きし、最適な研修やソリューションをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


今回ご紹介した研修の振り返り・評価のサポートや、お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

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企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

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【コラム】研修後こそがスタート!学びを現場に定着させるための方法|ビジネスを成功に導く人材育成

学びを現場に定着させる

学びを現場で活かす 研修転移

多くの研修は受講が終わった段階で区切りとされがちですが、実際には研修後のフォローとサポートこそが学びを職場に定着させ、成果を生むための鍵となります。では、どのようにして研修で得た知識やスキルを現場に活かし、長期的な成果を生み出すことができるのでしょうか?具体的な方法をご説明します。


企業における研修は、社員のスキル向上や業務遂行能力の強化を目的とした、重要な人材育成の手段です。しかし、研修で単にスキルを習得させるだけでは不十分です。それを実際の業務に適用し、社員が成果を出すことこそが最も重要です。効果が現場で実証されて初めて、研修が成功したと言えるでしょう。

研修には「やりっぱなし」になるリスクがあります。研修プログラムが終了した後、その学びが実務に反映されず、企業や従業員にとって期待される効果が得られない状況がしばしば発生します。以下に、その具体的なリスクを挙げます。

(1)研修投資の無駄
研修には多大な時間やコストがかかりますが、得た知識やスキルが業務改善に結びつかなければ、その投資は無駄になってしまいます。

(2)従業員のモチベーション低下
研修を受けたにもかかわらず、それを職場で活かす機会がなかったり、サポートが不十分だったりすると、従業員は学びが無駄になったと感じ、モチベーションが低下する可能性があります。

(3)組織の成長停滞
研修の成果が現場に定着しないと、企業全体の成長が阻害されます。例えば、イノベーションが停滞し、新しい製品やサービスの開発が遅れることや、業務効率の改善が進まないことで競争力が低下するリスクがあります。

(4)人材流出
学んだことを実践する機会がない職場環境では、向上心のある優秀な人材が他の機会を求めて退職する可能性があります。

(5)研修の信頼
研修の効果が見られないと、従業員から研修そのものへの信頼が失われ、次回以降の研修参加意欲が低下することがあります。

これらのリスクを避けるためには、研修後のフォローアップや、学んだことを実務に活かすための仕組み作りが必要不可欠です。企業は、研修が単なるイベントで終わらないよう、継続的なサポート体制を整えることが求められます。
今回は、研修が「やりっぱなし」にならないようにするためのポイントや、研修内容を職場で活かすための具体的な手法についてご紹介します。
参考文献: 中原淳・島村公俊・鈴木英智佳・関根雅泰『研修開発入門「研修転移」の理論と実践』(ダイヤモンド社出版社, 2018年)

研修中のワーク

研修で学んだ内容を職場で実際に活かすために重要になるのが「 研修転移 」という概念です。 研修転移 とは、研修で得た知識やスキルを日常業務に応用し、実際の行動改善や業績向上に結びつけるプロセスを指します。研修を単なる一時的なイベントで終わらせず、そこで得た知識やスキルを職場で活かすことが、企業の持続的な成長と発展につながります。研修は、あくまで始まりに過ぎません。研修転移を通じて、学んだことを実務に活用し、日々の業務に変化をもたらすことで、企業は真に価値ある成果を得ることができます。 研修転移 ができなければ、研修はやらない方がよいとすら言えるでしょう。
研修転移 には、研修を一度受講するだけで終わらせず、学んだ内容を実務に繰り返し応用する継続的な取り組みが不可欠です。定期的なフォローアップやフィードバックセッションを通じて、研修で得たスキルや知識を実際の業務に反映させる機会を提供し、振り返りを行うことで、職場に学びを確実に定着させることができます。このプロセスを繰り返すことにより、 研修転移 が促進され、結果として社員のパフォーマンス向上に寄与します。

一方で、多くの企業で、研修で得た知識やスキルを実際の業務に活かすことができていません。なぜ 研修転移 が難しいのでしょうか?

(1)職場環境や文化が障壁となる場合
日々の業務が忙しすぎて新しいスキルを試す余裕がなかったり、従来のやり方に固執する職場風土の下では新しい取り組みが受け入れられない場合があります。また、上司や同僚からのサポートが不足していると、研修で学んだことを実践に移すためのモチベーションが低下し、研修内容が定着しにくくなります。

(2)研修内容を試せないため定着しない
研修が終了した直後は知識が新鮮で意欲も高まっていますが、時間が経つにつれて記憶が薄れ、日常の業務に埋もれてしまうことがよくあります。また、研修内容が現場での具体的な業務に直結していない場合、学びを活かす機会が少なく、結果として実践に結びつかないことも多いです。

(3)組織全体のサポート体制の欠如
研修後に学びを振り返る場がない、もしくはフィードバックがないと、学んだことがそのまま忘れ去られてしまうリスクがあります。研修を受けた社員が職場で孤立しないよう、周囲のサポートが欠かせません。

これらの要因が重なることで、研修後の実践がなされず、 研修転移 が進まないことが多いです。しかし解決策を講じることで、研修の効果を最大限に引き出すことが可能です。次の章では、これらの課題を乗り越えるための具体的な方法について紹介します。

ここからは具体的な方法について紹介します。

(1)上司や同僚のサポート体制の整備
研修後に上司やチームメンバーが積極的にサポートし合う文化を醸成することが重要です。具体的には、リーダー層に研修内容を共有し、実践の場を設けることで、学びが職場に浸透しやすくなります。サポートする側が明確な役割を持ち、サポート体制を整備することで、研修の効果が高まります。部下が受講した研修内容に上司が目を通すこと、ありますか?小さなことですが、情報共有から始めることも有用な手段です。

(2)小さな成功体験を積み重ねる
大きな変化ではなく、日々の業務で実践可能な小さな取り組みから始めることが効果的です。例えば、新しいプロセスを小さなプロジェクトに適用し、徐々にそのやり方を広げていくことで、変化に対する抵抗を減らし、定着を図ります。

(1)実務と連動した研修設計
研修内容を現場の具体的な業務に結びつけることが鍵です。研修中に実際の業務に直結する課題を取り上げ、実践的なシナリオを用いることで、職場での適用がスムーズになります。研修の設計段階で実務の状況を考慮することが、研修内容の定着を促進します。

(2)研修後フォローで学びを確実に定着させる
研修後に定期的なミーティングやフィードバックセッションを設け、学んだ内容を再確認し、実践の機会を確保することが重要です。これは受講者の努力だけで達成できるものではなく、上司のフォローが不可欠です。経験を積んだ部下は研修で得た学びを日常業務にしっかりと定着させ、継続的に活用します。

(1)研修後のサポートシステムの構築
研修終了後に、社内メンター制度やグループディスカッションなど、学んだことを共有・実践するための仕組みを導入します。これにより、研修内容を日常業務に反映しやすくなり、実践の機会が提供され、学びが組織全体に浸透します。

(2)評価システムとの連携
研修の成果を評価制度に組み込み、学んだことを実践した社員に対して評価や報酬を与える仕組みを作ることで、研修内容の実践を促進します。評価システムと研修内容を連携させることで、社員のモチベーションを高め、実践を促進します。

(3)ミニフィードバックセッション
週に一度、5〜10分程度の短いフィードバックセッションを設け、研修内容の実践状況を共有します。例えば、簡単な振り返りの質問を投げかけ、気軽に話し合う場を作ることで、長時間のミーティングを避けながらも研修内容を定着させることができます。定期的な短時間のフィードバックが、継続的な学びの支援となります。

(4)ピアサポートシステムの導入
上司やメンターが負担を感じる場合、同僚同士でのピアサポートを促進します。研修参加者同士がペアやグループで定期的に進捗を確認し合う仕組みを取り入れることで、負担を分散しながらも、短時間でのサポートを実現します。ピアサポートは、社員同士の結束を強化し、学びを共有する機会を提供します。

ニコン株式会社

1917年に設立された日本の光学機器メーカー。かつてはカメラやレンズで世界的に有名でしたが、現在では事業の多角化が進んでいます。半導体露光装置や計測機器を扱う精密機器事業が成長しており、近年はヘルスケア事業も拡大しています。これにより、ニコンはもはや「カメラメーカー」ではなく、幅広い分野で光学技術を応用した精密機器を企画・製造する企業として位置づけられています。
ニコンには伝統的に「指導員」という制度があります。部署内に新卒の新人が配属されるとき、約1年間その指導を、「指導員」が担当するというものです。この指導員制度は、40年以上続く伝統ある仕組みですが、2008年頃から教え方を統一するための改善が行われました。指導員(OJT担当者)は、事前に「指導員研修」を受講します。

1.指導員に対しての事前ウェブアンケート
・未経験者には「指導員になるに当たっての期待と不安」を聞いて、役割に対する関心の喚起と心の準備をしてもらう。
・過去に経験がある社員には「これまでの指導員経験の苦労と工夫」を聞いて、指導員制度の質を向上させています。

2.指導員から上司である課長に対してインタビューし新人育成の方針を共有
・「自分を指導員に任命した理由」
・「キャリアパスを通じて描く1年後の新人の姿」
・「1年間で習得すべき知識・スキル」などを尋ね、今後1年間の具体的な育成計画を作ります。

3.組織ぐるみで育てるための「人脈マップ」を作成
もう一つ、指導員に課せられているのは「人脈マップ」の作成です。これは、新人が仕事でかかわる組織と人を図示したものです。定型的なフォーマットはなく、指導員が自由に作成します。

このマップの良いところは
・新人は、社内のだれに聞けば何が分かるかを知ることができます。
・指導員は新人の育成は職場ぐるみであり、一人で抱え込まなくてもいいという人事部門のメッセージを理解することができます。
・人材マップを参照しながら指導員と新人が話すことで、共通の話題を見つけやすくなります。たとえば、「この人は〇〇の専門家だ」「この人の趣味は〇〇だ」といった情報を共有することで、コミュニケーションのきっかけをつかみやすくなります。

入社半年後のフォロー研修で指導員から新人へ手紙を書いています。
・新人が頑張っているところ
・今後改善が期待できるところ
・1年後、3年後に新人にどうなってほしいのか
これは新人自身が自分を振り返り、アクションプランを立てる上で参考にする人が多く、非常に影響力が大きいようです。そのため、人事部門でも指導員の手紙はすべて目を通し、内容が曖昧なものや、本人をよく見ていないと考えられるものについては、指導員当人に書き直しをお願いすることもあります。

アンケートで指導員として苦労したことや次年度へのアドバイスを聞く
・新人は指導員への感謝と次年度の新人へのアドバイス
・指導員は指導員として苦労したことや次年度へのアドバイス、人事部門への要望
・課長は自身が任命した指導員はどうだったか
指導員を初めて経験した40歳の課長は、その経験を通じて上司から「変わった」と言われるほど柔和になったそうです。課長は「新人との関わりを通じて、自分も多くのことを学びました。指導員の役割は1年で終わりますが、その新人との関係は終わりません。職場が変わっても、何かあれば相談できる関係が続いています」と話しています。

・「この研修は役に立つ」と感じた方は、育成プランに基づき指導したり、研修内容をより実践・活用したりする傾向が見られました。
・満足度が高い参加者は「人材マップ」が充実しており、現場で協力を得た人数も多いことが分かりました。

・ニコンの研修では、研修前と研修後にアンケートを繰り返し実施し、その結果を次回の研修に活用しています。
・受講生の反応を細かく聞き取り、結果をフィードバックしています。
・これにより、研修の実効性を高め、 研修転移 を促進する仕掛けが整っています。
・事前課題を通じて上司にも研修に参加してもらい、上司からの期待を参加者に伝えることで、指導員としての自覚やモチベーションを高めることができます。
・指導員は次の年の指導員にメッセージを送り、新人も次の年の新人にメッセージを送ります。ある年の研修がその年で終わらず、常に次の研修を意識して行われ、研修内容を次の時代に伝えなければならない、という継承性を前提としています。

ニコンではこの研修が10年以上続いていますが、当初は上司や職場メンバーが研修に協力的ではなかったそうです。しかし参加者が増えていくに従って、浸透し、現在ではアンケートで職場が研修に協力的でないという回答がゼロにまでなったといいます。組織文化を変えるというのは時間がかかることですが、長く続ければ組織は変わっていくという好例です。

Step up

これまで、 研修転移 がいかに難しいプロセスであるか、そしてその促進のためにどのような方法が有効であるかを解説してきました。しかし、研修で学んだ知識やスキルを実務に活かし成果を上げることは、短期間で達成できるものではありません。重要なのは、 研修転移 を実現するための「継続的な取り組み」です。
まず、研修は一度受講するだけで終わらせず、学んだ内容を実務に繰り返し応用することが求められます。そのために、定期的なフォローアップやフィードバックが不可欠です。上司や同僚、メンターによる支援があれば、社員は安心して研修内容を実践でき、失敗を恐れず挑戦できる環境が生まれます。このような環境づくりが、研修の効果を最大化するカギとなります。
さらに、研修の成果を評価するシステムを組み込むことも重要です。研修で得たスキルが実際の業務にどれだけ役立ったかを評価し、フィードバックを通じてさらなる改善を図ることで、継続的な成長が可能になります。
最後に、 研修転移 を促進するための取り組みは、単なる一時的なプロジェクトではなく、組織全体で取り組むべき長期的なプロセスです。継続的な努力によって、研修の効果は徐々に現れ、組織の成長や業績向上に大きく貢献します。研修を通じて得た学びを実務に活かし続け、社員と組織の双方が成長できる環境を構築することが持続可能なビジネス成果を支える鍵となるでしょう。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。特に「ゴールまで支援」は 研修転移 を実現するための重要なノウハウです。弊社の研修プログラムでは、研修後も継続的にサポートを提供し、職場での実践を促進する仕組みを導入しています。例えば、研修後3か月後に受講生に課題を出します。その課題は、研修で学んだことが現場でどのように活かされているか、どのような効果を感じられているか、その取り組みについて具体的に言語化していただくものです。このプロセスを通じて、受講生は自身の業務を振り返り、学んだことを日常業務で実践し、その効果を測定できることで、モチベーションが高まる効果があります。企業個別の組織課題をお聞きし、 研修転移 を含む効果的な研修やソリューションをご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


今回ご紹介した研修の振り返り・評価のサポートや、お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

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愛知県名古屋市中村区名駅2丁目36番2号 協和ビル604

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企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

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【コラム】入社前から始まる人材育成: 内定者フォロー と研修のポイント|ビジネスを成功に導く人材育成

入社前から始まる人材育成: 内定者フォロー と研修のポイント

企業の人材育成担当者にとって、 内定者フォロー は、単なる手続きではなく、企業の将来を左右する重要なステップです。昨今の競争の激しい採用市場では、内定を出した後も継続的に候補者との関係を構築し、彼らが入社を決意するまでのプロセスを支援することが求められています。このプロセスを怠ると、内定者が他社のオファーに心を動かされるリスクが高まり、結果として内定辞退に繋がる可能性が高くなります。
25卒就活生の8月1日時点の内定率は91.2%と前年の同じ時期を4.6ポイント上回り、例年より早いペースで9割を超えました。8月1日時点で就職活動を実施している学生に聞いたところ、内定取得者の46.6%が「志望内容や範囲は変えずに活動する」としており、引き続き就職活動を続けています。
就職みらい研究所 https://shushokumirai.recruit.co.jp/research_article/20240809001/

このように、内定者の約半数が引き続き就職活動を行っている現状や、競合他社に魅力を感じて入社を決めるケースも少なくありません。これらを踏まえると、内定辞退や早期離職を防ぐために、企業側からの内定者フォローは欠かせないと言えます。今回は 内定者フォロー と研修のポイントをご紹介し、その中でも特に効果が高いと私たちが考える、内定者研修について説明します。

複数内定で進む学生の慎重な選択
25卒の内定率が91.2%と非常に高いということは、多くの学生がすでに複数の内定を持っていることを意味します。そのため、学生は自分の条件に合った企業を選ぶ余裕があり、より慎重に判断することができるため、他の企業へ目移りする可能性が高くなります。内定取得者の46.6%が「志望内容や範囲は変えずに活動する」と回答していることからも、内定を持ちながらもさらに良い条件を求めて就職活動を続ける学生が多いことが分かります。

内定者の不安や期待に応える
学生は、内定をもらった後も「本当にこの企業で働くべきか?」といった不安や疑問を持っています。 内定者フォロー を通じて、企業は学生の疑問や不安に応え、企業の魅力やビジョンを改めて伝えることができます。具体的には、内定者向けの説明会や交流イベント、研修などを通じて、会社の雰囲気や実際の働き方を知ってもらうことが重要です。

競争の激化による優秀な人材の確保
内定者フォロー を強化することで、競合他社に優秀な人材を奪われないようにすることができます。特に、優秀な人材は複数の企業から内定をもらうことが一般的であり、フォローの質が最終的な決定に大きな影響を与えることがあります。企業にとって魅力的な環境やキャリアパスを示すことで、学生が他社の内定を辞退して自社を選ぶ確率を高めることができます。

早期離職の防止
内定者フォロー は、入社後の早期離職を防ぐためにも重要です。学生が入社前に企業の価値観や業務内容をよく理解することで、入社後のミスマッチを減らし、早期離職を防ぐことができます。企業との信頼関係を築くことで、社員としての定着率を高めることができます。

企業のイメージ向上
内定者フォロー は企業のイメージアップにもつながります。良いフォローを行うことで、学生からの評価が高まり、企業の評判を高めることができ、結果として将来の採用活動にもプラスの影響を与えます。

内定者の不安解消
定期的なコミュニケーションを通じて、内定者の不安や疑問に対応し、安心感を提供します。内定者同士や先輩社員との交流イベントを開催し、会社への親近感を高め、信頼関係を構築します。

【フォロー方法】
・定期的なメールや電話: 定期的なコミュニケーションを通じて、会社の最新情報や業界の動向を伝えます
・内定者向けSNSグループ:SNSやチャットツールを利用して、内定者同士の交流の場を提供します。
・オンラインイベントの開催: ウェビナーやオンラインミーティングを通じて、会社の文化や価値観を伝えます。

内定者フォロー に関する具体的なスケジュールの例をご紹介します。

10月1日: 内定式 会社のビジョンや今後のスケジュールを説明。期待感を高めます。
中旬: 定期メール配信開始 初回のメールで、今後のコミュニケーションプランやスケジュールを共有。また、業界ニュースや会社の最新情報を伝えます。
下旬: オンラインキックオフミーティング 先輩社員と内定者が初めて顔を合わせるオンラインイベントを開催。自己紹介やキャリアパスの共有を通じて、内定者同士や先輩社員との交流を促進します。
11月中旬: 業界動向の情報発信 業界の最新動向やトレンドを解説。会社がどのように対応しているかを伝えることで、企業への信頼感を高めます。
下旬: SNSグループの活性化 内定者向けのSNSグループで、業界に関するディスカッションや会社のイベント情報を共有。質問や意見交換が活発に行われるように促します。
12月初旬: 定期電話フォローアップ 各内定者に対し、個別に電話でフォローアップを実施。不安や疑問を確認し、対応策を検討・実施します。
中旬: オンライン懇親会 クリスマスや年末をテーマにしたオンライン懇親会を開催。内定者同士の親睦を深めるカジュアルなイベントです。
1月初旬: 新年のご挨拶メール 年始の挨拶とともに、今後の予定や研修情報を共有。内定者の意欲を再度高める機会とします。
下旬: 業界のトレンドの情報発信 新年の業界予測や会社の戦略を説明し、内定者にとって有益な情報を提供します。
2月中旬: 内定者研修 ビジネスマナーや基本的な社会人としての心構えを学ぶ研修を実施。内定者が社会人としての準備を進める機会を提供します。
下旬: 内定者ディスカッションイベント SNSグループやオンラインミーティングを通じて、今後の研修やキャリアについてのディスカッションを開催。内定者が意見を交換し、モチベーションを高める場とします。
3月初旬: 入社直前オリエンテーション オンラインでのオリエンテーションを実施し、入社に向けた最終確認と心構えを共有。内定者が不安なく入社できるようサポートします。
中旬: 入社前最後のフォローアップ電話 各内定者に対して、最終的な質問や懸念点を確認し、必要に応じてアドバイスやサポートを提供します。
下旬: 社内SNSでの入社歓迎メッセージ 内定者に向けた会社全体からの歓迎メッセージをSNSで発信し、入社への期待感を最高潮にします。
4月1日: 入社式 入社式で正式に会社の一員として迎え入れ、これまでのフォローアップの集大成として、内定者がスムーズに業務を開始できるようにサポートします。
こちらはあくまでも参考例です。全てを実施する必要はなく、自社に合ったものをピックアップし、適切なタイミングで実施していただけたらと思います。

会社や業務の魅力を伝える
会社のビジョンや文化、福利厚生制度など、会社の魅力を具体的に伝えます。彼らが入社後どのような仕事をするのか実際の業務内容について詳しく説明し、入社前に不安を軽減します。さらに先輩社員の成功事例やキャリアパスの紹介を通じて、将来の展望を描いてもらいます。

内定者の意欲を維持する
人材育成担当者からの定期的なメールや電話、情報発信、内定者同士のSNSやチャットツールの利用の他に内定者向けの研修を通じて、会社への期待感やモチベーションを高めます。内定者研修を実施することで数か月後に同期となるメンバーとのコミュニケーションを通じて社会人に必要な心構えやスキルを学ぶ機会を提供します。

家族の理解を得る
内定者の家族にも会社の魅力を理解していただきます。具体的には家族向け資料やニュースレターを送付し、会社の最新情報を提供します。家族の理解を得ることで内定者の安心感や満足度が高まります。これにより、会社へのロイヤルティが強化されます。

入社後のフォロー体制を明確にする
入社後の研修プログラムやサポート体制を事前に説明し、安心感を持ってもらいます。メンター制度や定期的な面談を計画し、入社後も継続的にフォローします。内定者が入社後の状況をイメージしやすくなり、社会人としてスムーズにスタートできる効果が見込めます。

内定者フォロー の中でも研修の実施は企業側にとって企業文化の早期適応を可能にする有用な手段です。また、離職リスクを低減し、チームワークの強化に繋がります。内定者側にとっては、研修を通じて不安を解消して入社できるようになり、企業理解が深まります。さらに、人間関係を円滑に構築でき、キャリア目標が明確になるというメリットがあります。内定者研修を実施する場合は以下のポイントを基に実施内容の検討を進めていきましょう。

目的の明確化
研修を通じて何を達成したいのか(例:モチベーション向上、スキル習得、企業理解の促進)を明確に設定することが重要です。

研修内容の適切さ
内定者の現状や現場配属後の状況を想定した実践的で有益な内容を提供する必要があります。内定者は学生であり、社会人経験がほとんどない、あるいは全くないため、基本的なビジネスマナーや企業での働き方についての知識が不足していることが多いです。そのためビジネスマナーの習得、基本的なコミュニケーションスキル、自己管理や時間管理の基本を学ぶことをおすすめします。

コミュニケーションの促進
内定者同士、または先輩社員や経営陣との交流の機会を設け、ネットワークを構築できるようにします。この時、可能なら対面での交流をおすすめします。その理由は表情やジェスチャー、姿勢、視線などの非言語的な要素が豊かで、相手の感情や意図をより正確に理解できることや、質問や疑問が生じた際、その場で即座に反応が得られ、誤解やコミュニケーションの齟齬が生じにくいからです。直接対面することで、より深い信頼関係や人間関係を築きやすくなる効果もあります。

研修後のアンケートを実施
研修後に内定者からアンケートを実施。フィードバックを収集し、彼らの期待や不安を把握します。これにより、内定者が感じている疑問や課題を早期に解決することができます。さらに今後の研修内容やフォローアップに反映させることが重要です。

柔軟な対応
内定者のニーズや状況に応じて、研修内容や形式を柔軟に調整し、効果を最大化する工夫を行います。

内定者同士の絆の強化
内定者研修を通じて、同期となるメンバー同士が早い段階で交流を深めることができます。これにより、入社後にお互いを支え合い、協力しながら働ける強固なチームワークが形成されます。

会社への帰属意識の向上
研修を通じて会社のビジョンや価値観に触れることで、内定者が自分自身の役割や貢献を実感しやすくなり、会社への帰属意識や忠誠心が高まります。これにより、内定辞退や早期離職のリスクも軽減されます。

社会人としての心構えの醸成
研修でビジネスマナーや基本的な社会人としての心構えを学ぶことで、入社後の適応がスムーズになります。内定者は自信を持って新たな環境に飛び込み、積極的に業務に取り組む姿勢が身につきます。

スキルアップによる即戦力化
研修を通じて業務に必要な基礎スキルや知識を習得することで、内定者が入社後すぐに実践的な業務に対応できるようになります。これにより、早期からのパフォーマンス発揮が期待できます。

コミュニケーション能力の向上
グループワークやディスカッションを通じて、内定者のコミュニケーション能力が高まります。これにより、職場での円滑な人間関係構築や、効果的なチーム活動に貢献できるようになります。

モチベーションの維持・向上
研修での成功体験や、他の内定者との交流を通じて、入社までの期間にモチベーションが高まります。また、会社の期待を感じることで、前向きに入社を迎える姿勢が強化されます。

入社後のギャップの軽減
研修を通じて業務内容や会社の文化に事前に触れることで、入社後のギャップを減らし、ストレスの少ない適応が可能になります。これにより、離職率の低下にも繋がります。

これらの効果により、内定者研修は単に入社準備としての役割を果たすだけでなく、企業全体の生産性向上や長期的な人材育成にも寄与する重要なプロセスとなります。

研修内容の役割分担
研修内容については、新入社員研修で行うべき重要な事項を重複させず、内定者研修では基本的な内容や、早期に知っておくべき情報に焦点を当てます。例えば、社会人としての心構え、ビジネスマナーの重要性や基本、コミュニケーション力などです。これにより、新入社員研修ではより高度で実践的な内容に集中できるようになります。

新入社員研修との相乗効果
内定者研修を充実させることで、新入社員研修の内容を薄めるのではなく、むしろ効率的に進めることが可能になります。内定者がすでに基本的な知識を習得しているため、新入社員研修では応用や実践により多くの時間を割くことができ、研修の質をさらに高めることができます。例えば、電話応対の練習に十分な時間を確保し、基本的な電話応対スキルを習得した上で、緊急時やクレーム対応など、現場で求められる対応力や判断力を養うための実践的な練習を繰り返し行います。これにより、新入社員が自信を持って現場にデビューできるようサポートします。

内定者フォロー は、内定辞退や早期離職を防ぐために非常に重要な施策です。企業はフォローを通じて内定者に対する理解を深め、信頼関係を築くことで、優秀な人材を確保し、組織としての成長を促進することができます。内定者は企業との接点を持ち続けることで、企業に対する期待や信頼度が高まります。これが入社までのモチベーション維持に繋がったり、企業へのエンゲージメントを高める効果もあります。 内定者フォロー は企業にとっても内定者にとっても重要な取り組みです。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。今回の内容との関連でいえば、内定者研修の実施についてヒアリングする中で3.内定者研修の実施ポイントを基にプログラムを構築し、 内定者フォロー の施策の一環として提案いたします。研修内容や実施タイミングはお客様によって異なります。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

株式会社ヒューマンエナジー
愛知県名古屋市中村区名駅2丁目36番2号 協和ビル604

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企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

本ブログの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。

【研修紹介】 リーダーシップ研修 |課題解決を通じて、変革をリードする力を養う

リーダーシップ研修

昨今の世の中に対して、環境が急速に変化し、先行きが不透明である「VUCA」の時代と言われることが多くなってきています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、私たちが直面する多くの課題や問題のことです。このような時代において、組織や社会が成功し続けるためには、一人一人のリーダーシップが極めて重要です。
リーダーシップとは、特定の役職や地位にある人だけに求められるものではありません。むしろ、すべての人が自分の役割や立場においてリーダーシップを発揮することが求められます。
弊社では一人一人の状況に応じて必要なリーダーシップを発揮するために必要な知識、スキルを学んでいただく研修をご提供しています。
今回は弊社が提供している リーダーシップ研修 についてご紹介いたします。

弊社の研修は、実践的かつ理論的なアプローチを取り入れていることが特徴ですが、具体的には以下の2点について、自ら考えられるように導くことで実現します。
1. 理論と自分の現場がどのように紐づくか
2. 理屈だけでなく、現場で何を実践するか

研修の第一の特徴は、リーダーシップ理論を自分の現場と結びつけることです。弊社の研修では、以下の方法でこれを実現します。まず理論が、具体的な状況でどのように適用されるかを学びます。例えば、サーバントリーダーシップ理論を学んだ後、その理論がどのように日常業務で役立つかを実際の事例を用いて説明します。次に受講者が自分自身のリーダーシップスタイルを思い出し、自分の行動と理論を照らし合わせる機会を提供します。受講者は理論が自身の現場でどのように役立つかを具体的に理解できます。
さらに、他の受講者とのディスカッションを通じて、それぞれの現場で理論がどのように適用されるかを共有し合います。これにより、多様な視点から理論の実践的な応用方法を学ぶことができます。

研修の第二の特徴は、学んだ理論をどのように現場で実践に移すかを考えることです。具体的な方法は以下の通りです。研修中に行った演習やシミュレーションに対して、講師や他の受講者からフィードバックを受けます。このフィードバックを通じて、理論を現場で実践する際の改善点や成功事例を共有します。研修の最終段階では、受講者が学んだ理論を基に具体的なアクションプランを作成します。このプランには、理論をどのように日常業務に組み込むか、具体的なステップや目標が含まれます。これにより、受講者は研修終了後も理論を現場で活用し続けることができます。

ヒューマンエナジーの研修では、全階層で同じテキストを使用しています。新入社員、3年目、5年目、10年目の社員、リーダー、管理者に対しても、基本的なリーダーシップ理論は変わりません。一方でそれをどのように活用するかは各階層・各企業で異なるため、階層ごと・企業ごとに事例や強調すべきポイント、課題の内容を変えて研修を実施します。

指導のポイントは一貫した理論を基に、階層ごとの具体的な事例と実践的なフィードバックを通じて、各階層の社員が効果的にリーダーシップを発揮できるように支援することです。若手、中堅、管理者、それぞれについて代表的な事例をご紹介します。

【若手】
若手に期待するリーダーシップ像は、企業文化や業種・職種によって大きく異なります。例えばサービス業の場合、顧客対応の質を向上させるために、スタッフをまとめてサービスの標準を維持・向上させるリーダーシップが求められます。
アルバイトやパートスタッフをまとめる立場では、若手社員が直面する課題は多岐にわたります。若さゆえにリーダーシップを発揮するのが難しいと感じることもあります。例えば、年上のアルバイトやパートスタッフに指示を出す際に、遠慮してしまったり、相手にうまく伝わらないことがあるかもしれません。また、自身の経験不足から、適切な判断や指導ができないと感じることもあります。こうした課題に対処するため、丁寧なコミュニケーションと信頼関係の構築が求められます。このため、研修では、若手社員がどのように効果的にコミュニケーションを取るか、具体的なスキルとアプローチ方法を学びます。例えば、相手の立場に立って話を聞く技術や、明確かつ簡潔に指示を伝える方法、感謝の気持ちを適切に表現する方法などです。これにより、アルバイトやパートスタッフと良好な関係を築き、リーダーシップを発揮できるようになります。
また、これからリーダーになる人や先輩社員として後輩をどうリードするかについては、フォロワーシップやシェアドリーダーシップの理論も紹介しながら、部下としてのリーダーシップの発揮方法を学びます。

【中堅】
この段階の社員は、専門知識や業務スキルを習得しており、チームリーダーやプロジェクトリーダーとしての役割を求められることが多く、部下や後輩を指導する段階に入っていきます。まだ自分のリーダーシップスタイルが分かっていない人やどのように管理したらいいのか悩んでいる人もいます。そこで、様々なリーダーシップ理論をご紹介し、「このように導く方法が複数あります。自分に置き換えてみて、どう思いますか?」と、問いかけ、自分事としてどのようにリーダーシップを発揮したらいいか考えてもらいます。自分のやり方を言語化する中で、自分のリーダーシップがどういうタイプかを知り、組織の特性を知る時間も設けます。例えば、世話役型のリーダーシップスタイルは、チームメンバーの和を重視し、サポートや協力を重んじますが、目標や方向性があいまいになる可能性があります。この課題を克服するためには、目標や方向性を明確にし、チーム全体のパフォーマンスを向上させることが重要です。
このように リーダーシップ研修 では理論を学び、自分自身がどのようなタイプのリーダーなのか知ることで、現場での具体的な振る舞いをイメージし、それを実際の行動に繋げるように促します。

【管理者】
管理者に対しては、メンバーの指導・育成を見直す機会を提供します。特に管理者は、今までの経験から自分独自のリーダーシップスタイルや古いリーダーシップ手法を絶対視している傾向があります。これは、過去に成功を収めた方法や習慣が深く根付いているためです。しかし、時代や環境が変化する中で、同じ手法が常に有効であるとは限りません。したがって、これまでのリーダーシップスタイルを考え直し、改善する必要があります。研修の中で「日頃の自分自身を振り返って客観的に見てみましょう、いかがですか?」と問いかけることで、新たな視点を得られることがあります。職場でうまくいっていないことについて、チーム全体でディスカッションし、チームメンバーの経験やアドバイスを聞く時間も大切にします。一部のメンバーは、自分が上司や先輩から受けた指導方法と現在の指導方法とのギャップに苦しんでいることがあります。このような場合、考え方を変えるためのサポートが必要です。そこで特に弊社の リーダーシップ研修 で多くの場合にご紹介するのがサーバントリーダーシップの理論です。サーバントリーダーシップは、リーダーがまず他者に奉仕することを優先し、その結果としてチーム全体の成長と成功を促進するリーダーシップスタイルです。従来のトップダウンのリーダーシップとは対照的に、サーバントリーダーシップではリーダーがチームメンバーのニーズを最優先に考え、支援することが重要です。サーバントリーダーシップについて学ぶことで、多くの人が「サーバントリーダーシップでも良いんだ」と気づき、すっきりすることが多いです。
さらに管理者の立場になると、リーダーシップの理論だけでなく、具体的なマネジメントスキルも必要です。効果的なリーダーシップは、強固なマネジメント基盤の上に成り立つものであり、両者は密接に関連しています。そのため、 リーダーシップ研修 には、マネジメントの内容も含まれることがよくあります。リーダーシップは未来に向けたビジョンと変革を推進する役割を担い、中長期的な視点を持つ一方で、マネジメントは組織の安定と効率的な運営を確保する役割を果たし、短期的な視点と長期的な視点両方を持ち合わせる必要があります。このように、リーダーシップとマネジメントは補完的な関係にあり、組織の成功には両者のバランスが重要です。

また、全体を通じて、弊社が重要視するのは、理論だけでも不十分、経験だけでも不十分という観点です。
経営学者・理論家が様々な理論を提唱しています。それを知ることはとても重要です。しかし、現場では理論通りにいかないことがほとんどです。さらに、実業家が実際にリーダーシップを発揮した実際の行動や、組織を目標達成に導くための言動を学ぶことも大切です。これらは学ばなければ身につきません。今はオンライン動画サイトなどで手軽に知ることができます。歴史上の人物やアニメ、ドラマの世界でも同様です。ただし、それはその組織だからできたことなので、自分自身の経験も加味する必要があります。自分がリーダーを務めた経験がない場合でも、知らないうちに中心となって行動したり、リーダーをフォローしながらの経験があると思います。
一方で、自分の経験、実業家の持論だけではなく学者の理論を学ぶ必要もあります。これらを知り、考えることでリーダーシップに対するアンテナが張られるようになります。

これら、①学者の理論、②実業家の持論、③自分の経験を組み合わせて自分のリーダーシップ像を作ることが重要です。常に自分も動いて考えることで、自分なりのリーダーシップの持論が形成されていきます。自分なりのリーダーシップの持論を持つことで、自分の強みや価値観を明確に理解し、自信を持ってリーダーシップを発揮することができます。さらに意思決定や行動に一貫性が生まれ、メンバーからの信頼が高まり、リーダーとしての影響力が増すという効果もあります。管理者向け研修の中では自己の持論を考え、発表をする時間も設ける場合もあります。

研修を受講すると自分事として捉えることができ、理解が進みます。本を読んだだけではリーダーシップは発揮できません。そこには様々な理由があります。例えばリーダーシップのスキルは、他者からのフィードバックを受け、自己改善を繰り返すことで向上します。他にはリーダーシップには、コミュニケーション能力などの対人スキルが重要です。これらのスキルは本を読むだけでは習得は難しいため、研修で同じ立場の人の考えや経験を知ったり、お互いにフィードバックする時間も設けたり、コミュニケーションスキルのトレーニングを実施したり、実際に人と接し磨く機会を設けることで、対人スキルを磨くことができます。

新人・若手、中堅、管理者によって身につけて欲しいスキルは少しずつ異なります。様々なリーダーシップ理論を全階層に知っていただくことによって、引き出しの中身が増え、いつか立場が変わった時に研修で聞いた理論を思い出して実践できるようになります。日常的な改善への取り組みを含めて、より多くのメンバーがリーダーシップを発揮する機会を持つことが重要です。
また、模範となる人物がいれば、そのリーダーシップに直接触れることがで他のメンバーに良い影響を与えます。リーダーシップ理論や実業家の持論を学び、経験と学びを通して得られたものを言語化し、自分なりの持論を構築する。それを互いに伝え合い、実践と内省を繰り返すことで、より高いレベルに引き上げていくことが可能となります。 リーダーシップを育て、根づかせるためには、それにふさわしい環境が必要です。
このような観点から、組織・業務運営や人材配置・育成の現状を点検し、その在り方を検討することが重要です。その中の一つとして弊社の研修をご提案いたします。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。課題をヒアリングする中でリーダーシップの内容に紐づく場合は リーダーシップ研修 を提案します。研修内容はお客様によって異なります。年代別に実施する内容を一律に変えるのではなく、お客様に合わせて内容を変えます。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

株式会社ヒューマンエナジー
愛知県名古屋市中村区名駅2丁目36番2号 協和ビル604

052-541-5650
お急ぎの方はお電話ください(平日9:00~18:00)

企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

本ブログの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。

【コラム】人材育成のカギ: スキルマップ の作り方と効果的な研修の活用法|ビジネスを成功に導く人材育成

スキルマップ の作り方と効果的な研修の活用法

スキルマップ

従業員をどのように正しい道筋に沿って成長させたらよいか…そのように考えた時に、教育の地図があったら目的地に早く的確にたどり着けると思いませんか?その地図を スキルマップ といいます。 スキルマップ とは個人やチームのスキルを視覚的に整理し、各メンバーの能力や知識のレベルが把握できるツールです。
具体的には、以下の表になります。 スキルマップ は、縦軸にスキルの種類、横軸にスキルレベルを配置し、各セルに従業員のスキルレベルをマークする形が一般的です。

 能力ユニット能力細目従業員①従業員②従業員③従業員④
PCの基本操作基本的なPC用語2334
ネットワークセキュリティの基本理解3333
ワープロソフトを使った文書の作成法3323
表計算ソフトの使用法3323
プレゼンテーションソフトなど基本ソフトの活用法2324
情報検索の知識3333

スキルマップ の導入により各従業員が目標を設定でき、成長すべき領域が明確になります。従業員はスキルレベルを視覚的に確認できるため、どのスキルが強みで、どのスキルが不足しているかが一目でわかります。さらに会社の戦略と、個人や組織のスキル戦略を紐づけるためにも、どのようなスキルを身につけるべきかを会社主導でマップを描くことも重要になります。

さらにモチベーション維持や離職防止にもなり、個人の成長が組織の成長、企業の成長に繋がります。実は、Z世代は成長意欲が高い側面があります。例えば、インターネットやデジタル技術を使いこなし、オンライン学習や自己学習の機会を積極的に利用しています。また、キャリア形成に対して高い関心を持ち、学生時代からインターンシップやボランティア活動などを通じて実践的な経験を積んでいる人もいます。
従業員が自身の成長を楽しみながら働ける職場を作る、その方法として スキルマップ を作成してみてはいかがでしょうか。

スキルマップ の目的を明確にしましょう。何のために スキルマップ を作成するのか、例えば、以下のような目的が考えられます。

従業員の現状スキルと目標スキルの差を把握: 現在のスキルレベルと、業務に必要なスキルレベルを比較し、ギャップを特定します。
従業員のキャリアパスを明確にし、成長を支援: スキルマップ を使って従業員のキャリア開発を支援し、成長機会を提供します。
効果的なトレーニングプログラムの計画と実施: スキルマップ を使用して、従業員のスキルギャップを基にトレーニングニーズを特定し、適切なトレーニングを提供します。
求めるスキルセットを明確にし、適切な人材を採用: スキルマップ を使用して、必要なスキルセットを具体的に示し、採用活動を効果的に進めます。

スキルマップ の作成における目的を明確にすることで、その後の活動がスムーズに進み、組織全体のスキル向上や人材育成に役立てることができます。具体的な目的を設定し、それに基づいて スキルマップ の運用を進めることが成功への近道です。

スキルマップ

会社や部門ごとに必要なスキルのリストを作成します。今回はカッツモデルをご紹介します。カッツモデルはマネジメントに必要なスキルを3つのカテゴリに分類するフレームワークで、アメリカの組織心理学者ロバート・カッツ(Robert L. Katz)によって1955年に提唱されました。

このモデルは、マネージャーが効果的に職務を遂行するために必要なスキルセットを明確にし、これらのスキルがマネジメントの異なるレベルでどのように重要になるかを示しています。

テクニカルスキルとは特定の専門分野で必要な知識や能力、技術、実務的なスキルのことです。テクニカルスキルは業界や職種によって異なります(例:プログラミング、データ分析、語学スキルなど)

ヒューマンスキルとは主に人間関係やコミュニケーション能力、協調性など職場で良好な人間関係を築き、効果的・効率的に働くために必要なスキルです。(例:コミュニケーション能力、チームワーク、リーダーシップなど)

コンセプチュアルスキルとは抽象的な概念やアイデアを理解し、統合し、複雑な問題を解決する能力のことです。このスキルは高いレベルの思考力や洞察力を要し、特に企業の戦略的な意思決定やリーダーシップにおいて非常に重要な役割を担っています。(例:論理的思考、プロジェクト管理、リーダーシップなど)

 スキルのリストアップする際、ポジションによって適した評価項目を定めなければいけません。カッツモデルはそれぞれの階層において求められるスキルが異なることが説明されており、各階層に求める評価項目を設定する際に活用することができます。例えば、ミドルマネジメント・管理者層にあたる営業職に対する評価項目を決める際には「深い製品知識、効果的な販売技術、データ分析力、そして市場理解。これらのスキルに加えて、対人関係スキルや問題解決能力、時間管理能力も重視した評価項目を設定しよう」というような判断ができるのです。

各スキルについて評価基準を設定します。評価基準は数値やレベルで表すことが一般的です。例えば、以下のようなレベル分けが考えられます。
1.基礎レベル: 日常的な業務で基本的なスキルを使用できる。
2.中級レベル: 独立して業務を遂行でき、スキルを応用する能力がある。
3.上級レベル: 複雑な業務を効率的にこなし、他の従業員を指導できる。
4.エキスパート: 専門的な知識を持ち、組織内外で認められるリーダー的存在。

こちらを元に、自社の特定のニーズや環境に合わせてカスタマイズすることが重要です。以下の要素を考慮して、評価基準を調整します。
・業界特有のスキル: 特定の業界や職種に特有のスキルについて、より詳細な評価基準を設ける。
・会社の文化と価値観: 自社の文化や価値観に合ったスキルや行動特性を評価基準に組み込む。
・具体的な業務要件: 各職務に求められる具体的な業務要件や期待される成果に基づいて評価基準を設定する。

ステップ3のスキルの評価基準設定は、一般的なフレームワークをベースにしつつ、自社のニーズや従業員の特性に合わせてカスタマイズすることが重要です。これにより、評価基準がより実用的で効果的になり、従業員のスキル向上と組織の成長を支援することができます。

ステップ1~3まで終わったらステップ4のデータ収集です。こちらはステップ3の評価基準設定で作成したものを使用して従業員のスキルデータを収集します。これには、自己評価、上司や同僚からの評価、実績データなどを使用します。アンケートやインタビューを行うことも効果的です。

データ収集の具体的な手順

1.評価基準の共有
従業員とその評価者(上司や同僚)に評価基準を共有します。評価基準が明確であることが重要です。

2.自己評価
従業員に自己評価を依頼します。各スキルについて、自分がどのレベルにいるかを自己評価してもらいます。

3.上司や同僚からの評価
上司や同僚にも従業員のスキルを評価してもらいます。これにより、客観的な評価が得られます。

4.実績データの収集
実績データ(例:プロジェクトの成果、過去のパフォーマンス評価)を収集します。これにより、評価がより正確になります。

5.アンケートやインタビューの実施
必要に応じて、データ収集の対象者である従業員にアンケートやインタビューを実施して、スキルレベルについての現場レベルの情報を収集することも有効です。

収集したデータをもとに、スキルマップを作成します。 スキルマップ はスプレッドシートや専用のソフトウェアを使用して作成することができます。各従業員のスキルレベルを視覚的に表示するため、カラーコードやグラフを利用するとわかりやすくなります。

実際に スキルマップ を導入している企業の代表的な企業としてはトヨタ自動車が挙げられます。
トヨタ自動車の生産体制は、トヨタ生産方式とも呼ばれ多くの製造業のお手本となっています。その生産方式を支えているのが”多能工”の存在です。多能工とは、製造ラインの作業員が複数の作業スキルを持ち、様々な作業領域で働くことができるというものです。トヨタ自動車の多能工では、作業員がどのような作業領域(例: 組み立て、検査、修理など)のスキルを持っているのかをマッピングし、それぞれのスキルをレベルごとに表示します。これにより、どの従業員がどのレベルまでスキルを習得しているのかを一目でわかるようにしておきます。そして、実際に生産ラインの変動や突発的な事象が発生した場合、 スキルマップ をもとに迅速に人員を再配置します。このように、 スキルマップ を活用することによって、必要な時に必要な人材を必要なだけ供給していける効率的な配置を行うことが可能となります。

スキルマップ の作成で参考になるのが厚生労働省が無料で提供している「職業能力評価シート」です。こちらのテンプレートを自社の業界・職種に合ったフォーマットへカスタマイズして活用すると良いでしょう。厚生労働省のサイトでは、 スキルマップ という名称ではなく、「職業能力評価シート」と表記されています。
当社でも スキルマップ 作成の支援が可能です。お悩みの際は、ぜひご相談ください。
(参考)厚生労働省 キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル

作成した スキルマップ を分析し、スキルギャップを特定します。特定されたギャップに対して、トレーニングプログラムや採用計画を立てます。また、キャリア開発の一環として、個々の従業員にフィードバックを提供し、成長を促すことが重要です。

スキルマップ は定期的に更新する必要があります。従業員のスキルが向上したり、新しいスキルが必要になったりするため、定期的な見直しと更新を行います。

スキルマップ を作成するとき、各ステップを効果的に進めるためには、適切な役割分担が重要です。以下に、各ステップを担うべき社内の担当者を具体的に示します。人事だけで作成を進めるのではなく、現場の管理者や現職者なども巻き込みながら行うことが重要です。また、設計のノウハウを有した外部の専門家に力を借りるというのも有効な手段となります。

  ステップ経営陣人事部門人事部門のリーダー各部門のマネージャー人事部門の専門家トレーニング担当者IT部門
1 目的の明確化     
2 スキルのリストアップ    
3 評価基準設定   
4 データ収集    
5 作成 〇    
6 分析と活用 〇  
7 更新  

スキルマップ は、従業員のスキルと能力を視覚的に示すツールであり、組織のトレーニングや開発プログラムを効果的に計画するために役立ちます。 スキルマップ の作成と活用は、組織全体のスキルレベルを把握し、効率的に成長を促進するための重要なステップです。従業員が、自身の成長を楽しみながら働ける組織を目指していきましょう。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。今回の内容との関連でいえば、スキルマップ作成ステップ3、6と7の役割を担うトレーニングの支援を当社が実施いたします。ステップ3のスキルの評価基準設定では評価基準が研修プログラムに適用されるよう調整します。そしてステップ6分析と活用で必要なスキルに対する研修計画を支援します。研修実施およびフォローアップについては、適切な講師を派遣することが可能です。さらにステップ7の更新の時は スキルマップ の結果に基づいて、研修ニーズを特定したり、必要なスキルを育成するための研修プログラムを開発し、提供します。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問合せください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


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企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

株式会社ヒューマンエナジー
人材育成トレーナー、キャリアコンサルタント
堀 里恵(ほり りえ)


【資格】国家資格キャリアコンサルタント、両立支援コーディネーター基礎研修修了

1,000人以上の学生指導経験。就職活動対策講座を通して自信を持って活躍できるキャリアパスを醸成します。エンゲージメント向上研修では目指す組織・求める人材像をヒアリング。お客様と共にプランを作成します。

本ブログの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。

【研修メニュー紹介】 従業員の経営者マインドを育てる | ヒューマンエナジーが提供する研修

従業員の経営者マインドを育てる

 経営者マインドを育てる オフィスビル・新緑

働き方改革法の施行から4月で5年が経ちました。残業の減少、ハラスメントのない職場づくりなど働きやすさを高める取り組みが進んだといえるでしょう。一方で、従業員の満足度が必ずしも向上していないという声も聞こえてきます。新たに提唱されている概念として、働きやすさに働きがいも加わった「プラチナ企業」があります。プラチナ企業を目指すための取り組みポイントから弊社の研修メニューの内容をご紹介します。

日本経済新聞に「プラチナ企業」に関する記事が掲載されました。「働きやすさは高いが、働きがいは低い企業を『ホワイト』、逆に働きやすさは低いが、働きがいは高い企業を『モーレツ』、両方とも低い企業を『ブラック』と分類。」(2024年4月3日、日本経済新聞)
両方とも高い企業を『プラチナ』、と類型化したものです。

 経営者マインドを育てる 街並みとグラフ合成

「2022年度までの10年間の売上高の増加(スコア上位100社)は、モーレツ企業が年平均6.6%とホワイトを2ポイント上回った。PBR(株価純資産倍率)も同2.5倍とホワイトの2.3倍より高かった。プラチナはモーレツの上を行く。売上高の増加は7.8%、PBRも3.3倍ある。社員のやる気が高まると、ハードワークを強いなくても生産性が上がり、業績も向上することが明らかだ。」(2024年4月3日、日本経済新聞)プラチナ企業は目指すべき理想の姿であるということが分かりました。

ここで働きがいの進化を定義します。
時代や社会の変化に伴い、働きがいを感じる要素や、その重要性が変わってきています。具体的には以下のような進化が挙げられます。

働きがいを進化させる!プラチナ企業への3つの取り組みポイント

  • 柔軟な人事制度で多様な事情を持つ人材を受け入れる
  • 一人当たり生産量を高め競争力の源泉にする
  • 会社と社員の目指す方向性を一致させる

これまでの硬直的な人事制度だと優秀な人材を集めきれません。柔軟な人事制度で働きやすさと働きがいを実現します。具体的にはリモートワークや時短制度の導入、業務委託など契約形態の多様化などです。

長時間労働で成果を上げることができない以上、従業員の生産性を高め、短時間で同様の付加価値を生み出すことが必要となります。そのためにはITの活用や無駄な業務の削減、従業員自身のスキルや能力向上による生産性の向上が必須となります。

従業員が頑張ることで会社の業績が上がります。一方で、今までの様に会社業績が給与に連動すれば、自然と従業員がやる気を持ってくれる時代ではなくなっています。特に若い世代において、給与だけでなく働きやすさや自分の成長が実感できることが求められています。会社は、求める成果と同時に従業員の成長実感や働きやすさを提供し、それが会社業績にもつながることを前提とした制度設計をすることが必要となります。

上記の3つのポイントを実現するには、従業員の自発的な取り組みや学習・挑戦が必要となります。一方で、従業員のやる気自体が問題だという人材育成担当者もいらっしゃると思います。肝心なのは、従業員のやる気を引き出す仕組みを作れるかどうかです。

ここで従業員のやる気を知ることができる調査結果をご紹介します。
具体的には自分の会社の変化に対して、どのように対応しているかという内容です。
「自社の目指す変化についての情報発信がされていると考える従業員は、前回調査(91.2%)から22.2ポイント減少し69.0%。また、自社の変化に対して、現在すでに行動をしている従業員は、前回調査(30.7%)から9.2ポイント減少し約2割(21.5%)となった。」
「行動していない/うまくいかない/ついていけない理由は、前回調査に続き「会社・経営層から打ち出された変革案が社内でほとんど理解・浸透されていない」(26.6%)が最も多い。」
(株式会社電通 第2回「企業の変革に関する従業員意識調査2024年4月9日)

今回注目したいのが以下の2点です。
① 自社が変化・変革していかなければいけないことに対して疑問はないが、それに対して行動している人がほとんどいません。
② 会社から十分な情報が与えられていないことや、納得するまできちんと伝えられていないため行動に結びついていません。

以上の内容は、日々の業務の中で見過ごされがちになるため、意識してコミュニケーションをとることが重要です。特に経営層からの情報発信が足りないケースが非常に多いという認識を持ちましょう。

次に階層間のコミュニケーションにおける本音の調査結果をご紹介します。
(1)現状
【① 経営層と一般社員層】経営層の53.3%が一般社員とコミュニケーションを取れていると感じていますが、一般社員側でそう感じている割合は33.3%にとどまりました。(差分20pt)
【② 経営層と管理職層】経営層の58.3%が管理職層とコミュニケーションが取れていると感じていますが、管理職層は41.0%にとどまりました。(差分17.3pt)
【③ 一般職層と管理職層】管理職層の47.8%が一般社員とコミュニケーションが取れている、一般社員の41.3%が管理職とコミュニケーションが取れていると回答。差は小さい(6.5pt)ものの、いずれも過半数を下回りました。」

「(2)今後(理想)
【① 経営層と一般社員層】経営層の89.3%、一般社員の76.7%が相互の良好なコミュニケーションを望み、特に経営層からの問題意識が強い様子が見られます。
【② 経営層と管理職層】経営層の88.3%、管理職層の85.8%と、この二層間では85%以上が相互の良好なコミュニケーションを望んでいます。
【③ 一般職層と管理職層】 管理職層の87.4%、一般社員の81.8%がお互いの良好なコミュニケーションを望んでおり、この二層間でも高いコミュニケーション欲求が伺えました。」
(博報堂 「会社と私の本音調査」第一回・働き方の本音 2021年9月15日)

プラチナ企業になるには経営層からの情報発信と従業員の受け止める意識や姿勢が重要になります。経営層からの情報発信と従業員の受け止める意識や姿勢は、企業全体の協力体制、信頼関係、モチベーション、迅速な対応力、そしてイノベーションを促進するために不可欠です。これらが揃うことで、企業は持続的に成長し、プラチナ企業となることが可能となります。受け止め側である従業員の姿勢が良くないと経営層からいくら情報発信しても伝わりません。先ほどのアンケート結果は自己認識に基づいているため、客観的な結果とは言えません。このあたりが数字ではなかなか表れません。実際に研修で受講者を拝見していると、従業員の意識や姿勢改革が重要であると感じます。

 経営者マインドを育てる 生き生きと働く社員

従業員が経営者と同じ目線を持てれば、自然と会社業績と働き方が一致すると言えるでしょう。従業員が自社の経営を自分事にすることが出来るかどうかが非常に重要です。
自社の経営を自分事にするとはどういうことか、具体的に3つあります。
1.利益追求
2.他者に対する能動的な働きかけ
3.全社的な視点
これらを自発的に行う従業員を育てていかなければなりません。しかしながら、このような意識や姿勢を持ってもらいたいが難しいのが現実で、なかなかできません。それをどうするかがポイントになります。

 経営者マインドを育てる 作業服の男女


研修などの座学と自社の経営の全体像を通じたリアルな経験があることで 従業員の経営者マインド が育ちます。
例えば…
・リーダーシップ理論を学んだ後、実際のチームマネジメントを経験してもらいます。
新しいプロジェクトチームのリーダーを任せることで、「メンバーの動機付け方法」や「チームのパフォーマンス向上のためのフィードバックの重要性」をリアルに体験し、学びます。これにより、単なる理論ではなく、現実のマネジメントの難しさとその解決策を実感することができます。さらに座学で学んだことが日常の業務と結びついて、より効果的で効率的な業務遂行が可能となります。
・実際の経営に参画を促します。
意思決定、行動、結果、改善の際に理由や反省を共有し、それを繰り返すことで当事者意識が高まり、経営が自分事として捉えられるようになります。

事前のインプットがあると、最初の一歩が始まります。そのために当社では従業員の意識改革のための研修プログラムを様々な形で提供しています。今回は「お金について考える研修」「変化とそれが与える会社への影響を考える 経営目線でのグループディスカッション」「業務改善を考える研修」の3つの事例をご紹介いたします。

会社にとって利益追求は重要です。そこで「お金」について考える研修を実施しました。
概要:全社員総会において、「お金について」のセミナーを開催
    この学びを踏まえ、利益を出せる「ビジネスアイデア コンテスト」を実施
対象:建設系サービス会社/全社員
背景:事業拡大における若手リーダー層の登用が多い中で、 利益追求の姿勢が弱くなっていることに危機感を覚えた
目次 ・お金ってなんだっけ? ・会社が利益を生み出すとは ・VUCA時代における付加価値の変化 ・○○社の利益構造 ・令和版〇〇社 マネーの虎(ビジネスアイデアコンテスト)
研修効果(アンケート)
・皆の中でお金に対する意識が上がったと感じます。
・皆が利益を意識するようになったと感じます。
・自分が担当した仕事に対して請求を行うことで売上に繋がることを改めて認識できました

研修をきっかけにお金に対する意識が高まり、日々の業務に反映されているご様子です。
ヒューマンエナジーHP:社員研修 お客様の声 |若い力を十分に引き出せていない現実を、なんとかしたかった。 – 株式会社ヒューマンエナジー (humanenergy.co.jp)

自社が将来どうなるか、世の中の変化にどのように動いていくのか考えるきっかけになります。
概要:グループワークで「世の中の変化が当社に与える影響を考える」
     各社のリーダーシップ研修におけるワークショップにて実施
対象:様々な業種・職種/若手リーダー層~管理職、経営層
ワーク手順 ・個人ワーク   世の中の変化について考える
      ・グループワーク 個人で考えた世の中の変化を共有する
                  当社に与える影響が大きい変化を考える
                  その変化による影響を言葉にする
                  その影響に対する対応策を考える
      ・全体発表  ワーク内容を共有する
研修効果(アンケート)
・普段、会社全体のことを考えていなかったことに気づきました。
・生活しているときに感じる変化が、自分の仕事に影響を与えていることを知りました。
・経営者の人って大変だなと思いました。

このような気づきがあると、普段の生活において感じていることが、実は会社経営にも影響を与えているという繋がりが見えてくるようになります。

業務改善の目的から考え、具体策に落とし込むことで会社経営全体が見えるきっかけになります。
概要:業務改善研修・ノウハウ習得研修
      社内各部署より、公募にて有志が参加
対象:製造業/若手~中堅層
目次 ・なぜ業務改善が必要なのか? ・目標・ゴール設定 ・業務の見える化 ・業務改善策の立案 ・改善の実行・モニタリング・アクション ・業務改善のポイント
「業務改善の立案」インプット後に、個人ワークで実務の業務改善策を作成・共有後に他部署からアドバイスやアイデアをいただき、業務改善に繋げる。
研修効果(アンケート)
・日頃思うことをアウトプットすることで、考えがまとまったり、他の人の意見を聞くことで新しい気づきが得られたのでよかったです。
・現場で使えることを他の人に教えていただけたので、明日から試してみたいです。
・業務改善の目的について考えるきっかけになりました。

こういった研修を実施するだけで 経営者マインド を持てるわけではありませんが、このような研修を行いながら、会社の仕組みに対する様々な形でのフィードバックサイクルを作り、経営全体を見渡すきっかけを提供することで、徐々に従業員の意識改革を目指していくことができます。

企業がプラチナ企業を目指すためには会社と従業員の目指す方向性を一致させることが重要になります。その中で従業員に 経営者マインド を持たせ、自社の経営を自分事として捉えさせるための方法論として研修の実施があります。経営側からの情報発信と併せて、従業員の意識や姿勢を高めるための施策として、当社は具体的な取り組みをご提案できます。

ヒューマンエナジーの「カスタマイズ研修」では、お客様が抱えている課題をお聞きし、目的や組織や人物像を理解して解決案を提示し、個別に研修を組み立てます。カスタマイズ研修には4つの特徴があります。「ビジョン反映型」「社会の変化に対応」「ワークショップ中心」「ゴールまで支援」の4つです。特に今回の内容との関連でいえば、「リーダーシップスキル研修」の中には「変化とそれが与える会社への影響」を考える 経営目線でのグループディスカッションが入っています。さらにお金についての研修の一部を入れることも可能です。企業個別の課題をお聞きし、効果的な研修をご提案させていただきます。お気軽にお問合せください。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

お客さまのお悩みを伺いながら、VUCA時代に激化する市場競争に対応できる人材と組織を開発します。

受講生同士のコミュニケーションを大切にしながら、互いの考えや気づきを共有することで相互理解を促します。

研修後も伴走し、目指す組織・求める人材像に向き合い続けます。


お客様の課題やご要望に応じて年単位・半年単位での組織変革・人材改革も支援いたします。
企業研修のことならヒューマンエナジーにお気軽にお問い合わせください。

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企業研修 研修講師 ヒューマンエナジー堀里恵

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【コラム】 5月病に対応する ポジティブな職場環境を作ろう|ビジネスを成功に導く人材育成

5月病に対応する

 5月病に対応する ポジティブな職場環境 ミーティングの様子

多くの企業が4月から新年度を迎え、職場の環境が変化したのではないでしょうか。新入社員が入社したり、人事異動でメンバーが変わったり、新しい環境、仕事への期待や不安で緊張が続いた一ヵ月だったと思います。もうすぐ迎えるゴールデンウイークでその緊張が緩み、「やる気が出ない」「気分が落ち込む」「体調が思わしくない」「眠れない」「食欲がない」など心身の不調が出ることがあります。このような症状は一般的に5月病と言われます。5月病をきっかけに休職や退職に繋がってしまうこともあります。誰しも当事者になる可能性があるものです。今回は 5月病に対応する ポイントを3つの観点「1.5月病を理解する」「2.人間関係や変化の悩みに伴う支援」「3.仕事内容や役職の変化に対応するための支援」で紹介します。

明確な原因が思い当たるわけではないのに心身に不調が出るこのような症状について、日本では特に新年度や新しい環境において、人々がストレスや不安を感じやすい時期に現れることから、一般的に5月病と呼ばれます。これは、新入社員の入社や転勤、人事異動など新しい環境の適応に苦しむことや、春先の長期連休明けに仕事に戻ることによるストレスが原因と言われています。

まずは原因を考えましょう。

5月病に対応する ポジティブな職場環境を作る 5月病になったかどうか なった人の体調の変化

(引用元「積水ハウス 住生活研究所」による調査、引用元調査「5月病に関する調査(2023年)」働き方に不満を感じている人の半数以上が5月病を経験 自宅でのリフレッシュのすすめ)

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20230420

積水ハウスは、ゴールデンウィーク明けの体調の変化が起こりやすい時期に向けて、自宅でリフレッシュできる生活空間のご提案を目的に、全国の20~60代の男女を対象に「5月病に関する調査」を実施。なお、ゴールデンウィーク明けに「職場に行きたくない」「気力がない」など体調に変化が現れた人を、同調査の分析目的上、5月病になったと分類しています。

2022年の調査では、5月病の経験者は全体の35.0%に上りました。その主な原因は、42.3%が「出社のストレス」、次いで27.0%が「人間関係や変化の悩み」、24.3%が「役職や仕事内容の変化に対する悩み」となっています。

5月病に対応する ポジティブな職場環境を作る 5月病になった人の割合

このデータから5月病は新入社員だけの問題ではなく、30代の45.0%、入社3-5年目の61.0%もが5月病を経験していることが分かります。

5月病の主な特徴は以下の通りです。

5月病は、心理的なストレスや不安が直接影響します。新しい環境に適応することや、新しい業務へのプレッシャー、期待に応える不安などが原因となって、情緒不安定化やモチベーションの低下などの症状となって現れることがあります。

心理的なストレスが身体的な不調につながることもあります。不眠、食欲不振、頭痛、疲労感などが5月病の症状として現れることがあります。

すべての人が同じように5月病になるわけではありません。個人のストレス耐性や適応能力、職場の環境などによって、影響の程度や症状が異なります。

5月病を理解する上で、予防と対処策も重要です。ストレスの原因を避けたり、休息やストレス解消法を取り入れることで、5月病を軽減することができます。

 5月病に対応する ポジティブな職場環境 1 on 1の実施

新年度が始まると様々な変化が起こります。例えば配置転換や異動によって新しいチームや部署に配属されることがあります。新しい環境に適応することや、新しい同僚との関係を築くことがストレスの原因になります。また新入社員の入社もあります。既存の社員は新入社員との関係を構築し、彼らのサポートを求められます。このプロセスにおいて、ストレスや負担を感じることもあります。人間関係のストレスを低減させるために、人材育成担当者はどのような取り組みができるでしょうか。その内容を具体的に見ていきましょう。

定期的なミーティングやブレーンストーミングセッションの設定: チームメンバーが定期的に集まる場を設けることで、情報共有やアイデアの交換を促進します。これにより、チーム全体が目標に向けて協力しやすくなります。

週次または月次の報告会の実施: チームメンバーが自身の進捗や課題、アイデアを共有する場を設けることで、情報の透明性を高めます。定期的な報告会を通じて、チーム全体の意識統一や目標達成に向けた協力を促進します。

懇親会の実施:新しい環境に適応するためにはコミュニケーション量を意図的に増やす機会を作るのも有効です。職場とは違う空間で、仕事以外の話をすることで共通の話題や趣味が見つかることもあります。日常会話は組織の潤滑油となりストレスマネジメントになったり、信頼関係構築にも繋がります。

トレーニングの機会を設ける:従業員同士のコミュニケーションを円滑にするために、コミュニケーションスキル向上のトレーニングプログラムを提供します。コミュニケーションの重要性や効果的なコミュニケーションの方法について教育し、職場でのコミュニケーションを改善します。

上司や先輩からのフィードバックを受ける機会を設けます。良い人間関係の構築や改善に役立つアドバイスを与えます。具体的な行動やコミュニケーションのポイントを指摘し、従業員が自己成長できるように支援します。また、新入社員が自身の意見や感想を積極的に発信できるように奨励します。
今回はフィードバックの機会として多くの企業が実施している1on1ミーティングの効果を見ていきます。
【1on1(ワンオンワン)ミーティングとは、上司と部下、あるいは二人の同僚など、2人だけが参加する個別の会話やミーティングのことを指します。1on1は通常、定期的に行われ、特定の目的やテーマに基づいて行われることがあります。】

関係性の強化: 1on1は参加者同士の関係を深めるのに役立ちます。このような一対一の時間を持つことで、信頼関係が築かれ、コミュニケーションが円滑になります。

情報共有と透明性の向上: 1on1は、重要な情報やニュースを個々のメンバーと共有する良い機会です。これにより、組織内の透明性が向上し、参加者が組織の方向性や目標により深く関与することができます。

問題解決と改善の促進: 1on1は、問題解決や業務改善のためのディスカッションの場として活用されます。参加者は日々の課題や障害を共有し、共同で解決策を見つけることができます。

目標設定と進捗管理: 1on1は、目標設定や進捗管理の場として活用されます。参加者は自分の目標や進捗状況を報告し、上司や同僚からフィードバックやアドバイスを受けることで、自己成長や業務の改善に役立ちます。

フィードバックと成長の促進: 1on1は、参加者同士がお互いにフィードバックを交換する機会でもあります。フィードバックを通じて、参加者は自己成長のためのアドバイスや改善点を得ることができます。

これらの効果により、1on1は組織やチームの効率性と生産性を向上させる重要なツールとなります。

ポジティブで支え合う雰囲気のある職場文化を醸成します。従業員全員がお互いを尊重し、励まし合い、協力して業務を遂行する文化を育成します。ポジティブな行動は個人の心がけです。具体的には自分から挨拶をする、返事をする、感謝の言葉を述べる、他者を支援すること等が挙げられます。一人一人が実施することによりポジティブな職場文化が醸成され、結果として人間関係のストレスを軽減し、生産性を向上させます。働きやすい職場を全員で作っていこうと思い、行動することが重要となります。まずは人材育成担当者が自らポジティブな言動を心がけていくといいのではないでしょうか。
これらの取り組みを通じて、人材育成担当者は従業員の人間関係のストレスを低減し、良好な労働環境を構築することができます。

新年度が始まると、人間関係だけでなく、仕事内容そのものや役職に関連した悩みが出てくることがあります。例えば、新しいプロジェクトや業務が立ち上がったり、異動によって大きく業務内容が変わったりします。業務量が増加し、残業や締め切りへのプレッシャーが高まることもあります。また、目標設定や評価のプロセスが変更される場合もあります。目標の設定や評価基準が不明確だったり、適切なフィードバックが得られない場合、従業員はストレスを感じます。こうした変化が起きるのも新年度初期の特徴と言えるでしょう。
それでは、仕事内容や役職の変化に対応するための支援として人材育成担当者はどのような取り組みができるでしょうか。その内容を具体的に見ていきましょう。

新しい仕事内容や役職に必要なスキルや知識を身につけるためのトレーニングやスキル開発プログラムを提供します。これには、専門知識の研修、リーダーシップスキルの強化、コミュニケーション能力の向上などが含まれます。基本はOJTで実務を通じて必要なスキルや知識を習得することが多いと思いますが、OFF‐JTで仕事とは異なる環境で新しい知識や経験を積むことにより従業員は自己啓発や自己成長の意欲を高めることができます。

社員の適性や興味を考慮し、彼らの能力や強みに合った仕事の役割やポジションを再設計することが重要です。適性評価を行い、彼らの能力を最大限に活かせるような仕事の配分を検討します。

メンタリングプログラムを導入し、経験豊富な社員や上司とのマンツーマンでの相談やアドバイスを提供します。メンターからのアドバイスや経験談は、新しい環境や役割に対する不安を軽減する助けになります。【1on1との違いは戦略的で長期的な成長に焦点を当てる点です。キャリア開発やリーダーシップスキルの育成を狙いとしています】

社員同士が情報や経験を共有し、互いに助け合う場を提供することが有効です。ワークショップやグループディスカッションを通じて、社員がお互いに学び合い、成長する機会を提供します。

これらの支援を提供することで、社員が変化に対応し、成長するためのサポートを行います。社員の能力やモチベーションの向上により、組織全体のパフォーマンスや成果にもポジティブな影響を与えることが期待できます。

 5月病に対応する ポジティブな職場環境 ミーティング

多くの企業が4月から新年度を迎え、職場の環境が変化真っただ中でゴールデンウイークを迎えます。新しい環境や仕事に適応する中で期待や不安で緊張が続き、心身ともに疲れを感じている時期だと思います。ゴールデンウイークは体を休め、リフレッシュされた明るい気持ちで5月が迎えられるように、ポジティブな職場を構築していきたいものです。そのために人材育成担当者が5月病を理解し、「人間関係や変化の悩みに伴う支援」と「仕事内容や役職の変化に対応するための支援」を実施することで、明るく働きやすい 5月病に対応する ポジティブな職場が構築できるのではないでしょうか。

今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。

お客さまの目指す組織・求める人材像を把握した上で、経営ビジョンに沿った研修を実施します。

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